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Channel: 大八洲徘徊記
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大垣きゅんを訪ねて (OLYMPUS C-160)

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ローカル萌えキャラも追い切れないほど増えた昨今だけど、岐阜県大垣市も、結構大きく仕掛けている。
大垣きゅん物語」、前々から現地チェックしたかったが、大垣というのは大阪からはちょっと、近くて遠いというような場所。直線距離の割に時間距離が遠くて、バイクだと疲れる、鉄道でも乗り換え多くて大変。
何かのついでに、と思ってたら、名古屋のほうにいく機会があったので、その用事を一泊二日にして二日目を使って行ってみた。



周辺の鉄道線は、多くが大垣始発。
東海道本線も、大垣が切れ目になって、西にも東にも始発が出る。さらに支線があって、美濃赤坂にも向かう。
養老鉄道というローカル私鉄も、大垣を境に北の揖斐行きと南の桑名行きがそれぞれ始発。
さらに本巣市の樽見へ向かう樽見鉄道線も出ていて、一大ターミナルになっている。
いずれもローカル度高くて本数が少ないのはいかんともしがたいが。

駅南口すぐに観光案内所があるので、観光マップをもらう。
そこに、大垣きゅん物語ファン向けの観光マップもつくられていたのを発見して、そっちも。
実のところ、大垣きゅん物語を見に来たといいつつ事前情報は全然入れてないので、ウェブラジオをやってることもここで知った。置鮎龍太郎と立花慎之介かいな。豪華な。



さて、大垣きゅんの大垣小旅行マップに従うと、まずは高屋稲荷神社へ。
特に変哲もない小さな神社のようだが……と思ったら、この写真の左手に、


手水を兼ねてるのだろうか、湧き水がこんな形に作られている。格好いいな……

水都といえば大阪市だと言いたいところだが、大垣もまた水の都を名乗る。
水門川という大垣城の堀川が町を流れ、各所に湧き水もある。飲めるくらいにきれい。


水門川沿いにきてみれば、川沿いはきれいに整備されている。
そして歌碑があるから何かと思えば、芭蕉の句だ。ん、なんで芭蕉? と、この時点で私はぜんぜん知らない。
この碑は福島の須賀川で詠んだ「世の人の 見付けぬ花や 軒の栗」。なんで福島?

水門川が北から東へ折れるところに、「自噴水」の案内がある。


湧水は井戸もあれば自噴もあるようだ。さっきの高屋稲荷神社のは井戸で、こっちの栗屋公園というところのは自噴。
昭和35年からある公園だけど、平成16年に改装されて今の姿に。
改装以後は水質検査をやるようになって、ちゃんと飲用レベルの水質だと定期的に確認されている。検査書も掲示されている。


栗屋公園に隣接する稲荷神社。大垣の神社の拝殿は、わりとストイックな造りな印象。

この稲荷神社近くが、かつての大垣城の東総門になっていたそうだ。
そんな大垣城の外堀を回るように、西へ。


すぐ川の南側、かつて城内だったところにある貴船神社が、なにやら縁結びの神様とされている。
水の神様じゃなかったっけ……と思ったら縁結び信仰もあるようだ。

神社前の通りが水門川を渡るところで、なにやら派手なオブジェが建築されている。
七夕祭りをモチーフにした「虹のかけ橋」なるもので、両側から手を触れてメロディが流れ出したらうまくいく、となってるらしい。メロディは定時になるらしいから、やって見る場合はいつ鳴るのか事前に調べてタイミングを合わせよう。


水門川沿いは、実に趣味よく整備されている。
実は水門川の水は、結構濁っていて水底が見えるような綺麗さではないのだけど、護岸やらのセンスがいいから歩いて気持ち良い。
この日歩いた限りでは、大垣の町って、川沿いも公園も商店街も、そして商店街を一筋裏手に入ったら出てくる昭和の残骸みたいな旧商店も、どこを見ても何か良く感じられる。なんかそんな、町づくりの技術みたいなもんがあるんだろうかなあ。


大垣市の保健センターに、かつては大垣藩校があったらしく、その敬教堂跡と、雷除けに植えたトネリコがあって文化財に指定されている。


水門川が南に折れる、その北西角にあるのが八幡神社。
大垣きゅん物語のドラマCDは、ここも舞台のひとつだそう。

大垣藩は戸田氏という大名が治めていたが、その初代藩主氏鉄公がこの神社を再建整備し、それから城下の18郷が山車(車編に山、という字を使っている)を曳く祭りが始まった。


境内は、摂社末社が散在していたりはせず、広々している。曳山が入るからかな。


ここにも湧水があって、老夫婦が車でやってきてポリタンクに水を汲んでいた。
ウィスキーの水割りなんか飲む習慣でもあれば、ちっとペットボトルにでも汲んでいきたかったところだが、私は水割りはやんなくって。

川沿いにぶらぶらと南下。
このあたりは特に何も……と思ったら、藩主戸田氏の菩提寺らしいお寺があったがうっかりスルーしてしまった。
大垣きゅん物語マップでは、市役所ロビーに地場産業展示があるというので寄ってみたけれど、今は何かスポーツ選手が活躍しただったか、そんな展示で。

そして「四季の公園」なるところにくる。


またここの景色もいい。どこからこう良いセンスがでるのだろ。
ちょっと植樹が多くて、落ち葉とか鳥の糞とかも多くて、綺麗に掃除が行き届いてるわけではなかったりもするんだけど、それはそれで趣味を損ねてる感じでもない。
尾道みたいに地形がすでにどうやっても美しいところでもなく、歴史的な町並みをそのまま保存してるところでもなく、大垣の場合は、人工物なんだけどそのセンスがただ良い。そんな町なら他にもありそうなもんだけど、案外に思いつかない。

人気マンガの舞台でもある、とだけ大垣きゅん物語マップにはあるが、検索した感じは「聲の形」というやつだろうか。
偶然、ここにくる前日に友人からそういうマンガがあると聞いたところだったが、私は内容までは知らないな。


ハーピアンなる楽器が、公園の水門川を渡る小さな橋についている。
急に言われても弾ける曲がないけれど。
鍵盤を押すと、奥に立っている振動棒が叩かれて音が出る仕組み。ピアノとかハープみたいな音じゃなくて、NHKのど自慢の鐘みたいな音。


奥の細道むすびの地記念館。
ここにきてやっと、なぜ大垣がこんなに松尾芭蕉押しなのかと知ることになるが、まさにここがかつての美濃路、「おくのほそ道」の結びの地だったとは。
芭蕉は帰ってきて、そのまま伊勢神宮の遷宮を見にすぐ出発するそうだけど、「蛤の ふたみにわかれ 行く秋ぞ」と詠んだ。

ここに大垣きゅんがやっと登場。まだそこらじゅうに居るキャラではないらしい。
グッズ販売なんかもここでやってるので、活動拠点は定まっている。

記念館の内容は、3D映像でおくのほそ道の旅路を追う映像のあと、おくのほそ道についての解説展示と、それから地元大垣の偉人についての解説展示。
大垣藩ってあまり知識がなかったけれど、幕末には薩長に続く維新功労藩だったそうで。


またも湧水。

ここには水質検査の書類が貼ってあったので、私もなりたてとはいえ環境計量士としてまじまじ眺めたりしたものの、まったくきれいな水。直接飲用する前提できっちり多項目に渡って検査してあって安心。どの項目も余裕を持って基準をパスしている。
水温は14度くらいで、冷蔵庫よりちょっとぬるめ。軟水で飲みやすい。

大垣の特産品は枡だそう。国内シェア8割を占めるとか。
私もなりたてとはいえ環境計量士として(このフレーズはただの自慢である)、古来の計量器たる枡には馴染みが深い……なんてことはまったくないが、ちょっと面白いのでひとつ購入。


袋から出したら、ヒノキの香りがいい。
大垣の渡辺酒造醸、芭蕉水門川純米を購入。300mLで500円くらいだからそんな高くない。飲んでみると辛口でもなく、さほどフルーティとか芳醇とかでもなく、すごく飲みやすい。


近くはかつては船着場だったそうで、船町川湊といわれて、国指定名勝「おくのほそ道の風景地」とされている。
黒塗りの灯台も格好がいい。

ここからは、旧美濃路を少しあるいて東のほうへ。


さすが旧街道沿い、こんな羊羹屋が残っている。


そして街道沿いだけに、美濃路大垣宿本陣跡も。
かつては写真左手に旅籠が、そして右手にはもっと大きく本陣の建物が広がっていたのだが、現在はこれだけ。
明治天皇がお越しになったときの行在所跡もある。
中はちょっとした展示施設。案内の人がお休みだったらしく、地元の奥様が謡曲やりながら留守番をしていた。

それから大通りを北に戻っていくと、大垣市守屋多々志美術館というところがあって入ってみた。
守屋多々志、というと私は知らないが、歴史画で有名な日本画家であるそう。
中には、おくのほそ道のシーンを描いた作品が多数展示されていた。難解というかよくわからない印象派とか現代美術と違って、テーマが明確だと私みたいな素人にも楽しみやすい。

そして大垣城へ。


それほど巨大天守を擁するような白ではなくて、結構こぢんまりしている。
1500年代に入ってからできた、わりと新しい城ではあるけれど、美濃路が東海道と中山道を結ぶ交通の要衝でもある。関が原の合戦では、石田三成が西軍本陣としたくらい。

空襲で焼かれるまでは現存天守として国宝にも指定されていたが、今のは1959年再建。


天守を写真に納めるのにいいアングルを取りづらい城だなと思ったが、そのほうが防御的かもしれないな。
天守の中は、戸田氏と関が原合戦を中心とした展示。天守からの眺めは、天守最上階が天井低くて、また窓も小さめで、展望台的な扱いはあまり見込んでいないようだ。オリジナル再現重点。


城の西には郷土資料館。
戸田氏所有の文物とか地元民芸品、あとは書の展示があったけど私は書はまったくわからない。
特別展示で、大垣の町の古い写真を展示していた。

城の東の大通りが商店街で、ほとんどすぐに城があるんだけど、その僅かな隙間の裏路地が、昭和で時間が止まった素敵エリア。
多分やってないけどもしかして、という喫茶店、あいにくやってなさそうだけど看板だけ残るビリヤード場。猿岩石のポスターを貼った理髪店はやってそうだった。


水分補給に地元のお茶を購入してみた。
ペットボトルとしてはけっこう苦味を出してるさっぱり味。抽出温度高いのかな。


商店街の様子。
駅前の広い通りの商店街、これがまさに美濃路だそうだが、かなり多数の街路樹が植えられている。今のひとつ前の市長さんが、かなり緑多めに町づくりする人だったそう。

この商店街もなかなか、かなり古い店も残ったままで味わい深い。
しかし残念ながらシャッターがしまった店もちらほら、開いているようでも自治体の就労支援でやってる店などもあって、なんとかシャッター街化に抗っている雰囲気。
旅人にはいい街に見えるのだが、商売するのは辛くなってきているか。例によって駅前からイオンタウン行きのバスが出てたり、その手のモールも大型工場跡地とかが利用されて多数作られちゃって、今では過当競争に陥っているとか。さらに駅前になんか作ってるけど。


ここらへんの名物は水まんじゅうだそう。
商店街にも江戸時代から続く店がいくつかあって、せっかくだから入ってみた。煎茶とセットで360円とリーズナブルで嬉しい。
つるんと口に入れると、すぐほろほろと溶けるようにほぐれていく。皮は葛なのかな。緑の方は、葡萄かなにかの甘酸っぱい果実。もうひとつはこしあん。

店の看板娘(70歳くらい)としばらく話しながら頂いて、地元の人としては商店街の植樹はちょっとやりすぎ、秋は落ち葉の掃除が大変すぎる、通りの向かいの店も全然見えないと不評で、市長が代わって木の数が減らされたとかそんな裏話。
旅人にはセンスいい町でも、住むとまた違うところもあるか。

で、「夕方4時ごろに、大阪まで直通の汽車が出てるよ」と教えてもらい、時計を見ると四時前。
それならそれ乗ったら楽だなあということでお暇して駅へ。
そして駅で時刻表を見ると、大阪まで直行の特急ひだ、出るのは4時じゃなくて6時だった。ま、そんなこともあるさ。

しかし大垣、いいとこだったな。また来よう。



今日使ったオリンパス CAMEDIA C-160だが、多分日本国内向けにはほとんど出荷されていない機種。
C-120とかもそうだったと思うけど、主にアメリカあたりに向けた、日本のローエンドよりさらに格下のクラス。
つまり、「日本人はいくらなんでもここまで低機能だと我慢できない」という機種なわけで、何かがとんでもなくダメだと思っていい機種なのだが。
ちなみに私の手にした個体は、どういうわけかトヨタの関連企業のロゴが入っていた。多分何かの社内的な記念で作って配られたんじゃないかな。

もうxDカードに切り替わっているし、ローエンドで300万画というスペックから見て、多分2004年くらいの製品か。200万画素モデルのC-150は2003年に出てたらしいから、同時かも。
レンズバリアのデザインは、X-250よりもC-300ZOOMに似てる。当時多かったスライドバリア系の中でも、わりと薄型に仕上げられている。

バッテリーは単三2本でCR-V3対応。
RCR-V3でも違和感なく動作したし、バッテリーライフはかなり長そう。充電して数ヶ月放置したのを突っ込んで、92枚撮影してまだ満タン表示のまま。

レンズは33mm相当のF2.8でAF。当時としてはかなり広角。
画角から見てセンサーは1/2.5型で、多分X-250とかμ-10で使ってたものの使い回しかな。だったらパナソニックセンサーで、ソニーCCD不良には巻き込まれていない。
もちろんフルオートのみの簡単カメラで、ISO感度の手動設定もない。シーンモードはあった。
モニターは小さいが、意外に発色はいい感じ。光学ファインダーももちろんある。

xDカードは、どうやら無印のxDカードのみ対応のよう。
Type Mの2GBはダメだった。そうなるとカードの入手が難しいな……


さて、オリンパスのスライドレンズバリアスイッチのカメラには、C-2という名機がある。
ローエンドモデルなのに、手軽な単三バッテリー、小さめ・軽めのボディ、単焦点に割り切ったおかげでレンズの繰り出しがなく動作軽快、画質もそこそこ。
スペックと大きさを見ると、このC-160も、xDカード世代のC-2となってくれそうな機種。

ところが、スイッチ入れた瞬間に、起動するまで6秒くらいかかるのろくさいカメラだとわかっちゃう。
沈胴レンズの繰り出しがない単焦点機は、起動の早さなどを期待しちゃうものだというのに。
そしてシャッターを切れば、撮影間隔が10秒以上あるような激烈な遅さ。
高級機じゃないんだから連写バッファーがないのは仕方ないにしても、この遅さはひどい。メモリーカードのアクセスも、画像処理のプロセッサーも激遅っぽい。

画質も、正直良いとは言えないな、という印象。
どうもパナの1/2.5型300万画素センサーって、使われるのがローエンドばかりだったせいもあるにしても、なんかあんまり写りが冴えない。
レンズも、単焦点だけあって、看板をアップに写しても縁がほとんど歪まないような良さはあるんだけど、どうにも解像感がない。

ただ、本当にシャッター押すだけでそれなりに撮れちゃう。
露出補正なんて一度もやらなかったけど、どんなシーンでも割りといい感じの露出に収めてくれるAE。オリンパスのローエンド機ってこういうの上手いね。

ISOはオートのみ、ストロボ禁止の室内で1/4.5秒・F2.8・ISO80なんて露出だったから、ほとんど増感しない。
ただ、1/4.5秒とか1/11.5秒とか、そんなカットが不思議に手ブレせずに写っている。なんなんだろうこれ。

絞りはF2.8と、F6.0がある。なんとなくF6.0のほうがシャープに見えるから、NDフィルターじゃなくて絞り板はちゃんと入れるのかも。
撮影中に、たまに小さなモーター音がしているのを感じるが、絞りの入れ替えしてたのかな。それにしては音が長いけど、他にモーター音の心当りがない。


同じくらいの時代のローエンドクラスで、安物ゆえの単焦点レンズがかえって高画質のメリットに化けている機種は時々ある。
FinePix A202なんかは、何もかも超割り切った結果、機敏で使いやすくそこそこ写って誰がやっても失敗しなくて電池もすごくよく持つ、デジタル写ルンですが実現されていた。
サイバーショットP32は、やはり高速だし画質もなかなかだった。
EXILIMなんて、そういうカメラに割り切ったからあのサイズができた。
そういう「上手い安物」というようなカメラを、オリンパスはC-2で成功させていたのに、C-160は動作の遅さですべて台無しになってしまったなあ。


私史・2000年前後のPCゲームブーム

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最近、20歳くらいの若い子らと知り合う機会を得た。
それでオタ話していると、今から15年くらい前のPCゲーム、まあ単刀直入にいえばエロゲーブームの話をすると、意外に食い付きがよい。


なんで面白がるのか、正確にわかるわけじゃないけれども、あえて推察すれば、「自分たちが関われるほんの数年くらい前に全盛期があって、現在は下火の姿しか残っていない」というのは、興味深いのかもしれない。
Windows 95くらいからPCに入った我々世代にとっての、パソコン通信に対する感覚に近いんじゃなかろうか。
一応私も、28800bpsのモデムで電話して掲示板巡回とか、やったことはあるんだけど、本当にインターネットに急激に切り替わる間際のごく末端しか知らず、楽しい部分にはほとんど関与できなかった。
あそこには本当は何があったんだろう、とは今でも知らないままだし、たまに年上の人の昔話を聞くと興味深い。

話して面白がられるなら、blogに書いても面白がる人がいるかもしれない。
ので、ちょっと昔話と、あの頃の名作傑作というものがあればリストアップして……とか、あれこれ書いてみた。ずいぶん長くなってしまったけれども。


一応前提として、私は別にエロゲーブーム全体をよく俯瞰していたりはしないし、できないし、少しでもそうしようと努力する気もない。
せいぜい2003年くらいまでしか遊んでいないし、その頃でさえ、Leafの作品と、あとは周囲の友人らがプレイしているものを少しチェックする程度で、視野は狭い。2003年以後となると、本当に気に入っていたいくつかのブランドしか知らない。
よって、いろいろ雰囲気を見間違えているところも多いだろうけれど、しかしまあ、別に思い出話が偏っててはいかんという法もない。私がそう思うならそうなんだろう、私の中ではな。

せっかくなので、あの頃のゲームを今でもプレイする手段があるかどうかも、軽く調べてみた。
おすすめのゲームについては、わかったかぎりで、現在のプレイ手段を併記している。
主に、DMMのダウンロード販売で検索してみて、なかったら他のところも少し、くらいの雑な調査だけど参考まで。


「同級生」ブームとちょっと前史

さて、エロゲーというのは、それこそ8bit・16bitパソコンの時代から存在する。
私も80年代には、親のPC-9801VM2で、家にあった「団地妻の誘惑」とか「ザ・ナイトライフ」とか起動したことはあった。小学生の私には、どうプレイすればいいのかさっぱりわからんような代物だったけれど。
(80年代に家にPC-98があった、というと裕福な家のようだが、なんのことはない、大人げない父親が大人気なくボーナスを勝手に使い込んで購入しただけ。色々事情があって、うちはむしろ平均より貧しい

このPC-9801VM2は16色カラーボードが増設されておらず(なんのことかわからない人はお父さんに聞いてみよう)、ゲームは動かないか、動いても色がサイケに化けてどうにもならない。
遊べるゲームといったら、三国志IIとか信長の野望・戦国群雄伝みたいな、当時としても旧作ばかり。
そんな世代のエロゲーなら動くだろうけど、何があるかもよく知らず、知る情報源もなく、知ったところででんでんタウンに中古をあさりに行くのはコストもリスクも子供には大きすぎ、全然魅力を感じない。
パソコンは新品フルセットで軽自動車買えるような値段だったから、すぐ買い替えたりもできない。自分で買うなんて話にもならない。

現代のようにネットで情報を集めたりできる時代ではないし、同じ趣味の友人も居ない、というか学校にそんな趣味の持ち主がいない。都心ならMSX触ってた子がいたりしたかもしれないけど、田舎の漁師町では……
中学生だった90年代前半までは、たったひとりで、こつこつBASICのプログラミングを勉強したり、一太郎Ver.3でカセットテープのインデックスを感熱紙に打ち出したりしていた。マジメ!

その頃の唯一の外部への窓は、パソコン雑誌だった。
最初はI/O(今とは似ても似つかない、硬派な技術ネタばかりの雑誌だった)とマイコンBASICマガジン。中学に上がって少し小遣いが増えてから、ログインコンプティークも読むようになった。
そうすると、多少なりともPCゲームの情報が入るようになった。
プリンセスメーカー2が大人気で、コンプティークやログインが1年くらいの長きにわたってずっと記事を載せ続けていた記憶があるから、これが93~94年くらいか。
当時コンプティークには「福袋」といって、エロゲーの画面写真入り紹介を袋とじにしたページがあったので、エロゲーに関してはこれが最大の情報源だった。
あとは、ログインのモノクロページにもエロゲー扱うページができたりしたっけな。モノクロページの偏った連載がやたらと面白かった時代。「Wizでござるよ」に「勝鬨をあげろ」に。


で、この頃(私が高校に上がる頃、大体95年くらい)世間では、1992年にエルフから発売された「同級生」が大ブームになっていた。
雑誌経由でも情報が入ってくるし、セックスシーンをカットして家庭用ゲーム機に移植されたりして、どんどん広まっていった。
当時の時間感覚なので、92年のPCゲームが、95年とか96年にPCエンジンやセガサターンに移植されてるのは特に不思議ではない。同じようなものが何十作とある今のような時代ではないから、1作品の、しかもパイオニア的な作品の寿命は長い。
最終的には10万本のセールスがあったとか。

私も、ちゃんとプレイした初めてのエロゲーは、18禁でない家庭用版だったことにしておくけど、この「同級生」だった。
ブームを雑誌で知って、実際に手に入れられるようになったのは、家庭用が出る95~6年くらいにはなっていたはずならざるをえなかった。PC版発売からはかなり遅いが、ブーム自体が長期化していたから、さほど乗り遅れ感はない。
その頃には、なんとか自分が専用で使えるPC、富士通FM-TOWNS II HRを確保できて、セガサターンをお年玉叩いて買って、好きなゲーム遊べる環境になってもいて。

なお、家庭用ゲームに「ときめきメモリアル」が現れるのは94年から。当初PCエンジンでの発売で、プレステ・サターンに移植される95~96年になってブレイクした。
私が同級生を知るのも、周囲にメモラーが大増殖するのも、ほぼ同時期だったことになる。
さらにいえば、ちょうどエヴァンゲリオンが放送され、大ブレイクしていた時期でもある。
もっといえば、スト2以来のアーケード格闘ゲームブームも、絶頂期といっていいほどの盛り上がり。
高校生くらいでこれだけ娯楽に恵まれた世代が、後に就職氷河期にぶちあたってロスジェネ呼ばわりされることになるのだが。


「同級生」とはいかなるゲームなりや、といえば、後のゲームとそう大きくは違わず、何人もいるヒロインの誰かを選んで、繰り返し会って話してストーリーを進めて、エンディングまで読む。
一応、純然たるノベルゲームにはまだなっていなくて、会話の選択肢を選ぶだけではなかった。
RPGみたいに街マップの中で主人公を動かして、学校なり薬局なり自宅なりに移動して、ヒロインと出会える場所を探して歩きまわる。
行動すると時間が過ぎ、時にお金が減るから、考えて行動しなくちゃいけないゲームシステムはあった。
後のゲームではもっと簡略化された形になっていくが、原型的なものだった。

後に、エロゲーのシナリオに感動して号泣する人が大勢現れる時代が来るのだけど、そういうのは「同級生」の頃からあって、田中美沙シナリオの評価が高かった。
というか、そもそもキャラごとに十分読み物として成立するようなシナリオが付与されてるのが、当時としては斬新だったらしい。私はこれ以前を知らないから、伝聞でしかないけど。

ヒロインも10人以上と、量的にも充実していた。
「同級生」というタイトルだけど、別にヒロインは同級生に限らず、教師だったり、学校とは関係ない立場のキャラも多い。
ずっと後輩キャラもいたと勘違いしていたけど、学生のキャラはみな同い年の同級生だったようだ。そこはタイトル準拠といえるかも。

私の回りでは、まあ田中美沙か斉藤亜子かという人気だったかな。
田中美沙は爽やかなスポーツ少女で、結構まっすぐ人気でそうなキャラなのだけど、斉藤亜子というのはなんというか、歳上だけど生真面目で非常に初心という、ウケるのはわかるけど微かにマニアックなキャラだった。
私は黒川さとみがお気に入りだった。腐れ縁でやや男友達みたいに付き合う幼なじみキャラ、という今でも変わらぬ趣味がこの頃からある。結構こういうの年食っても変わらんね。

ストーリーにせよキャラにせよ、今でもそのまま通じる部分も多いだろうし、今でもあるけど形が変わっている要素に、20年前はこうだったのかと興味深く思える部分も多いと思う。
今見るとびっくりするような部分も、やっぱりある。

一番違うのは、主人公以外の男性キャラ。
最終的にその脇役の男性キャラが、ヒロインの誰かとくっつく展開になったりする。そうなるということは、そのプレイでそのヒロインを攻略してないんだから、寝取られというのとは違うけど。
開始段階ですでに、他の男性キャラと付き合ってて肉体関係もあるヒロインがいたりして、その場合主人公が寝取る話が展開される。
今なら炎上しかねないことだが、当時は別にそういうもんだと思われていた。

それとシステム面では、めんどくさいセックスシーン。
画面に表示されてる女の子の身体各部位を何度もクリックして前戯して、ひと通り前戯が終わるとマウスカーソルの形状がキノコ型になって挿入シーンへ……というなんともいえない手順。
もちろんスキップできない。クリックすべきポイントを見落として前戯が終わらず、ずっとハマったりしがち。
当時はこういう感じのものが「インタラクティブ」とかいって、コンピューターの新しい使い方として珍重されていたんだけれども。あれは中身の無いバズワードだったな……
ところで先日発売した「バレットガールズ」、これの尋問特訓をやって「同級生」を思い出しちゃったが、同じようなことやっても片やバカゲー、片や歴史的名作なんだから時代は残酷だ。


驚いたが、「同級生」はDMMのダウンロード販売で購入し、今でもプレイできるようだ。
しかも、当時のシナリオそのままで、グラフィックだけ手直ししたものと、後に出た新シナリオ・フルボイスのリメイク版と、どちらも用意されている。
私はオリジナル版しかやったことないので、上の話はすべてオリジナル版に基づく。

それから、今では当たり前のものだけど、当時としては多分珍しくノベライズが出ていた。
これが後に「まほろまてぃっく」の原作をやる中山文十郎の手で、全3巻くの大著。エロゲーのノベライズなんてものにあまり期待もしてないところに、意外な出来の良さだったのが記憶に残っている。



大ヒット作にはつきものの続編、「同級生2」もリリースされた。
PC版は95年発売で、ちょうど前作の家庭用版やときメモが出る頃に発売されている。家庭用への移植は97年ごろ。
こちらも、今でもDMMからダウンロード販売されている。

幸いにもこれはよくできた続編で、引き続きヒットした。
後に、エロゲーのシナリオに感動して号泣する人が大勢現れる時代が来るのだけど、「同級生2」の杉本桜子シナリオは、前回の田中美沙以上に大勢のプレイヤーを泣かせた。
今から思えば直球の病弱ヒロインものの話なのだけど、当時はみんなスレてなかったから。

内容的には素直な続編で、ほぼ同じシステムでありつつ、前作の違和感があるところをよく潰してある。
前回は、主人公が高校らしい学校の生徒なのにキャバ嬢がヒロインにいるとか、そういう不自然さがあったけれど、今回は少なくとも、知り合うこと自体が不自然というような人物はいない。
前回はストーリーフラグの管理が簡単で、5股や6股かけて同時にクリア条件を満たしておくようなプレイが簡単にできちゃったが、今回は難しく、普通には1プレイ1ヒロインになった。

キャラの中では、やはり王道妹キャラの鳴沢唯の人気が高かった記憶があるが、私は永島久美子が記憶に残る。
旅行先の旅館の娘さんなのだけど、田舎の子であることをネタにしてギャグみたいなキャラ付けされてる子で、今で言えば「アホの子」。パタリロみたいな顔で笑うのが印象的。

この頃、電気街などのゲームセンターに「ポスタードリーム」という、1回100~300円くらいでポスターが一枚、筒に入って出てくるやつがあった。(オタクがリュックに筒差してるイメージはこれのせいかも)
これに同級生シリーズのポスターが入った時は人気になったんだけど、不思議なことに、私がやるとひたすら都筑こずえが出る。5回やって4回こずえとか。
この都筑こずえというのがまた、なんだろう、狙いとしては後輩キャラだったと思うんだけど、今の後輩キャラとは全然違う。うざいとでもいってしまう他なくて、それも那珂ちゃんとか矢澤にこのような、愛嬌かネタに転嫁されるものでもない。
ゲームでもつきまとうかのように絡んでくるのに、ポスタードリームでまで絡みつかれて、なんだか呪われてるような気になったものだ。


90年代MS-DOSゲームの時代

「同級生1・2」を含む1995年以前のゲームは、PC-9801のMS-DOS上で動くものがほとんどで、余裕があればFM-TOWNSなど他のパソコンにも移植される、という調子だった。
PC-9801は、90年代なかばまで国内PCシェアの大部分を占めていた、NECの国産独自規格PC。当時はパソコンといえばPC-98。他に、富士通のFM-TOWNS、SHARPのX68000があってやはり独自規格。ゲームメーカーは各PCごとにプログラムを作りなおしていた)
95年以降もしばらく、まずPC-98 DOS版があり、余裕があればWindows 95版も出る、という調子。
その後どんどんWindows開発が主流になって、PC-98が消えていく。98年にはほぼ入れ替わってたかな。

PC-98 DOS時代には、画面に同時に表示できる色の数が16色まで、という制限があった。
たった16色では絵を描くには足りないから、違う色を交互に市松模様に並べることで中間の色を作る、というような、涙ぐましい技術があった。ほぼ職人技の世界。
今なら輪郭線がアンチエイリアス処理されるのも当たり前だけど、当時はそれを手作業でやった。角が出るところにグレーとかブラウンを手で入れる。
もちろん、ある程度自動化するソフトウェアがあったんだろうとは思うけれど……。
こういう技術は、老舗の大手メーカーでもイマイチなところはイマイチ。単色でぺたっと塗ってしまうから人の肌が鉄板みたい、線も無処理でガタガタ、なんてところもあった。

そういう時代に絵の技術が高かったブランドというと、好みは大いにあるだろうけど、やはりカクテル・ソフトが良かったと思う。
カクテル・ソフトは16色で塗る技術も高い上に、後にみつみ美里とともに人気者になっていく甘露樹がいたので、絵の質が高かった。
人気作「Pia☆Carrotへようこそ!」も、初代はPC-98 DOSから出た。これもWindows版がDMMで販売されていて、サンプルを見る限り、当時の16色グラフィックのまま収録されているようだ。PC-98 DOS時代の絵というものを知りたければ、これがいいサンプルになる。
カクテル・ソフトは後に、同じ会社の別ブランドであるフェアリーテールと合流する形で、現在のF&Cになる。


あとは、静止画でさえ16色しか使えないようなプアなパソコンで、果敢にアニメーションに挑戦する例も多くあった。
95年前後に現れてきて、ソニアの「VIPER」シリーズは人気が高かった。
現在も稀にゲームをリリースするJerryfishも、当時は海月製作所という名前で、98年というPC-98 DOSがほぼ終わりかけている時代に、「ラブ・エスカレーター」というアニメーション作品をリリースして人気を博した。

アニメに限らず、昔は技術力を振るうメーカーも少なくなかった。エロゲーが技術的に簡単な紙芝居的読み物に収束するのは、Windowsに移行してからもう少し後になる。
PC-98で格闘ゲームを作っちゃう、なんて事例もあって、これは戯画の「ヴァリアブル・ジオ」がヒットし、後にプレイステーションなどにも展開した。
これも何がすごいかわからないかもしれないが、当時のPC-98のグラフィック機能は、85年ごろに事務や製図を想定して設計されたもので、ゲーム用としてはファミコンにも劣る貧弱さだった。それをどうにかする技術力があってこその仕事。
もう少し動きの少ないゲーム、2D RPGとか3DダンジョンRPG、戦術シミュレーションゲームとか、そういうものをエロゲーにする事例は数え切れないほどあった。


この頃、というかもっと前から、アリスソフトはずっと業界の王者として君臨していた。「東のエルフ、西のアリス」とかいってたくらいで。
「Rance」とか「闘神都市」とか、DOSから続くシリーズもある。
ちゃんと歴史として振り返るなら、アリスソフトは無視するほうがおかしいんだけれども、私はどうしても肌に合わなくてほとんどプレイしていない。よって、ここではスルー。
絵もプログラムも内容もしっかりしてる、ということはわかってるんだけど。


PC-98 DOS時代の他のヒット作としては、シーズウェアの「EVE burst error」「DESIRE」なんかも後々まで引きずった人が多い作品。DMMでDL販売あり。
同じ菅野ひろゆきの作品で「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」も含めて3部作といわれているが、あいにくこれは権利の関係か、DL販売がない。

あとは「レッスルエンジェルス」は私は好きだったんだけど、これはそうムーブメントを起こしたような作品ではないようなあるような、どうだろう。
まさか2008年にもなってPS2でリメイクされるとは思わなかったが、とはいえ旧作はDL販売などもない。

それから友人に聞いてみると、アボガドパワーズの「黒の断章」「Esの方程式」も外せない、と。クトゥルフ神話をベースにしたサスペンス・ホラー。
後に、ビルの水道管が破裂して会社が水没するとか、酷い不幸に見舞われ続けたメーカーだったけれど、昔から作品の評価は高いところだった。今年ついに復活を宣言して、今後どうなっていくだろうか。
アボガドパワーズ旧作品も、DMMでDL販売あり。 


WindowsとLeafビジュアルノベル

さて、「同級生2」まではWindows以前の、MS-DOSのゲームだった。
しかし、95年のWindows 95発売とともに、OSが大きく地殻変動していく。
乗っかるべき地面が変化するなら、上に乗るゲームもまた変革を迎える。

当初は、MS-DOSで作ったゲームを、ただWindows上で動くようにしただけのものが多かった。
しかし1997年、Windows 95専用のゲームとして「To Heart」が現れた。
(発売順としては「雫」「痕」が先なんだけど、私くらいの世代だと「To Heart」を先にやってから遡行して旧作に触れることが多かったように思う。私もそうだったので)

OSがWindowsに変わることで、プログラムが利用できるコンピュータの機能が大きく広がった。
そして「To Heart」は、その広がった機能をごく素直に取り入れた作品でもあった。

今まで、たった16色しかない色を必死で使いこなしていたのが、一気に1677万色を自由に使えるようになった。(当時はその色数では処理が遅くなりがちで、65536色や256色に減らして使っていたケースが多かったけれど)
ので、「To Heart」は256色使って、大きくグラフィックの質を高めた。
今まで、BGMは主にFM音源という、スーパーファミコンなどでも使ってるようなやつで、しかも大抵はPCにFM音源ボードを追加しなくちゃならず、音ナシでプレイしていた人も多かった。
そこで「To Heart」は、当時当たり前になってきていたCD-ROMドライブを前提に、CDの音楽トラックをBGMにした。おかげで、BGMも大幅に豊かになった。
(今ならMP3的な圧縮音楽データを再生するのが当然なんだけど、この頃のPCでは再生に要する処理が重くて厳しかった。それに、CD-ROMのごく一部しか使わない程度のデータ量だったから、音声トラックを何十分も確保できた
CD再生にものをいわせて、BGMだけでなく、ボーカル入り主題歌を入れてしまったのも、当時としては斬新だった。
録音した音をそのまま再生できるPCM音源も使えるようになっていたから、「To Heart」ではサウンドエフェクトも充実した。「To Heart」はまだボイスなしだけど、これが後には音声入りゲームとなっていく。

後に、エロゲーが紙芝居的なノベルゲームばかりになるのも、Windowsによって利用可能になった機能がそのままノベルゲームの絵・音・音声・音楽を充足したから、という面がある。
当時のMS-DOSで作ってWindowsに移植したゲームでは、グラフィックも16色のまま、BGMはMIDI音源のまま(FM音源の他にも、外付けで利用する高価な音源があった)、SEもないまま、と、特にWindowsの機能を活かしていないベタ移植も少なくなかった。
最初からWindows用として制作された「To Heart」は、新しい時代の水準で作られたゲームでもある。


そして「To Heart」は、ことさら「読み物」であることに重きを置いた作品でもあった。
これまでのゲームはほとんどすべて、画面の上部にグラフィックを表示し、画面下部に文章を表示するウィンドウを置く、という形が多かった。
そこに、スーパーファミコンの「弟切草」などの、画面全体を使って文章を表示するサウンドノベル形式を取り入れた。(Leafの用語ではビジュアルノベル)
画面上で主役なのは、文章だった。
既読スキップとかバックログとか、そういう機能も当然備えている。

それだけ読ませようとしたシステムの上に、シナリオを書いたのが高橋龍也。
現在も、アイマスを始めとして多くのアニメの脚本をやっているあの人。
それともうひとり、青紫(竹林明秀)という人とふたりでやっていた。

この後、エロゲーがシナリオを読ませる作品ばかりになるのも、これだけ読み物であろうとした「To Heart」が大ヒットした影響は大きい。


さらにいえば、この頃には徐々に、個人のインターネット利用が始まっていた。
まだ通信速度は56Kbpsとか64Kbpsとかで(MじゃなくてK)、画像1枚ですら上からじわじわ表示されてくるのを分単位で待つような代物だったけど、ともかくもアーリーアダプターが集まってきていた。
そしてコミュニティが随所に生まれ、「To Heart」やLeafのファンコミュニティが大規模に形成されていった。
こういう時代に乗っかっちゃったのも、人気の要因のひとつだろう。

PC技術とネット技術の時代をキャッチできる偶然がいくつも重なりあって、しかも内容が面白かったためにブレイクした「To Heart」ブーム。
90年代後半、PCゲーマー層を代表する萌えキャラは、HMX-12マルチになった。
読ませるシナリオを読ませる形で見せつける作品だったがゆえに、エロゲーのシナリオに感動して号泣する人が大勢現れた。
また当時、エヴァンゲリオンについてやけに難しい言葉を振り回して大層に語るアニメファンがいたように、「To Heart」についてやたらと高尚な感じの議論を交わす人たちもいた。シナリオの批評やら、ロボットに心はありえるのか、とかそんなSFテーマとか。
他にも色々……しかしこのへんあまり掘り出すと、30代後半から40代前半くらいの人が爆発する危険があるから、若い子は触れないように。人には誰しも若い頃があるのだ。

さらに「To Heart」のフォロアー作品も続々と現れてきて、これが21世紀にかけてのノベル系エロゲーブームへと広がっていく。


旧作「雫」「痕」は、学園恋愛ものの「To Heart」と違って、伝奇ホラーものだった。
キャラを攻略していくタイプの「To Heart」とは違って、ひとつの事件に対する大きな物語があって、それがヒロインごとに切り口が変わるという形式で、ひとつの読み物としてはこちらのほうが面白いと思う人も多い。
「雫」は、もう少し後に流行るセカイ系とか電波系ヒロインを先取りしていたようなところがあるし、「痕」は未だにコミカライズをやってるくらい根強い人気がある。
「To Heart」のブームは、リーフ・ビジュアルノベルシリーズとされていたこの3作をひっくるめてのブームだった。

私は「雫」が好きで、かなり後まで年に一度「雫」を再プレイする習慣があった。
私にとっての中二病とかセカイ系とか、そういう欲求は大体すべて「雫」と、後に出会う「腐り姫」で充足されていた。
単に作品として比較したら他に良い物もあるんだろうけど、出会うタイミングが良かった作品はずっと最高のものになってしまうものでね。


現在これらを再プレイするのは、意外に難しそう。
「雫」は、DMMでダウンロード版があるので問題ない。ボイス入りのリメイク版のようだし、絵の雰囲気は塗りなおしでだいぶ変わってはいるけど、一応同じ原画のようだ。
しかし「痕」は、旧作に盗作問題などのトラブルがあったせいか、同じくダウンロード版があるものの、原画から総入れ替えしたリメイク版しかない。
我々の知ってる「痕」はこんなゼロ年代の絵じゃない、という思いはどうしてもある。老害の難癖みたいだけれど、まあこれは昔話の記事であるからして、正直に老害しておく。
「To Heart」に至っては、どうやら未だに現行商品扱いのようだ。ちゃんと出荷されて店頭にあるのか、Windows 8なんかで動くのか、どうだろう。


Tactics・Key

大ヒット作にはフォロアーが現れるのが世の常。
特に代表的なフォロアーは、Keyの「Kanon」と、そのメンバーがTacticsというブランドにいた時代にリリースした「ONE ~輝く季節へ~」だろう。(便宜上どちらもKey作品と呼ぶ)

もっとも、私は時代をLeaf基準で見てる節があるので、Keyはフォロアーだと捉えている。
しかしKeyスタッフは「ONE」以前から、かなりシナリオに凝ったゲームをリリースしていたから、別にLeafの後追いをしようとしたものではない、と見るほうが歴史的に正しいかも。
読み物的なノベルゲームが技術的にWindowsに沿っている、とは前述の通りで、だとすればこの時期に自然発生してくるものでもある。

世間的には「葉鍵系」などと呼ばれていたように、ひとつの固まったブームと見る場合も多い。私だって、文脈によっては一緒くたにしちゃう。
一応当時の感覚としては、概ねファンは重なっているのだけど、少しだけずれる部分もあった。年齢で見ても、私の知ってるLeafファンは多くが同い年か年上だったけど、Keyファンは年下が多かった。


ともあれ、「エロゲーに感動して号泣する人」というのを、おそらく狙って発生させるようになったのはKey系作品だった。

「ONE」は、「えいえんのせかい」という独特の設定を置いて話を回す、癖のある作品で、ピンと来た人への求心力がものすごく強かった。SFというのでもなく、なんだろう。
私は面白いとは思ったけどそこまでハマった方でもないので、これはハマった人の話を聞いたほうがいいかと思う。
書籍では、現ラノベ作家の本田透がかつで出した新書「萌える男」に、「ONE」について語ってるページがあった。


はっきりと泣かせにきてるゲームだったのが「Kanon」。
なんかこう、前半で散々日常系の萌えるエピソードを繰り返しておいて、最後に無理矢理ふたりが引き剥がされるような事件があってそこで泣かせて、そして最後はなんとか繋ぎ止められて大団円、という調子。
こう書くと嫌いだったかのようだけど、なに、当時釣られたから悔しかっただけのことである。
他はまだしも真琴はずるい。うん。当時、沢渡真琴に入れあげてしまう病気を、狐の媒介する病気に引っ掛けてマコピコックスといっていた。

この泣かせ構造自体は「ONE」にもあるんだけれど、「ONE」をこの視点で見ると、「えいえんのせかい」は最後の悲劇を起こすためのご都合主義的装置だと解釈されてしまうので、ちょっと読みが浅くなるかもしれない。
うん、読みが浅くなる、などということを気にしてシナリオを解読しようとしてたのが、この時代の葉鍵ファンの正しい態度だ。


この頃の葉鍵ブームには、「Kanon」の次作「AIR」も含めるのが普通だろうが、あいにく私は「AIR」やらずじまいだったので割愛。

さらにその次の「CLANNAD」は、延期に延期を重ねた。
当時の期待作だった「SNOW」「マブラヴ」「CLANNAD」が、3作も揃って延期し続け、果たしてどれがちゃんと発売されるのか、などとネタにされて笑われる有り様で。
「AIR」が2000年で、「CLANNAD」は2004年。ブーム期に4年もあけたら、もう時代の雰囲気が変わってしまうし、私自身は食指も動かなかった。
しかし、もうこれだけ遅れちゃどうにもならないだろう、という私の予想をよそに、ちゃんと新しい世代を取り込んでファンの地盤を固め直したから大したものだ。


Keyの旧作を今プレイするなら、「Kanon」「AIR」は動作環境を更新しつつ現行商品のようだ。
ぶっちゃけこれのセックスシーンなんてどうでもいいので(エロゲーなのにエロがどうでもいい、という方向性の走りでもあった)、全年齢版でも構わない。

「ONE」は、Gyutto!でダウンロード販売中。(ブランドはTacticsでなくBaseSon)
いずれも、当時から良くは言われてなかった絵がそのままのようで、オールドファンとしてはむしろ嬉しい。絵は問題じゃなかったんだこの頃は。


「WHITE ALBUM」以降のリーフ

フォロアーに煽られる側のLeafはというと、「To Heart」に続いて、98年には「WHITE ALBUM」をリリースした。

Leafファンの中でも原理主義的な人は、「To Heart」以前のビジュアルノベルしか認めない、と言い張るんだけど、そういう人を発生させる程度には、「WHITE ALBUM」はテイストが違った。
もちろん、引き続き支持する人の方が多かったように思うが、とにかく絶賛されていた感じの「To Heart」に比べると、温度差はあった。
なんか、嫌がる人は部分否定で済まずに、ばっさり全否定してしまうような雰囲気があったな。

シナリオライターも、高橋龍也から原田宇陀児に変わった。
そして出てきたものは、いわば純愛モノ的なシンプルな話だった「To Heart」から、『アイドルの彼女がいるんだけど、仕事ですれ違いが多くなって浮気する話』という、興味深いが冒険的な話になった。
「浮気とか絶対に許せん」とかいってる人も確かにいた。
主人公の藤井冬弥も、気に入らないという人も多かった。ぐじゃぐじゃ鬱陶しい言い訳しながら結局性欲で浮気するクソ野郎、と、確かにそういわれればその通りではある。
万人受けの「To Heart」に比べれば、人を選ぶのは確かだった。

今プレイするなら、最近になってPS3でリメイクされ、PC版はDMMでダウンロード販売されている。ただし、セックスシーンがカットされたりして、いわゆるエロゲーではなくなっているし、ということはおそらくシナリオも異なっているんじゃないだろうか。
当時のままのものは、もうプレイできないことになる。

リメイク版は絵も描き直されているけれど、一部は当時の描き手・カワタヒサシが描いているようだ。
当時から、複数人でキャラを分担して絵を描いてるゲームは多かった。「To Heart」もそうで、水無月徹とカワタヒサシ(当時は確か、ら~YOUというペンネームだったと思う)のふたりでやっていた。
しかしカワタヒサシという人は、一緒に仕事する人の絵柄に巧みにすりあわせて、違いが違和感にならないように調整するのが巧い。プロの仕事だとつくづく思う。
絵が違うリメイク版でも、そのすりあわせ技術に目を向けると面白いと思う。


「WHITE ALBUM」の次は、「こみっくパーティー」という、まさかの同人サークル経営シミュレーションゲームが飛び出した。

Leafは意外に、技術を駆使したがる傾向があった。
「雫」「痕」などのビジュアルノベル形式は、Windowsの機能があればこそ高度かつ簡単に実現できるものではあったけれど、Leafがそれを始めたのはDOSの頃からで、DOSでやるなら結構大変なはず。文字フォントを作ってしまうような手間もかけている。
この後も、3DアクションやらアクションSLGやら、ノベルゲームでは飽き足らないような姿勢でゲームを作っていく。

「こみっくパーティー」は、さほどゲーム性の高いものだったわけじゃないけれども、軽いコメディタッチのシナリオと秀逸なキャラ立てで、既存の読み物方面のファンにも上々の人気。
私見ではあるけど、ことキャラの秀逸さに関しては、Leaf歴代のゲームの中でも一番といってよいと思う。
家庭用ゲーム機にも移植され、旧来のオールドファン以外にも門戸を広げた。
どうも同じ99年リリースの「Kanon」と比べて、人気で一枚落ちるような扱いをされがちだが、こっちも紛れも無い大人気作だった。

私には、Leafファンコミュニティ時代から今でも付き合いのある友人らがいるのだけど、私と彼らは「こみっくパーティー」の芳賀玲子が、(シナリオの出来がイマイチだったせいだけど)不人気キャラ扱いされている風潮に叛旗を翻し、「何言ってんだ玲子かわいいだろ」と一致団結して集まった面々であった。
そういう秀逸なキャラゲーとしての熱量があった。

またこのゲームは、当時絵柄にすごい人気があったみつみ美里らをF&Cから引き抜いて設立した、Leaf東京開発室の最初の作品でもある。
F&Cのファンからすれば忸怩たるものもあるかもだけど、まあLeafファンから見れば、まったく新しいテイストを持ち込んで大成功した、となる。

アニメ化もされ、原作ファンには不評気味だったものの、同人誌を作った経験のある人たちに好評を得て、そっちのファンも掴んだ。
後に、原作のコメディタッチを再現するような再アニメ化「こみっくパーティーRevolution」も放送された。我々はこっちが好き。

今プレイするなら、「To Heart」同様にこちらもまだ現行商品となっているようだ。


で、大ヒットの直後が苦しいのは世の常かもしれないが、次作、2000年の「まじかる☆アンティーク」
こちらは、後に独立してPULLTOPを設立する椎原旬がシナリオを書いた。
またも読み物ゲームではなく、骨董品店経営シミュレーションゲームの形をとっていた。

しかし、どうもいまいち評価が高くなかった。
極めてビビッドなキャラゲーだった「こみっくパーティー」と比べれば大人しいし、「Kanon」ほど徹底的に読ませて泣かせるようなシナリオだったわけでもなく、悪くいえば中途半端な話だったのが悪かったか。
あるいは単に、新しいシナリオライターだから、高橋龍也じゃないから、と嫌がられたのかもしれない。原田宇陀児に対してもそれがあった。
「まじかる☆アンティーク」にはごく一部、隠しキャラ扱いのヒロインだけ高橋龍也がシナリオを書いたのだけど、「そこだけは面白い」などと公言するファンもいた。

でも、私や友人らの間では評価が高かった。
これまでのLeafを含めて、多くのキャラ攻略型のゲームは、各ヒロインのひとつずつの物語があるだけで、それぞれの物語がほとんど交わらないのが普通だった。「To Heart」も「Kanon」も、「こみっくパーティー」もそうだった。
しかし「まじかる☆アンティーク」は、各ヒロインが主役になる物語はあっても、常に他のヒロインが関与し続けて、無視されずに役割を得る。バラバラの話の集合体ではなく、すべてのストーリーを見終わった後に、全体がひとつの作品として調和していた。
そういう評価が、当時は得られなかった。

残念ながら不人気作扱いのためか、現在はダウンロード版の提供もない。
本数は多く出てるはずだから、中古があればごく安いはず。


そして決定的にやらかしたといわれるのが、2001年の「誰彼」

まあ、うーん、駄作といわれまくった作品ではある。
ただ、これは単に、ネットで今でいう「炎上」が起こってただけのことで、実態以上にバッシングされまくってしまったようにも思う。ネットのバッシングによってぶち壊される、という今ではよくある出来事の、かなり早い時期のもののひとつ。
しかし、燃料になりそうなゴシップが多い作品だったのも事実だ。

「WHITE ALBUM」の原田宇陀児の次回作、ということで開発が始まったのに、原田が途中で退社してしまい、竹林明秀(「To Heart」では青紫というペンネームだった)が引き継いだ。
元々、「大日本帝国が極秘に開発していた改造人間によるバトルもの」と、上手くやれば面白くなろうけど、それをエロゲーのシナリオにするのは? という話で、これを途中交代で続きを書けと言われたら大変だろう。

時期が正しいか自信がないけど、竹林明秀がかつて手がけた「痕」のオマケシナリオが、昔のショートショートSFのパクリじゃないかと指摘され、騒ぎになったのも確か「誰彼」の頃だったはず。
私を含めて気付いてた人は当時から大勢いたと思うんだけど、何で今頃に問題になったんだろう、と当時思っていたが、講談社からクレームついたせいだったらしい。
あとはまあ、竹林明秀も「To Heart」の時にちょっと天狗になってしまったというか、大きなことをちょっと癖のある表現で口走ったもんだから、「リアルリアリティ」とか流行語が出来て笑いものにされてしまったり。

そんなふうに、とにかくネットでネタにされそうな出来事を、ふんだんに供給してしまった。
「あまりに売れないから100円でワゴンセールに入れられていた」なんてデマが飛び交って、「誰彼100円」とか、竹林明秀は「100円ライター」だ、とか、もう口を極めて罵られていた。
「おまえの感じている感情は精神的疾患の一種だ。鎮める方法は俺が知っている。俺に任せろ」という一文が悪文の見本みたいに嘲笑われていたりもしたんだけど、この程度なら、読み手が意味を取り違えるような文章でもないし、いささか悪ノリだったと思う。

まあ、私は100円どころか、発売一週間後、「これは駄作っぽいぞ」と言われ始めていた時期に、量販店のフツーの価格、定価の1割引きで買った。誰彼愛。
主題歌つきはいつものことだが、今回はなんと男性ボーカル。Kayaの歌う「旅人」、これがなんともカッコいいか、カッコつけすぎて滑ってるかギリギリみたいな歌で、歌詞といいボーカルの節回しといい、そしてめっちゃナルシスティックなギターソロといい、大好きで今でもカラオケで入れる。誰彼愛。
ゲームシステムは、ノベルゲームに戻った。
とはいえ、ただ戻っただけでなく、「チップアニメ」と呼ぶ、格闘ゲームみたいなドット打ちで描かれた小さなキャラがアニメーションでアクションしまくる、手間はすごく掛かってそうなギミックがあった。
まあ、これも「なんで手の甲を前に向けて歩いてるんだ」とか笑われたり、私には「これ手間に対する効果は十分なんだろうか」とか心配されたりしたが、後にこの技術が「うたわれるもの」で結実するのだから無駄ではない。誰彼愛。

そんなこんなで、私みたいな「誰彼」好きだと公言しているファンにさえ、ネタとして愛されているような面のあるゲームになってしまった。
隙が多いこのゲームの、隙の多さを愛嬌と取るか、欠陥と取るか、そんな差だったかもしれない。


「誰彼」の数年後、竹林明秀が交通事故で急逝した、という報があった。
この時は、今まであれだけ嘲り続けていたところから、急に手のひら返したように「誰彼」もやっぱり面白かった、みたいな声があがったりして。
私も、斜めに見て笑っていたような面は大いにあったから、後ろめたいようなところはあった。だから、急に賞賛に回りたくなる気持ちはわからんではない。
しかしながら、私は本気で全否定しているつもりもないし、愛せる部分をたくさん拾い上げたつもりでもある。
だから私は、ことさら態度を変えず、相変わらずネタ半分本気半分、「む」と坂上蝉丸の真似をしてみたりしながら、今後共自称「誰彼」ファンでいようと思う。

「まじかる☆アンティーク」同様、リメイクもダウンロード販売もないようだ。
Leafが何かやるというウワサを聞く度に「ついに誰彼リメイクか!?」と反応するのも定番のネタだったんだけど、まあ、ないだろうな。


次作、2002年の「うたわれるもの」は、「こみっくパーティー」以来の東京開発室。
これまた秀逸なアクションSLGで、なかなか人気を得た。
やって面白いゲームだったし、家庭用ゲーム機にも色々移植され、アニメ化までされる人気作になったのもうなずける。
アニメ化した頃にやってたラジオが暴走して楽しかったりも。「真・うたわれるもののテーマ」のCDリリースとか、よくわからない方向にまで飛んで行ってたな。箱根のみなさーん、うたわれるものですよー。

ただ、「To Heart」から5年の時を経て、そして「WHITE ALBUM」以来少しずつ少しずつ積み重なった齟齬もある。
「うたわれるもの」のファンと、「雫」「痕」「To Heart」のファンとは、もちろん重なる人もいるだろうけど、かなり入れ替わってしまっているように思う。本当に根拠ない印象論だけど。
90年代後半からのエロゲーブームのうち、「葉鍵ブーム」と絞り込めば、「誰彼」をやらかし、「CLANNAD」が果てしない延期坂を登り始めた2001年を、ひとまずの区切りと捉えていいかと思う。

私自身は、この次の「Routes」とその次の「天使の居ない12月」まではプレイしたものの、さすがにこの頃には、かつての熱心さを失っていた。どっちも良作ではあると思うのだけど。


ちなみに、エロゲーの発売本数は、今日から始めるゲーム統計学というサイトで集計した記事があったが、2007年くらいまで増加を続けている。
2001年だと、2007年の6割くらいの本数でしかない。
だから、2001年はまだまだ、葉鍵ブームの一区切りと私が言ってるだけで、エロゲーの成長は止まっていない。


ちよれん(nitro+、0verflow、Age)とTYPE-MOON

さて、Leafが少しずつブームとずれていく時代にも、エロゲーというものが一般化していく傾向は続いていた。
そもそも、パソコンの普及率が上がり続けていた(社会実情データベースより)。2003年に80%くらいになるまで上がり続け、それ以後は同じくらいで安定する。
その頃までは、パイは膨らみ続けていたと見ていいだろう。

ならば、Leaf・Keyが2001年に足を止めても、まだエロゲー業界は止まらない。
代わって勃興するメーカーがあった。
それはTYPE-MOONと、ちよれんと呼ばれるnitro+、0verflow、Ageの3社だった。と、ここではしておく。

まあ、カンブリア大爆発のごとく多種多様なエロゲーが出ていた時期だから、とても業界全体を見るのは難しく、人によっては他のものがメインストリームに見えていたりはしたと思う。
例えば「D.C.」のCIRCUSとか、「とらいあんぐるハート」のJANIS、「月は東に日は西に」などのオーガストあたりも人気だったはずなんだけど、どうも私や周囲とはまったくマッチしないセンスで、まるっきり見えてなくって。



ちよれん3社については、まずnitro+。
もう今やアニメ原作だなんだかんだと、そこらじゅうで嫌でも名前を見るブランドだが、エロゲー業界に現れたのは2000年の「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」から。
以後、連続ヒットでどんどん存在感を増していった。

まあ、実は私は「鬼哭街」が面白いと思えず、「誰彼」の方がよっぽどカッコいいじゃねえかとか誰も同意しないことを主張したりしていたくらいには肌が合わなかった。
そこからさらに広げて、「nitro+とちよれん一党はLeafの天下にクーデターを図る反逆者だ」とか無茶苦茶いいながら、ちよれんを敵視しているという設定で遊んでたり。
(こんな遊びをおおっぴらにやったら本気にする人が出るので、あくまで内々で、自分を90年代Leaf原理主義テロリストと位置づけて笑いが取れる場面に限定したジョーク)


0verflowは、まあ私が知らないだけだが、この時点では「らーじPONPON」という妊婦ものなんてコアなことやってるブランド、くらいの印象しかなかった。
「School Days」をやらかすのはもっと後の2005年のことだし、プレイステーションに「シスタープリンセス」を出してたSTACKと同じ会社だと知ったのもずっと後。


Ageには、「君が望む永遠」というスマッシュヒット作があった。
その後も「マブラヴ」シリーズで存在感を見せていた。延期しまくってたけど。

「君が望む永遠」は、「WHITE ALBUM」を遙かにイヤな感じにしたようなドロドロの恋愛トラブルドラマ。文章量も膨大だったもんで、私はもう疲れ果てて、全部のシナリオを読み通すとこまで行けなかったな。
ただ、後にいうヤンデレキャラがいたのがよく印象に残っていた。
「School Days」も含めて、エロゲーの方からヤンデレを世に送り出したのは、ちよれんなのかもしれないな。


触れ方があっさりしてるのでわかるとおり、私個人としてはあまり肌に合わないブランドばっかりではあった。
ただ、Leaf時代からの友人でもnitro+を気に入るケースは多かったので、好き嫌いの差が出ただけだろう。本当にファン層とかけ離れていれば、オーガスト系みたいに「流行っている事自体が目に入らない」となるはずだから。
現にあれだけ成長していったからには、相応の内容はあるんだろうと思う。

時代の資料として今からプレイするなら、「Phantom」「吸血殲鬼ヴェドゴニア」「斬魔大聖デモンベイン」「沙耶の唄」、「君が望む永遠」「マブラヴ」、「School Days」あたりだろうか。
こうして並べ立てると、やっぱりポストLeaf・Key的なものに見えるかも。センスがまるで違うし、葉鍵的なものでは物足りないと思えてきた人への訴求力があったのかもしれない。

DMMを見ると、ニトロプラスは「デモンベイン」と「沙耶の唄」はあったけど、「Phantom」は続編らしいのだけ、「ヴェドゴニア」はなかった。権利関係かな。
Ageと0verflowはひと通りあった。



TYPE-MOONについては、現在進行形で人気があるわけだから、古い話として話さなくてもよかろうと思うが少し。

「月姫」が同人ゲームとしてリリースされたのが2000年末の冬コミ。私も多分翌年には、同人ショップで購入したはず。
2000年前後って、「同人ゲームの大ヒット」というのが現れてくる時期でもあって、1998年にはLeafキャラを使った格闘ゲームの「THE QUEEN OF HEART」が出て、2002年には「東方紅魔郷」「ひぐらしのなく頃に」が出ている。

「月姫」は、質も量もどうにも桁外れな、異様な同人ゲームだった。
それに、葉鍵系ファンとの親和性も高かった気がする。というか、葉鍵系のコミュニティに持ち込まれて大きな話題にならなければ、コミケに興味を持ってない私のアンテナにはなかなか掛からなかったはずで。
同じ伝奇ホラーということで、「痕」が好きなLeafファンのツボに入りそうな気もする。「痕」的な作品ってLeafからは出なかったから、その受け皿になったかもしれない。

しかし、もしかして「月姫」というのは、商業ベースでの再販もかかってなくて、現在は入手困難なんだろうか。
あれだけアニメにコミックにと広がったものが、今から原典に当たれないというのは意外だな。


ライアーソフト

市場が小さいと、メインストリーム的なものしか話題にも商売にもなりにくいのだけど、膨らんだ市場ではバイプレイヤーの存在する余地が出てくる。
まあ、メインになれなかった、という意味のバイプレイヤーは無数にあるんだけど、ひと味ちがう作風のブランドだと認知されながら、一発屋ではなくずっと活動し続けていた、という意味で、ライアーソフトは名脇役だろうと思う。

1999年に世に出てから、タイトル見ただけで何かちょっとおかしなゲームをずっと出し続けていた。
母体がTRPGなどで知られた遊演体で、そこから風変わりな発想力が出てきていたのかもしれない。

2000年の「行殺♥新選組」は、新選組の隊員を萌えキャラ化した歴史女性化ネタ。2002年にボイス入りになった「行殺新選組ふれっしゅ」も出た。
いちいち史実を踏まえているくせに不条理にぶっ飛ぶ、レベルの高いギャグが連発される秀作。芹沢鴨を、カモミール芹沢なる金髪女性にすり替える発想のキレからして、すでに見事。この冴えっぷりは全編に及ぶ。

他に「サフィズムの舷窓」(2001年リリース、2004年ボイス入りリメイク)なんてのも、男のいない船を舞台にただただ百合というかレズというか、挑戦的なことをやっていた。今みたいに、なんとなく百合っぽいのが好まれがちになるような時代ではない。
これは特に百合好きに限らず、耽美調を装ってあれこれやらかすネタが面白いコメディ作品としても読める良作。

また、「電波ソング」というのもエロゲーの影響がかなり大きいもので、初期のヒット曲『メイドさんRock'n Roll』も『恋愛CHU!』も『さくらんぼキッス~爆発だもーん~』も、みなエロゲー主題歌。
ライアーソフトもかなり早い段階からおかしな主題歌をつけていて、「行殺♥新選組」とか「ぶるま~2000」の主題歌で、電波ソングブーム勃発の一翼を担った。


で、現在TYPE-MOON所属で、アニメ「世界征服~謀略のズヴィズダー~」の脚本をやった星空めておの、ライアーソフト時代の最高傑作たる「腐り姫~euthanasia~」が、2002年に出る。
最高傑作というのは、単に私が好きだからそう言ってるだけではあるのだが。

外形は「痕」とか「月姫」のような伝奇ホラーなんだけど、終盤に物語の全貌が見える頃には、まるで違う話だとわかってくる。
最終的には当時流行した類型そのものの物語ではあるんだけど、それをここまで鋭く美しく書いた作品は他にない。

説明するほどバレるゲームだから、人に勧めるときも説明しないのだが、私がやったことのあるエロゲーから最高のものを3つ選べと言われれば間違いなく入れる。1つといわれても、迷って「腐り姫」を選ぶかもしれない。
それくらい、刺さる人に刺さる作品だった。


ライアーソフトはダウンロード販売に積極的で、今でもウェブサイトから多くの作品が購入できる。
挙げた3作はいずれもおすすめ。
「腐り姫」はグラフィックの解像度を上げたものが販売されていて、ちょっと嬉しい。


椎原旬とPULLTOP→SEVEN WONDER

Leafで「まじかる☆アンティーク」を出した椎原旬は、退社して独立、PULLTOPを起こす。

PULLTOPは今では結構人気のあるブランドらしいのだが、2002年の独立一作目「とらかぷっ!」は、「まじかる☆アンティーク」の時点で椎原旬という人への評価がもうひとつ良くなかったし、あんまり目立つ門出ではなかった。

「まじかる☆アンティーク」はほのぼのしたテイストだったけれど、PULLTOP時代の椎原旬は、芸風がぐっと明るくなる。
ギャグっぽすぎるわけでもなく、悪ノリじみてるわけでもなく、夏っぽいとでもいうか、気持ちのいい明るさが出た。それが、「まじかる☆アンティーク」以来の、常に登場キャラ全員を絡めてストーリーが展開する賑やかさと合わせて、なんともプレイ感がいい。

PULLTOPは、椎原旬シナリオ・たけやまさみ原画のコンビのゲームが2年に一度、その間の年には外注シナリオ・藤原々々原画のゲームが、交互にリリースされる体制をとった。
二作目の「夏少女」こそちょっと滑った感じはあるけれど、どちらのラインも秀作を出し続けていく。

椎原ライン二作目・2004年の「お願いお星さま」は、王様ゲーム的なネタでコメディに振った。
「どのキャラのシナリオでも、他のヒロインを捨てキャラにしない」というのが、私がずっと椎原旬を見続けて見出したイズムなのだが、これはそれが煮詰まった形と私は思ってる。
三作目・2006年の「PRINCESS WALTZ」は、外観は姫騎士モノのようだけど別にオークとか出ないので「くっ……いっそ殺せ!」とかはやらない。
これはちょっと特異なゲームで、先のイズムを突き詰めすぎたら違う方向に抜けたような内容で、上級者向けか。これはよく見ると、ヒロインひとりしかいないゲーム。ヒロインがひとりしかいない、じゃなくて。
四作目・2008年の「てとてトライオン!」は、わかりやすく明るく楽しいゲーム。人に勧めるなら「とらかぷっ!」かこっちか。

一方の藤原ラインは、2005年の二作目「ゆのはな」で火がつきはじめる。
複数ヒロインのオーソドックスな形式ではあるけれど、泣きゲー的な要素も、やたらキャラの立った脇役が引っ掻き回すコメディ要素も、ヒロインに振り回される主人公も、当時のトレンドを高度かつバランスよく取り入れた秀作だった。
それから、どうもこうエロいゲームだった。ずっとエロゲーの話してるくせにエロいという話をさっぱりしてなかったのだが、これは。
2006年末の三作目「遥かに仰ぎ、麗しの」もまた同様に高水準で、これはいよいよ大人気になった。
これも確かに面白いのだが、前にエロかったような部分が笑いどころになってしまった。未だにたまにネタにされてるの見るな……
2009年に「しろくまベルスターズ♪」をリリース。これも少し小粒感はあるが、もちろん佳作。
椎原作品が夏っぽいイメージなのに対して、藤原作品はどれも冬が舞台で、おそらく狙ってやってると思う。

ああ、PULLTOPのゲームをやって、声優さんについて気付いたことがあっても、あまり公言しないのがよろしい。こっちの仕事を違う名前でやってるなら別人だとするのがマナー。


順調にヒットを連ねていたPULLTOPだけれど、一体何があったのか、創立者であるはずの椎原旬と、第一作からのコンビであるたけやまさみが揃って退社。
彼らは再び独立するように、SEVEN WONDERブランドを立ち上げる。
PULLTOPの新作は藤原ラインが残るのかと思ったら、ほとんど違う面々による新作が発表され、そのまま今に至る。

SEVEN WONDERになってからも変わらず椎原らは佳作を出しているが、藤原ラインは消え去ってしまった。
好調なものが突然割れたように見えていたけど、一体何があったんだろう……


椎原・藤原時代のPULLTOP旧作は、ダウンロード販売などは見当たらない。
オフィシャル通販にあたるウィルプラスで、今でも新品を通販で購入できるようだ。「とらかぷっ!」と「お願いお星さま」は廉価版になっていて買いやすい。



今も他方面で活躍する人々

「To Heart」の高橋龍也が現在はアニメ脚本で活躍していたり、nitro+がアニメ原作に入ってきていたりする昨今だけど、それ以外にも、エロゲー方面から世に出た人は多くある。


高橋龍也はというと、Leafを退社して独立、playmというブランドを設立した。

2004年に「リアライズ」をリリース。
「To Heart」路線よりは、「雫」「痕」に近いが、伝奇ではなくて、ラノベでいう学園異能モノ。しかしそれを変にテンションを上げず、渋くクールに描いていく芸風だった。

私は「高橋帰ってきたなあ」と喜んでいた作品だったし、今でも至って優れた作品だったと思ってるのだけど、なぜかネットでひどくバッシングされて駄作みたいにいわれてしまったなあ。
ネットって、例えば「誰彼100円」みたいに、バッシングのために作られたワードだけがやたらと乱用されて広まるケースがあるけれど、「リアライズ」においては『ジャンプの打ち切りEND』というワードがぽんぽん飛び交っていた。
話が終わっていないエンディングだ、といいたいらしいのだけど、私はむしろ、一から百まで事細かに解説せにゃダメだと言い出す風潮があるんだな、と驚いたくらいで。
この後に人気マンガの「ホーリーランド」が終わった時も同じようなケチがついて、同じようになぜ全部説明しろと言い張るのか理解できなかったんだけど、これは世代のものなのかな……

2006年に「レイナナ」をリリースして、playmは活動停止状態に。
まあ、残念ながら「レイナナ」はヒットせず。まあ私があまりエロゲーに意欲を持てなくなってた時期ではあれ、これはあまり面白いと思えなかったな……。
途中でシューティングゲームを挟み込むような、意欲的といえば意欲的な作品ではあるんだけど、そのシューティングがMS-DOS時代みたいなレトロさで、意欲が空振りしてた感じが。

なお、どちらもサントラが秀逸。未だにちょくちょく聞いてる。入手困難だろうけど。
ゲーム本体もどちらもDL販売などはないみたいで、現在はプレイ困難か。「リアライズ」はPS2版があるが、入手性はわからない。

高橋龍也はこの後しばらく音沙汰がなく、消えた人かと思われていたが、だんだんとアニメのスタッフロールに名前が見えるようになってきて、今に至る。
ゲームは出していないし、今後ゲームで名前を見るとしたら、新作アイドルマスターのシナリオとかなのかもしれない。



現在はラノベ作家として、「10歳の保健体育」「彼女がフラグをおられたら」などで活躍中の竹井10日は、Marronというブランドを自ら起してゲームを出していた。

2001年のデビュー作「秋桜の空に」は、発売当時は無名ブランドからぽろっと出た、まったくノーマークの作品だった。
しかし、「異様に面白いゲームがある」という口コミが広まって、じわじわ売上を伸ばしたという珍しいケースの作品。

なんか、色々変で荒削りなゲームではあった。
絵も上手いとはいえなくて、パースが狂ったままどーんとフル画面で出てきたりしちゃう。
音楽も、なんで学園恋愛ゲームのヒロインのテーマBGMが、ハウスとかドラムンベースだったりするんだと頭を抱える。とにかくシンセで打ち込んじゃったらしいサイン波重低音ベース、サブウーファーか大型ヘッドホンでしか再生できなかった。
ゲームのシステムプログラムもバグっぽくて動くOSが限られ、たまりかねた有志がシステムをそっくり作り替え、Windows XPやLinuxに対応したものを開発・配布したりしたほど。
そして、そんなことをさせてしまうほど、強烈で鮮烈に面白い作品だった。

当時、ほとんど注目されていなかった「姉属性」というのも、エロゲー側から世に送り出したのは紛れもなく「秋桜の空に」だった。この点だけでも、「姉、ちゃんとしようよっ!」というフォロアーを発生させるインパクトがあった。
また、ツンデレを、現在典型と思われているような「ツリ目金髪ツインテール」で出してきた作品でもある。これは「秋桜の空に」単独の功績ではない(ほぼ同時期の「君が望む永遠」にもいる)にせよ、さきがけのひとつではある。
主人公が悪ノリ型の破天荒な奴である、というのも、前例がないわけじゃないにせよ、この人ほど飛ばした破天荒さもまたなかなか見られない。
しかもそんな主人公に、それに同等以上の悪ノリを合わせてくるヒロインを置く。

エロゲーブームは大勢の才能を世に出したけれど、巧いとか優秀とかじゃなくて、天才というべきなのは竹井10日だろう。

2003年の次作「お姉ちゃんの3乗」(おねえちゃんキューブ)も、奇作だった。
いくら姉属性を切り開いたメーカーの作品だからって3乗ってなんだよ、と思うのだが、主題歌の歌詞が『お姉ちゃんが大好きなら お姉ちゃんが増えてもいいね』とくる。で、本当に増える。大勢の姉キャラが配置されているんじゃなくて、文字通り増える。
頭がおかしいか天才かどっちかだろう、という発想だが、プレイするとますます度肝を抜かれる。

2007年に「ひまわりのチャペルできみと」をリリースして、ラノベ作家に転進する。
転進すると今度は、あの「らき☆すた」のノベライズを担当しておきながら、作中で柊かがみに「ひまわりのチャペルできみと」の宣伝をさせるとか、本当に斜め上のことをしでかす。
おかげで「らき☆すた」ファンにバッシングされて他の人に替えられてしまったのだが、どこ吹く風でオリジナル作品でまた名を挙げて今に至る。

この天才の昔の仕事、どれも破壊的に面白いのだけど、あいにく現代的なリメイクもされていないし、ダウンロード販売などもない。今からプレイするのは困難なのが残念。



それから、GROOVER「グリーングリーン」という秀作があるのだけど、これはスタッフがみんな後に大物になっていった作品だった。
スタッフもさることながら、ゲーム自体も実に面白い。基本的にはコメディタッチで、バカ男子学生が女の子目当てに突っ走るような話なのだけど、それだけでは終わらせずに綺麗に仕上げたストーリーが揃っていた。

シナリオは桑島由一とヤマグチノボル。
どちらもラノベで活躍して、桑島由一はアニメ化もされた「神様家族」を出した。
ヤマグチノボルは知っての通り「ゼロの使い魔」の作者。あんなに早く亡くなるとは……。
さらにプロデューサーは、milktubのbamboo。今はアニメソング界隈でも存在感が高いが、「グリーングリーン」でもクオリティの高い曲を、各ヒロインごとに別のエンディングソングをつけると贅沢な内容にしてくれていた。

現在での再プレイは難しいのかと思いきや、2013年にクラウドファンディングでもってリメイクされている。



また「人類は衰退しました」の田中ロミオも、かつて「CROSS†CHANNEL」というゲームで人気を博したシナリオライターでもある。
そして、田中ロミオの旧ペンネームが山田一といって、こちらの名前の頃は、「加奈 -いもうと-」とか「家族計画」で知られる。

「加奈 -いもうと-」は1999年リリースで、同年の「Kanon」と並んでとにかく泣かせるゲームだと有名になっていた作品。重病の妹の面倒を見る話で。
私はやってないのだけれど、当時極めて知名度が高かった。
現在もDMMからダウンロード販売されている。またPSP移植版もある。

「家族計画」は2001年のゲーム。
色んな意味で社会不適合な人間らが一軒家に寄り集まって、両親と子どもたちを装った偽装家族として共同生活を始める、という不思議な設定から話が広がっていく。
ラノベになったら「AURA ~魔竜院光牙最後の戦い~」とか書いてしまう田中ロミオだが、何らかの意味で欠陥のある人たちの物語を描くのがつくづく巧い。
こちらもDMMからダウンロード販売がある。

「CROSS†CHANNEL」については、全年齢版としてPS3/Vitaでリリースされているのが手に入れやすい。
また、全年齢版の追加シナリオを含めてリメイクしたPC版が、今年の9月26日に発売。

田中ロミオを抑えるなら、とりあえずこの3作がいいかと思う。自分がやってないゲーム勧めてるけど。



アニメ「アカメが斬る!」の原案・タカヒロも、エロゲー時代にアニメ化まで持っていくヒット作を連発していた。
彼のゲームブランド・みなとそふとは今も活動中で、過去のものではないけれども。むしろみなとそふとの活動として「アカメが斬る!」をやったようだ。

最初にヒットを飛ばしたのは2003年の、きゃんでぃそふと「姉、ちゃんとしようよっ!」という、いちびった小学生みたいなタイトルの姉属性ゲーム。
2003年時点でもやはり、オタクの好きなもの=妹と思われていた中で、真っ向から逆らってヒロイン全員姉属性、という一点突破な作品。
明らかに「秋桜の空に」の影響を受けたキャラが居たりするのだけど、パクりというよりリスペクトなのは見えていたので、概ね笑って受け入れられていた。
「姉萌え」というのは、竹井10日が開けた穴をタカヒロがぶち抜いて広げた、というところだろうか。

セカイ系的な大風呂敷を広げるわけでもなく、無闇矢鱈にただただ泣かせようとするのでもない、わりと平凡な世界に、とにかくビビッドなキャラを置く、ハーレムもの的な造りが上手い。
もう少し前のゲームだと、難しいこと考えながら遊ぶほうが面白い作品が多いのだけど、タカヒロ作品はそう身構えなくてよかった。

その次に、2005年には「つよきす」をアニメ化まで持っていくヒット作にする。
姉属性というか、立場が上の女性ヒロインを描くのが巧みで、その後こういう造形は流行になっていった。
これもよく出来たゲームだったが、タカヒロ自身は最初の1作だけ作って退社し、みなとそふと設立に動く。
きゃんでぃそふとは引き続き「つよきす」をシリーズ化するのだけど、こちらにはタカヒロは関わっていない。

「姉しよ」「つよきす」ともに、DMMでダウンロード販売あり。
「姉、ちゃんとしようよっ!2」もタカヒロの手になる作品だが、「もっと~」は退社後に別のスタッフが作った続編。



ニッチの天才・WINTERS 平井次郎

WINTERSというブランドは、あまり有名な作品もない。
別にエロゲーブームの中で存在感を示していたわけでもなく、知る人ぞ知る、という程度。
平井次郎という、これはこれで一種の天才というような人が、おそらくひとりで(絵や音楽は外注して)、自由にやってるようなブランドだ。
ウェブサイトからして異様なのだけど、作品もしっかり異様。
しかし、ただ単に異様というわけでもなく、やはり天才的にも見えてしまうところもある。

やはりエロゲーの主流は恋愛モノで、そうでなければいきなり陵辱モノまで飛んでいく両極端なものになりがちなのだけど、WINTERSの「こんなアタシでも……」という作品は、その枠を踏み割る。
主人公が恋したヒロイン・東雲真冬は、貞操観念が一切欠如していて、見も知らぬ男と平気で寝てしまう女だった。「こんなアタシでも好きになってくれますか」という問いから物語が始まる。

「ゴメンなさい……アタシのせいで」は、自分にまったく自信がない主人公が、突然女の子に告白される。しかしその子もまた自信がなくて常に何もかもに怯え続けるような性格。自分に自信がないが故になぜ好かれたかもわからない主人公は、怯える彼女をつい「いじめて」しまう。
Leafの「天使のいない12月」と似たような設定ではあるが、こちらが2年先行している。

この、ヒロインを理解不能な異物と位置づけるような尖った物語は、WINTERSを知る人ぞ知るブランドとさせていた。


しかし、常人には理解できない作品も多い。
「感覚の鋭い牙」なんて、タイトルからして名状し難い異様さがあるのだけど、内容も本当に混沌としている。そこに、凄まじくトランシーなテクノBGMが襲ってきて、麻薬みたいなエロゲーだ。
ごく一部のネタ画像好きには、地球とセックスするエロゲー、として画像だけ知られていたりもする。何のことかわからないと思うが、そのままのものが画像で出る。

看板タイトルの「KISS×n00」シリーズも、タイトルだけ見ればキスフェチ的な作品のようだ。
しかし、キスにこだわりは確かにあるものの、それだけでは収まらない。

「KISS×200 とある分校の話」は、僻地の学校に教師として赴任することになった主人公が……とか、そんな寒村インモラルもの、ではあるのだけども。
なぜかロシアから北方領土を奪還しなければならないというメッセージが込められていて、"露"への警戒をゆめゆめ怠たるなと、エロとも物語とも関係ない設定がぶんぶん振り回される。
どこの世界に、ヒロインが「阿頼度島、占守島、幌筵島、志林規島……」と千島の島の名前を順に暗誦するエロゲーがあると思うだろう。
このBGMもやっぱりトランステクノ。日本のド田舎なのにトランス。そして千島列島暗唱。
千島奪還はWINTERSには常に付きまとうので、他の作品でも突然来る。

このへんはもう、薬事法とか麻薬取締法に触れることが絶対にない合法ドラッグ、くらいに思ってもいいかもしれない。
常人がおかしい人を装ったところで、こんなもんは作れない。ある種の天才の技しかありえない。
ニッチの極北として、エロゲーの世界にはこういうものもある。
もちろん、私の知らない別の極地もきっとあるだろう。

WINTERSはほぼ全作品が、DMMなどからダウンロード販売中。
セット販売が好きなブランドで、「こんなアタシでゴメンなさい……」という2作セットがあったり、「KISS×∞」というKISS×シリーズセットがあったり、果てはその時点での発売作全部セットなんてものまで。購入時には重複に注意だ。



いつにもましてだらだら長い記事になったけれども、とりあえずここで〆る。

話の流れからずれてて挙げてないが、電波ソングで有名な「カラフルキッス ~12コの胸キュン~」は記憶に残る作品。
2003年時点で「ヒロインが妹ばっか12人」なんてやらかして、おまえそれ「シスタープリンセス」以外の何のつもりだよ、とツッコミを受けながら発売、蓋を開ければ、「Kanon」とかのBGMで有名だったI've(当時は電波ソングメーカーなんてイメージはない)があの頭のおかしい主題歌、しかもイロモノと思わせてプレイしたら意外とよくできて面白い、と、人騒がせなシロモノだった。
これはVista対応の廉価版が出たようだが、それも2007年末でかなり前。DL販売も見当たらないので、中古探すしかないのかな。知名度はあるゲームと思ってたのだけど……。

まあ、他にも「あんなのもあった」と思いだしてくるかもしれないが、キリもないのでこのへんで。

私は決して数多くエロゲーをプレイしていた方ではないのだけど、それでもこれくらい喋ることが出てくる。やっぱり充実した時代だったんだと思う。
2000年くらいは、「仮にもオタクといわれる人間はまずバイトしてPC買ってエロゲーやるのが当たり前」くらいの風潮だったから、今と比べれば圧倒的に影響力があったのだ。
今になって古い作品をプレイしたって、歴史を学ぶことにはなっても、あの時代を体験できるわけではない。寂しいものだ。

そういう意味で、やっぱりブームには美味しい内にコミットしておくのがいいかもしれないな。
例えばラノベなんかも、今よりも2006年くらいのほうがかなり美味しかったように思う。
まんがタイムきららの萌え四コマがアニメ化される度に当たる風潮もあるけど、これもそろそろアニメ化すべき原作が枯渇してきそうだから、今後3年も4年も続く感じじゃないかも。
次は何がくるだろうなあ。

映画「レッド・ファミリー」

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前に「NO!」を見た時の予告編でやたらと面白そうだったので、封切り間もなくさっそく見に行ってきた。




最近私の中で今頃韓流ブームがきてるので、韓国ラーメンやら韓国海苔やらよく食べるのだけど、韓国映画はこれが初めて。
たまにテレビでやってる時代劇らしい韓ドラをちらっと見たりすることはあるけど、なんかこう、部屋や屋内のセットの使い方が独特というか、四角い部屋の壁ひとつ取って真横からまっすぐ撮ってるようなシーンが多いなあ、と思うくらいで。
あれだと吉本新喜劇か、あるいは志村けんのだいじょうぶだぁみたいに見えちゃうけど、あれはああいう様式なんやろか……

さてどんなものが出てくるのだろ、とテアトル梅田に行ってみると、予想以上の人気ぶり。開演一時間くらい前だというのに最前列しか空いてない。そして程なく立ち見から札止めへ。
最前列ど真ん中に陣取って、しばし待って劇場へ。
そうすると、テアトル梅田の最前列って、スクリーンの位置がかなり高いね。すごい見上げる。私は背が高いから、座って背もたれに首を預ければ大体いいんだけど、座高身長あるからなせる技だったような……

ここのところ、テアトル梅田は予告編に興味深いものが見つかって連続鑑賞してたのだけど、あいにく今回はあまりピンと来ず。うーむ。


で、本編を見て、と。
想定した内容としては、まず北朝鮮から偽装家族として韓国へ送られたスパイ一味が、たまにバレそうになったりして慌てて誤魔化すコメディ。
しかし、隣の韓国人一家と交流を持ってしまううちに情が移り、共和国への忠誠心と、知ってしまった南の人々の姿との板挟みになる、分断国家の悲哀というか、政治的な物語。
さらに、板挟みの末に何らかの別れのシーン、予告でも「隣の韓国人一家を皆殺しにしろ」と命令を受けていたから、まさか本当に殺すのか、それができなくて隣の一家のために祖国を捨てて粛清の追手から逃げる道を選ぶのか、あるいは黙って北へ帰ってしまうか、なにかそういう別れの悲劇みたいなのがあるのかなと。

その想定は、まあ、コメディかつ政治的かつ悲劇、という枠組みくらいは合っていたけど、中身は思ったものとはかなり違った。


まず全体的に見て、やっぱり素朴というか荒削りというか、そういう感じはした。
というかあれだな、私が見慣れてるような日本のアニメやドラマや邦画なんかで、泣けるシーンと笑えるシーンが交錯するようなタイプの作品だったら、ここは笑うとこです、ここは泣くとこです、と、わかりやすい。
例えば、予告編では笑うところっぽく見えていた、隣の韓国人一家が急に訪ねてきたから慌てて首領様&将軍様&元帥様の肖像画を隠すシーン、本編だと意外に笑いどころっぽくはなかった。
急に訪ねてくるとわかった、慌てて肖像隠した、そして迎え入れた、それだけの感じ。
急に訪ねてきた、やばいバレるあれ隠せこれ隠せてんやわんや、強引に入ってこようとする隣人一家を玄関で食い止める、散らかってるくらい気にしないわよと無神経炸裂する隣人、突入されるとほぼ同時に将軍様肖像を抱えて別室に脱出、申し訳ありませんと肖像に謝罪して何食わぬ顔でリビングに戻る、そして団欒のパーティーが始まる、でも肖像を隠してる部屋を気にしすぎて何隠してるのと興味を持たれ、またそれを必死でごまかして……と、日本人が作ったらこんなことやっちゃうと思う。

しかしまあ、そこまでわかりやすくしてやらにゃ笑えんのか、と、思わんこともない。ちょっと正直、最近の日本のテレビドラマ、コメディ"タッチ"でいいところをあまりにも丸出しのギャグにしようとして異様に見えることあるし。
それにこの映画の場合は、「北の工作員」という存在が、あまりギャグっぽくなってしまってもいけないと思うから、やりすぎるわけにもいかない。

ただまあその、隣の韓国人一家の夫婦げんかの叫び声が筒抜けに聞こえるくらいのところで、結構な大声をあげてスパイ一味のリーダーが他のメンバーを叱り飛ばしてたりして、これ隣にバレてんじゃないのかと思えちゃったりはした。
てっきり、実は隣家にバレてたんだけど黙っていてくれて……という展開かと思ったらそうでもない。
あれだけ大声で叱りまくったり、ベランダに出てスパイ生活の愚痴や北で事実上の人質になってる家族を思う嘆きやらを語り合ってたり、そういうのは何の問題もない行動だったことになる。問題に見えたけど。
結果的に「間抜けな工作員やな」と思わなくもなかったりして、やっぱりちょっと、素朴というか荒削りだなあ、というのはこのへんの感じ。


しかしながら、「北のスパイ」として共和国から命令されて実行する諸々の活動というのが、ちょっと日本人の私には予想できなかったハードさ。情報収集くらいかと思ったら、反共和国分子の暗殺もあたりまえ。
そしてそこまでハードな活動を、自分がやらなければ北に残した家族の安全が脅かされる、という一心で実行していくスパイ一家。
最後まで見たら、家族愛と人への情がテーマの映画なんだろうと思ったけど、ここまで強烈に家族愛に縛られる人たちを設定できるのは、あの北朝鮮を韓国から見ていてこそ出てくるのかもしれないな。

また隣人の韓国人一家が、連日夫婦げんかで家庭崩壊寸前、子がギリギリのかすがいだけど、その子ももう両親にうんざりしているような、かなり酷い家族。
スパイ一味が彼らの姿を見た最初の言葉が「これが資本主義の限界だ」で、その後もずっと家庭環境が改善したりしない。
だからスパイ一味は、単に南朝鮮の豊かさと幸福を目の当たりにして、北の生活が色あせて見えた……なんて単純な心変わりをするわけでもない。
この隣人一家の設定は、家族愛についてぐっと深みを出したと思うし、隣の奥さんの、まあ率直にいってクソ女っぷりがかなりわかりやすい笑いどころにもなっていたし、実に良かったな。


終盤の大きな展開は、家族と隣人への情ゆえに起きてしまい、情ゆえにどんどん悲劇に転がり、そして情ゆえにたった一歩だけ踏みとどまる流れだけど、これは徹底的に情を描き切った感じでよかった。
映画にこめられた政治的メッセージも、その最後に踏みとどまった一歩に込められてる。その一歩って、終盤の悲劇の最初の一歩でもあったから。相当ダイレクトな描き方だったけど、だから勢いと力があった感じ。

初めての韓国映画だったけど、こんなふうに「北朝鮮のスパイ」というものを描けるのは韓国人だけだろうなと思えたし、最初の一作としていい選択だったな。

Android再々々々挑戦記 (ASUS MeMO Pad HD 7)

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今更一年落ちの、ごく平凡なタブレットのレビューなんか世の役にはあんまり立たないと思うけれども、スマホを持たないせいで流行にのれてない人の失敗記も書いておくので、同じ轍を踏まぬよう。


昔から私は、Androidと不思議に縁遠い。

いきなり、初代XPERIA発売の1ヶ月ほど前にガラケーを壊して機種変を余儀なくされたところから、すれちがいが始まる。
その2年縛りが過ぎた2011年末頃には、周りはしょぼいおじさんまでタッチパネルつついている。しかしまだ端末のクオリティはひどくて、あらゆる機種で不具合の嵐。
しかもガラケー最後のあがきのような変態携帯花盛りの時代で、デジカメケータイやプロジェクターケータイを横目に、変態の極北・Windows 7ケータイF-07Cを選んだ。

そして今に至ってしまい、デジタルに強い人と周囲に思われている割に、頑なにガラケーを引っ張る側の人になってしまった。



過去のAndroid端末選択ミス歴

(有益なこと書いてないので、MeMO Pad HD7について検索してきた方などは飛ばしてください)

そんなガラケー派の私だが、世間がこれだけスマホばっかり使っているのでは、Android端末のひとつくらい持ってないと、できないことがあって不都合が生じる。そういうわけで、何度かAndroidタブレットを買ってみたりしてきた。

私はまだKindleの国内販売がなかった頃からの電子ブックリーダー愛用者で、6~7型程度のサイズは、片手で持てて、しかも見やすい画面サイズになるという認識があった。
10型のでかいタブレット持つならノートPC持ちだすし、私は身体も手も巨大だから、スマホサイズじゃちと小さすぎる感がある。(これは最近のうすらでかいスマホならよさそうだけど)
ここはずっとブレず、7型以下くらいのタブレットばかり選んでいる。

あまり最新・高級モデルを買う気もないので、最初の一台は1万円以下で投げ売りしていたNECの無印LifeTouch
2010年末くらいに出たもので、Android 2.2までしか上がらないから、使えないアプリが多い。
しばらくキャッシュを食わせたgoogleマップを使っていたが、これもマップアプリがどんどん重くなって使うに耐えなくなっていった。
液晶の視野角も狭すぎて、縦持ちだと左右で違う色に見えて恐ろしく見づらい。シングルコアCortex-A8 ・メモリー384MB・内蔵ストレージ1GBと、さすがに古すぎるスペック。

十字キーがあったり、感圧式タッチパネルだからスタイラスで正確に操作できるところは気に入っていたものの、さすがに遅くて使ってられなくなって死蔵。
タブレットにTN液晶は論外、メモリーの少ないのAndroidは止まりまくる、バージョンはせめて2.3でないとつまらん、と学習した。


次に、一回り小さく液晶がきれいで、Androidも2.3になるSHARP GALAPAGOS EB-W51GJを買ってみた。これも投げ売りで一万円弱。
しかし、買う前からわかっていたとはいえ、GPSがないから地図端末にならない。ついでにカメラもない。
Android 2.2から2.3になって、アプリの幅が広がるかと思ったら、思ったほどでもなかった。スペック低くてすぐ止まるところも変わらない。
電子ブックリーダーとして使うにも、当時SONY Readerを持っていて、比べると重いし目が疲れる。

結局、うまい使い方を見いだせないまま、弟が「なんでもいいからタブレットほしい」というのでくれてやった。
Android 2.3でもやっぱりつまらん、GPS必須、スペックももっと余裕を見よう、と学習した。
静電容量式タッチパネルが私の好みじゃないこともわかったが、これはもうどうにもならんな。


3代目には、またイロモノ選びたい病気が出て、SONY Tablet PのWiFiモデル。例によってモデル末期の投げ売りで15000円くらい。
これはメインメモリーが1GBあるおかげか、動作も安定していた。
Androidのバージョンも4.0.3でアプリにNGといわれることもなく、画面も十分きれい。
折りたためるとはイロモノだけど、実際この画面サイズをポケットに突っ込めるのは嬉しい。

ところがこれを、買ってまだ3ヶ月もしないうちに、落として壊すという失態。自損だから保証も効かない。
考えてみれば、私けっこうモノを落とす。ガラケーは頑丈だから耐えていたが、自重があるタブレットではちょっと無理だ。ストラップを付けて使うべきだったと学習した。
あとはまあ、さしあたりスペックはこの程度でも足りるかなと。内蔵ストレージ4GBはちょっとさびしいくらいで。


そして4台目に至って、やっと普通のモノというか、ASUSのMeMO Pad HD7 (ME173X)を見つけてきた。
多分新古品の中古扱い、8640円税込み。元々廉価モデルの一年落ちとはいえ、この値段なら格安と思うけどな。日本橋のジョーシンテクノランドで10台くらいあった。


モノ自体レビュー

CPUはクアッドコア1.2GHz、メインメモリーは1GB、液晶はIPSで1280x800、内蔵ストレージが16GB、さらにSDXCもいけるmicroSDスロットあり。
さすがに8000円前後では、中華タブレットの類でも液晶が800x480だったり、CPUもせいぜいデュアルコア、なんてものしか選べない。
まあ、スペックには文句ない。上を見ればキリはないにしても、さしあたり不足と感じたケースは少ない。

しかし、この機種は同時期のNexus 7と比較して、「スペック表に書かなければいけない部分はある程度贅沢に盛りつつ、書かなくていい部分は徹底してコストダウンし、割安感のあるモデルに」というようなコンセプトっぽい。
よって、スペックシート外がしょぼい可能性あり。

そう思いつつ意地悪に見れば、電源・ボリュームボタンに表示がない、USB・microSDスロットに蓋がない、一切のインジケーターランプが存在しない。
まあ、どれが何のボタンかわからんのも最初だけ、 microSDはともかくUSBの蓋はむしろないのが普通。
ただ、充電中を表示するインジケーターくらいは欲しかったかな。

筐体も高級感はないけど、表面処理もしてある。
手で軽くひねっただけで曲がりそうになるようなヤワさはないので、まあ思ったよりは良い感じ。
普通そんなヤワなはずがないのだけど、amazon Kindle 3は恐ろしくヤワで、手で曲げたらしなってはめ殺しのはずの裏蓋が外れるような、結構とんでもない代物で、実際それが原因で中のネジ飛んだりして結局一年半で死んだ。
ただし、SONY Tablet Pの犠牲によって学習したストラップについては、ストラップホールがなくて取り付けが難しい。なんかアイディアグッズ的なものがあるかもしれないが……
ストラップがあると、家でも吊るして保持できるのも便利なんだけどな。パイプベッドの柱にかけておくと、使ってそのまま枕元に置いて寝て、起きたら落下してたなんて事故を防止できる。

カメラが背面で若干出っ張っていて、平面に置いても安定しない。
大抵の場合で問題にならないと思うけれど、これって「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」をやるときに支障あるよね。ゲーム自体は快適に動くものの、ラブライバーは注意だ。

重さ300gちょっと。多分7型タブレットとしては標準的。
文庫本2冊くらいの重さで、仰向けに寝転がって持ち上げて使う、となるとちと重い。
読書とかにもしんどそうだ。普段使っているSONY Reader PRS-T3Sが160gで、読書ツールとしてはこれくらいでないと、長時間片手で使ってはいられない。
よってSONYのReader端末撤退には必死で反対したいのだけど、でもまあ、どう見ても売れてないもんな……みんな本なんか読まないんだよ……。

バッテリーライフも、半日使い倒しても十分もちそうだから、とりあえず不満なし。
スマホみたいに毎日持つなら、一日しか持たないなら一回充電忘れてアウトだから困るけど、タブレットなら別に、朝から夜まで持てばよし。
ただ読書端末としては、Readerは事実上バッテリー残量を気にする必要がないレベルで、全く比較にならない。

液晶画面もきれいではあるのだけど、なんかちょっと疲れる感じあり。
印象論だけど、PS Vitaの有機ELのほうが目が楽な気がする。
重量、液晶、バッテリーライフの3点で、Readerを抑えて読書ツールになることはできない。
また照度計もついてなくて、画面の明るさの自動調整もできない。うーん。

内蔵スピーカーは意外と音よし。
ヘッドホンにも、ホワイトノイズが聞こえるほど乗ってるなんてことはなかった。

ほんとにストラップホールだけは欲しかったけど、他はおおむね、期待したより上等。
廉価品だけあって細かい製造不良も多い機種らしいけど、とりあえずネットでいわれているような症状はなかった。

microSDカードは、内蔵だけでも16GBあって余裕あるけど、一応SANDISKの30MB/s 16GBが920円だったので、買って入れておいた。
つい習慣でこまめにSDカードにアプリを移しちゃったけど、よく考えると必要ないし、SDカード外せなくなるから本体に戻した。

内蔵アプリなど

いろいろインストールされているが、とりあえず私が使うようなものはKindleアプリくらいか。
入ってること自体が気に入らないようなものは特になし。
バッテリー管理などシステム系のアプリもあれこれあるようだけど、迷惑でもないのでそのまま。

タスクキラー機能のある「ASUS Task Manager」のウィジェットは、便利かと思ったものの、タスクを殺すとスタート画面右上の時計が止まるようだ。
ネット情報では殺してはいけないタスクがあるとのこと。Super Toolboxを以前から使っていたし、これなら特定のタスクだけ殺す対象から外せる。
しかしこのアプリ、無視リストに入れたが最後、どこで無視リストを確認するかわからず、そのタスクがなんというタスクだったか確認できない……

音声のボリュームがやたら大きいのは、「Audio Wizard」で省電力モードにすればいいとのこと。
音量が適正になって、バッテリー持ちもよくなるなら文句はないかな。
ただ、音が止まった時にアンプの電源が切れるような、かすかなポップノイズが聞こえる。PCのサウンドカードでこういう省電力がきいていると、えてして音の鳴り始めが切れるか遅延するかしがち。影響ある場合もあるのかも。

Android全般で通じることらしいけど、「設定」→「タブレット情報」→「ビルド番号」を7回タップすると開発者オプションが表示され、アニメーションの停止や速度アップができる。
Windowsでも無駄なアニメーション嫌いなので、とりあえず全部アニメなしにしちゃった。キビキビした気になって満足。


データ通信カード(L-02C)が使えるかの検討

前から、OCNモバイルONEのMVNO SIMを一枚持っている。
PS Vitaが少しの検索とtwitterくらいなら使えるのと、旅行にPCを持ち出す時にも、データ通信カードのL-02Cと合わせて使えば、無線LANが使えるかどうかを基準に宿を選ぶ必要がなくなる。

で、L-02Cを使えないだろうか、と検索してみると、どうやらPPP Widgetというアプリを使えばいけるような話が見える。
これを使うにはいくつか条件があるわけだが、まずroot権限。これはしかるべきアプリを入れたらすぐとれた。

しかし難渋したのが、L-02CをMeMO Padに繋ぐところだった。
MeMO PadはUSBホスト非対応、だったのだけど、最近のファームで対応するようになった、というネット情報。

On the Goケーブルを使って、L-02Cを繋ぐ。うんともすんともいわん。
ハブを経由すりゃいいと聞いて試す。うんともすんともいわん。
供給電力の問題になってる場合もあるらしいので、ハブをセルフパワーのものにする。うんともすんともいわん。
さらにネットで検索すると、セルフパワーの電源を使うのではなく、ハブのどれかのポートに標準A-標準Aの変なケーブル(偶然にもUSB-HDDケースのケーブルがA-Aだった)を使って電源を供給し、さらに別のポートにデバイスを挿せばいいという。
これらをひと通り接続した状態で、最後にOTGケーブルをMeMO Padに繋ぐ。おっと、ハブのデバイス認識インジケーターが付いて、MeMO Pad側はシステムは何も表示しないものの、PPP WidgetからNTT Docomoのデバイスが見えている。

で、結局L-02Cは、接続すると最初はドライバの入ったCD-ROMドライブとして認識され、一旦アンマウントすることでモデムとして認識される、という変な仕様に阻まれた。
なにしろシステム側がちゃんと認識してないっぽいから、一度アンマウントする術がない。
やっぱりこれは、USBホストにはちゃんと対応してないままなんじゃないかなあ。まあ、Androidの扱いがちゃんとわかってない私だから、ミスってるだけかもしれないけど。

どっちにしても、OTGケーブル、ハブ、A-Aケーブル、モバイルバッテリー、L-02Cと大量の物品を持ち歩いてまで、通信したいかといわれると。
モバイルルーター買ったほうがマシだな。


ちなみにまあ、USBモデムを接続することでWAN側を3G回線にできるモバイルWiFiルーター、というものを買ってみたのだけど、肝心のUSBモデムがL-02Cじゃダメで。あの一度アンマウントせにゃならん変態仕様が。

追加したアプリなど

ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル

とりあえず興味あるゲームといえばこれだった。

音ゲーなのでタイミングのズレが気になったが、調整機能があって納得いくタイミングになった。私には-25が適正値に見える。
判定は正しいけど、タップして鳴るタンバリンの音がどうもズレる感じで気になるので、SE音量はゼロにしてプレイ中。
稀に他アプリの割り込みが掛かって邪魔されたりはするけど、おおむねタップを無視されるとか、フレームレートが低すぎるといった問題はなさそう。

タブレットでは少々画面が大きすぎて、画面全体を見通しにくい。左右に散らしつつややこしいタイミングでノートがくると判断が難しい。まあ、これはこういうもんか。

実はラブライブ!はアニメ1期を観ただけであまり噛んでないので、キャラの名前すら怪しいのだけど、 まあ楽しいゲームではある。元々音ゲー好きだし。

root取ってると起動しないプロテクトがかかっていて、PPP Widgetとは併用できない。まあしかたないなあ。

アイドルマスターシンデレラガールズ

サービスイン直後くらいからアカウントはあるのにほとんど放置してたので、久しぶりに。
ところが標準ブラウザでは演出が重くてやってられない。これはFlashかHTML5か……?
chromeにすると多少マシらしいのでそっちにしたものの、やはりかなり重いことには変わりない。

重くなってること自体は、以前LifeTouchで試した時に気付いてはいたんだけど、 MeMO Padでも解決しないほどの重さとは思わんかったな。何かやり方があるんだろうか。
「モバマス 重い」でぐぐると、主に「愛が重い」という話ばかりヒットする。佐久間まゆのことかと思ったら和久井留美のことだった。話についていけてないな……。

Ingress

面白そうだなと思ったが、外でも通信できないとプレイできなかった。
そのうちモバイルルーターを調達しよう。

OruxMaps

オフラインに地図を保存しておける地図アプリ。
オンライン地図として使えるのがOpenStreetMapなので、大阪の環状線内とか神戸三宮近辺など、ほんとに市街地でないと詳細な地図がないんだけど、まあ文句はいえまい。
OpenStreetMapはWiki的に有志が編集して作っていく地図らしく、明らかに変な編集がされてるけど気付かれずに放置されているようなのもある。まあ、気づいたなら私が直せよ、というモノだけど。

Amazon Kindle

タブレットを電子書籍リーダーの主力機にするつもりはまったくないけど、なにせ配信数が抜群に多いので、どうしても見たいものが出てくるので。

SONY Reader

こっちはすでに利用実績多数で、PRS-T3Sではモノクロでしか見れないカラーコンテンツを見るために。

絶版マンガ図書館

無料系のコミック配信アプリは多数あるけど、おっさんとしてはやはりJ-Comiが一番ヒットするよね。

ComicWalker

これは以前からPCで読んでる作品がいくつもあるので。角川系だけあって内容がいい。

SmartNews

ニュース取りまとめアプリは複数試したけど、オフライン運用に強くて操作性もいいのはこれ。

神社が好き

まさかの神社データベースアプリ。私みたいに神社を徘徊するのが好きな人間には必携。データベースは事前にダウンロードしてオフライン利用できるのも嬉しい。

Twonky Beam

BDレコーダー(Panasonic DIGA BMR-BRT230)に録画した地デジを見れれば便利だな、と思い。

とりあえずDIGA側のネットワーク設定をして、タブレットのTwonky Beamから「ホームネットワーク上のコンテンツを再生」でDIGA内の録画済み番組リストの取得ができた。
ここから再生するには、アプリ内購入でDTCP-IPプラグインが必要というので購入。
これで再生できんのかな、と思いきや、再生開始しても「再生できません。サポートされていないメディア化、無効なメディアです」とくる。
DR録画のものはダメ、と断りはあったんだけど、DRなんてひとつもないんだけどな。

では「外部機器コンテンツを持ち出し」から一旦タブレットにダウンロードしようとしても、すべての番組が「このコンテンツは持ち出しに対応しておりません。」とくる。
これはコピープロテクトがらみかな、と思って、DIGA側で持ち出し番組を作成するも、Twonky Beamの番組リストの「持ち出し番組」ページはコンテンツがないと主張する。
DIGAで持ち出し番組をSDカードに落として、それをMeMO Padに持ってきても、やはりコンテンツを見つけられない。

私は地デジにもAndroidにも理解がたりないので、何か見落としてるかもしれないけれど、何が悪いかさっぱりわからん状態。
有料アプリならストアで返金がきくのに、アプリ内購入だからどうにもならないな。

まだ未購入だけど、Media Link Playerのほうが良かったかな。
ただ、こちらでもDIGAのローエンド系では「ストリーミング再生はDIGA側で事前に作成した持ち出し番組だけ」という制限がかかっているようなので、Twonky Beamで再生できないのも、DIGA側のスペックか機能の問題かもしれない。
作成済み持ち出し番組がリストすら拾えないのは、Twonky Beamが怪しい気もするけれども。

アクセサリーなど

あまり色々取り付ける方ではないけど、保護フィルムくらいは貼ってもいいかと思い、しかしなくてもよいかと思ってるようなものなので安上がりに、ダイソーの「for iPad mini 防指紋画面保護フィルム」を貼ってみた。
MeMO Pad HD7には若干大きいので、貼り付けてからアートナイフではみ出しを落とした。ちょっと傷つけたけど別に中古で売る気とかないので気にしない。インカメラは元々入ってる切り欠きがちょうどフィットする。
貼ってみると、マット仕上げだから顔の映り込みなんかは気になりにくくなった。しかしマット仕上げなので、画面の解像度が下がったような見え方になってしまう。白が分光して虹色に見えもする。
まあ値段を思えばよく作ってるんじゃないかな。

充電ケーブルの問題


前々から、100円ショップなんかで買えるUSBケーブル見ながら「こんな雑なケーブルに5V-2Aとか通して大丈夫か」とよく思っていた。
とはいえ、せいぜい1Aでしか充電しないデバイスしか手元になく、とりあえずケーブルの抵抗が大きくて充電時間が伸びまくった、なんて問題は顕在化せず。

そこで、USB電圧/電流計を安く見つけて、ひとつ購入してみた。

MeMO Padの純正AC-USBアダプタは、5.2V-1.35A出力と本体に記載がある。
付属のUSBケーブルに、電流電圧計を挟んでみると、大体5V-1.2A程度の出力になっていた。

しかし、Kindle 3に付属していた、2mくらいあるながーいケーブルだと、0.8A程度しか出ない。
1mのやつも、フェライトコアまで入ったしっかりした感じの造りのやつでも、1.0Aとか。
50cm程度の短いケーブルだと大体よくて、1.2A出る。ほとんど長さ依存かもしれないなあ。
細いケーブルをリールに巻き取れるなんて乱暴なものは当然ダメで0.7A。たしか100円ショップもの。
充電専用にして、データ線をオミットした分太くてしっかりした銅線使ったようなものを使えば、ある程度長いケーブルでも充電が安定するかも。

住吉区など (FinePix F11)

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 2005年に大ヒットしたFinePix F10の後継モデルたるF11。

 新型のスーパーCCDハニカムV HRで、他社製品では設定すらできなかったISO1600の高感度が、十分鑑賞に耐えるほどの高画質で利用できることで大ヒットしたF10に、ソフトウェアを更に改善して出してきたのがF11とあって、こいつはどれほどのもんだろうなと興味津々で試用してきた。




絶滅危惧種の鳥・ポンパ君
マクロだと結構背景はボケる。
マクロで最短5cmまで寄れる。
しかし、AFがどうも奥に合いがちで、カタログほど寄るのが大変な感じ。

ただこの個体、前のF700と同じくまたテレ端だけ妙に甘い。
今回は甘さがカットごとに違うので、AFが怪しい気がする。テレ端で、わりと近めの距離になら合焦するけど、遠景はピントがこないような……。
広角端では特に問題には見えないけど、また何らかのレンズトラブルがありそう。マクロ頼りないのもそのせいかもしれない。


JR阪和線・堺市駅からぶらぶら北に歩いて、大和川を越えて住吉区に入ろう……としてみたけれど、どこから渡るかわからない。
仕方なく、浅香駅からひと駅電車に乗る。

浅香駅ホーム北端から。川岸ギリギリくらいまである。 
テレ端開放をポートレートで使ったとしたら、大体これくらいボケると思う。
どうも、テレ端で遠景にピントを合わせようとしてもダメっぽい。故障か。
駅はテレ端で撮っちゃったカットばっかだ。これは割とまし。

ひと駅移動して杉本町駅へ。

JR阪和線の大阪市内エリアは高架工事が進んで、隣の我孫子町駅まで建て替えられてしまった。
しかし杉本町駅だけは、私が知ってる15年前の姿とあまり変わらない地上駅。

杉本町駅からさらに北へぶらぶら歩いて行く。
このへんは住宅地で、線路沿いなんかには特に何もない。

我孫子駅近くまで来て、我孫子観音に参拝。

看板の案内に沿って来たら裏手から入ってしまった。
どうも比較的オーバー気味で、パっと見華やかな写りになる。
特に、こういうオーバーになって当然なカットになると極端に白飛びが出ちゃう。

観自在楠と名付けられた、室町中期から700年弱くらいの樹齢という楠。
我孫子観音の本堂。
宗派は、観音宗という独立宗派でやっている。
創建は546年と古く、日本最古の観世音菩薩寺院。
明治時代に火災でだいぶやられて、その後復興。寺院の歴史の割には境内に古さはない。
我孫子観音の山門。

この後、自分でもなぜだか忘れたけれど北西に歩いて行ったようで、阪和線を越えて南海高野線の沢ノ町駅近くに来ていた。

すると、止止呂支比賣命神社という神社にばったり。


こんな逆光でこんな写りなら上々ではある。
祭神は素盞鳴尊と稲田姫命。
いつできたかは不明だけど、延喜式には載っている。住吉大社の奥の院とされていた。
境内に清水の湧く「轟池」があって、轟橋が掛かっていたのが名前の由来だそう。
欄間のような感じの、しかしえらく立体的な彫刻が飾ってあった。
クリックすると原寸。ISO1600の等倍切り出し。
縦縞が出るけど偽色は少ないし、2006年あたりの製品としては確かにすごい。
境内摂社の霰松原荒神。
元は延喜式にも載っている天水分豊浦命神社といって、もっと海の方の安立町にあった。
江戸時代の研究者・並河誠所が、延喜式内社の場所を特定する活動をしていた。
わかったところには碑を建てて回っていて、大阪周辺に全部で20箇所あるそう。
後鳥羽天皇が熊野行幸の折に行宮を立てたことがあり、その記念碑もある。

ここからさらに西にぶらぶら歩いて行くと、熊野街道にぶつかったので北上。

ふと東側の路地を見ると、何か木立が見えて、小さな神社でもあるかと近づいてみた。
すると神社じゃなく児童公園の植木で、外れかと思いきや看板と石碑が見える。
一休さんが応仁の乱を避けて京都から堺に来ていて、外れのこのあたりに庵を結んでいたそう。
いつにもまして漫然と歩きまわっていたが、さすがにかなり距離も来ているので、そろそろ帰ろうと住吉大社を回りこんで阪堺線に向かう。

一運寺という古寺。聖徳太子が開いて、伝教大師も立ち寄ったことがあるという。
法然上人も、讃岐に流されるときに一度船が難破して住吉に流れつき、ここに滞在した。
境内には、赤穂浪士の墓がある。
かつて住吉にあった龍海寺に四十七士全員の墓石があった。
しかし龍海寺が廃寺になってから散逸し、一運寺の住職が保護した頃に残っていたのはこの3基のみ。
中央が大石内蔵助、右が大石主税、左が寺坂吉右衛門。
一運寺の近くにある生根神社。
今となっては住吉大社の影に隠れてるけど、式内大社。


さて今回の、FinePix F11。

どうも撮ってて気になるのが、ちょいとオーバー気味にでる露出。
フジフイルムって、製品の想定客層に合わせてばっさり割り切ったようなモノづくりをする節がある。このオーバーな露出は多分、そのほうがウケのよい素人さんを狙ってのものと思う。
FinePix F10は、スペックその他を見る限りフルオートのファミリーカメラだったから、この画質も狙い通りなんだろう。F11もそれを踏襲しているだけ。

上の写真を見ても、華やかに明るい。コントラストも強め。
全体的にオーバーなところ、「こういうカットならオーバーになるだろうな」という時は、さらに大オーバーになっている。

ただ、F10はもうフルオートカメラなんだからそれでいいけど、F11は、絞り優先・シャッター優先を備えて画作りを考えて撮影できそうな気がするカメラだ。
そういうこと考えるタイプのユーザーには、このオーバー露出はちょっと気になる。


じゃあ露出補正使いたいのだけど、まさかのメニューの中。
メニュー出して下2回、右1回で補正に入り、そこから上下で露出をずらす。めんどくさい。とても頻繁に使えるインターフェースとはいえない。
露出補正をこまめに使えないようなカメラは、画作り考えるようなユーザーには適当でない。

AEブラケットがあればいいのに、ない。

どうもちぐはぐというか、「フルオートカメラに、取ってつけたように絞り優先・シャッター優先オートをただ足した」という感じがありありと。


他にも、フジ伝統の「何も設定できない完全オートのオートモード」と「露出補正やホワイトバランスが触れるマニュアルモード」という区分けに、取ってつけたようにAモード・Sモードを足している。
すると、普通のカメラ言語なら「プログラムオート」とか「Pモード」であるべきところに「M マニュアル」という異様な表現になっている。絞り・シャッター手動の、普通にいうMモードはない。
さすがにこれは、カメラメーカーとして疑問持たなきゃいけないとこじゃないかな……

また、A・SモードではISOオートが使えず手動設定になる。
そうすると、「動くものを止めて写したい」と思ってシャッター優先にして、1/1000秒に設定していざ撮ろうとすると露出が足りない、Fメニューから感度出して上げて……と、不便。

まあ、ほんとにじっくり撮るなら、Aモードにして絞りを決めて露出を確認、アンダー・オーバーになるならメニューを掘って露出補正、さらに手ブレが気になるならFメニューを掘って感度を上げて、と、できることはできる。
しかし、どうにも操作が煩雑でたまらない。
ここまで煩雑だったら、Mモードのほうがいっそ操作が簡潔になりそうなくらいだ。でもMなし。


すごく正直にいって、使って不満ばっか出てくるような操作性のカメラだった。
多分、最初からフルオートだけとわかってるF10を触ったんだったら、高感度画質の良さだけに目が行って、こりゃ良かったと思ってたんだろうなあ。
この中途半端なマニュアル撮影ができるF11の方を触っちゃったから、とっ散らかった操作性が気になって気になって。こんなん、絞り優先オートを求めるような客が許すはずがないぞ。


まあ、オートで撮るなら良い出来。
今時の完成されたデジカメと比べても、画素数以外は特に遜色がない。
起動も早いし、ボディの厚みがちょっと今時よりは大きいけど十分コンパクト。その分電池がバカでかいから、バッテリーライフも安心。液晶も大きくてきれい。
安い機種ではないこともあり、筐体もかっちりしている。

高感度画質だけでいえば、今でもローエンドモデルだとISO1600で比べたら負けるかも。
これだけソツのないカメラに、この高感度画質があれば、そりゃ評価高くなろうと思う。


BestDiscountApp(マルウェア)誅滅の件

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友人のところのPCがマルウェアに食いつかれた、ということで、救助作業にあたった。
タイトルのBestDiscountAppというやつだったが、検索しても出てくる情報は、駆除方法だと言いつつさらに別のマルウェア食わせようとするような胡散臭い除去ツールくらい。日本語情報はそれの機械翻訳のみ。
なので、とりあえずここに分かった限りの情報を記す。



被害PCの環境

少し前(Phenom II)の自作PC。
OSはWindows 7 Home Premium 64bit。
主に使うブラウザはgoogle chrome。


症状

Google chromeに取り憑いて、表示しているページに広告を割りこませる。
元々表示されるバナー広告に、「PCの処理が遅くなっています」などの不安を煽る広告を上書きする。上書きされる前のバナーがちらっと見える。
また、「インストールされているJavaのバージョンが古い」と警告ポップアップが出て、OKしようが閉じようが、Javaアップデートを偽装したページに飛ばされ(URLが明らかにjava.comではないところ)、ページ閲覧ができない場合がある。
chromeでは、アクセス中のURLがウィンドウ下端に出るが、特にその表示は隠していないようで、明らかに不自然なアドレスへアクセスしているのが見える。

また、chromeのプロファイルが破損しているとの警告が出て、アカウントにログインすることもできていなかった。

タスクマネージャーで怪しいプロセスやサービスを探したが、それらしいものは見当たらず。
msconfigからスタートアップなどを探しても、やはり不審なプログラムは見つけられず。

Internet Explorerでは症状なし。
chromeでのみ症状が出ていることから、拡張機能を疑ったが、こちらはすべて削除済み。

また、chromeの自動更新が「アップデートは管理者によって無効になっています」とあり、バージョンが古いままで止められていた。(記事書いてる時点でVer.38.0.2125.104mだが、Ver.37で止まっていた)

コントロールパネルの「プログラムと機能」には、「BestDiscountApp」が堂々と表示されているが、これはアンインストールを行おうとしても「ブラウザを閉じてもう一度やれ」という旨の表示を出すだけ。
chromeを閉じても、完全にchrome関係のタスクを殺しても、ブラウザを閉じろと言いはるだけで、アンインストールは働かないようだ。
また、chrome自体をアンインストールすることもできなくなっていた。アンインストーラーが走らない。

AdwCleanerでチェックしても、何も見つからず。
Microsoft Security Essencialsのチェックにも掛かっていない。スキャンしてもヒットしない。

対処

セーフモードで起動(起動中にF8キーで起動メニューを出して、セーフモードを選択)して、C:\ProgramData\BestDiscountApp\BestDiscountApp.exe を削除。
その後、「プログラムと機能」からBestDiscountAppの削除を試みると、すでにファイルが削除されているので項目だけ削除できる。
さらに、セーフモードならchromeも削除できるので、一旦削除。

通常起動しなおして、chromeを再インストール。
アカウントにログインしなおして復旧。アップデートが無効にされているとの表示も消えた。

MSEとNortonのオンラインスキャンをかけたが、検出された脅威はなし。

さしあたっては、Windows再起動やchrome再起動などでは再発していない。
これで今後再発しないのであれば、BestDiscountAppはプロセスやサービスとして常駐するものではなくて、chrome自体を書き換えてしまう造りのものと思われる。
アップデートされたり、再インストールされたりしたら感染したのが元に戻ってしまうので、アップデート・アンインストールをブロックしていた、と推定。
さらに経過観察。

感染経路

具体的には特定できないが、やはりフリーウェア経由らしい。
セットアップ時に気をつけて、hao123や百度なんかのインストールを拒否するような、普通のスキルはあるユーザーなので、その程度の対応はしていた。
が、かなりたちの悪い部類のフリーウェアだったようで、ダウンロードページが、偽リンクを含む複数の「Download」ボタンが表示されるようなページ。それで、本来のものとは違うリンクをクリックした上で違うセットアップを走らせてしまったかも、とのこと。

私はもうフリーウェアは、昔から使っている定評のあるものとか(これも突然アドウェア入りに化けることがあるけれど)、SourceForgeにプロジェクトがあるものとか(これも最近アドウェア入れはじめたって揉めてるらしいけど)、窓の杜とかVectorで紹介されてるものとか(これもやっぱり以下略)、くらいしか使わないのだけど、まあ、全部カッコ書きが必要な程度には、何がいつどうなるかわからない。
やな時代になったものだなあ。

PCでもスマホでも無理なく見れるウェブデザイン

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先日から、友人がやってる店のウェブサイトを作っている。
下手したら10年ぶりくらいのタグ打ちサイト作りで、HTML5とかハイカラなものは全然知らないもんで、まあ素朴な代物ではあるのだけど。

中部圏のサイクリストの方、スポーツサイクルに興味ある方は、こちらオガワサイクルへ。
仕事が真面目で腕も確か。これから始めたい人からベテランまで、一度お立ち寄りください。
物腰柔らかい好青年なので、まったくの初心者でも怖がる心配ありません。



以下能書き。自転車とは特に関係ない。

で、このサイト、技術的には大したことはやっていない、XHTMLとCSSだけでできたシンプルなサイト。
ただ一点、「どんな端末でもそれなりに見えて使える」というサイトにしたかった。

最近、スマホでウェブ閲覧してる人を見てると、どうも酷く見づらそうで。
字のサイズが合わないから拡大縮小し、画面からはみ出すからスクロールし、リンクをタップしたのが空振りするからやり直して、と。
PCで見ようがタブレットで見ようがPCで見ようが、完全に適切とは無理でも、それなりの格好にしたい。


で、どのようにしたかというと、寸法の指定が必要なところをなんでも%指定するようにした。
画像とかブロック要素は画面幅に対して、文字サイズはブラウザの設定値に対しての相対値になるから、どんな表示装置のデバイスでも、表示装置の寸法・解像度に合わせた表示になる。
ヘッダのタイトル画像は幅100%。左ペインのリンクボタンは30%、右ペインは70%。
PC版chrome、Internet Explorer 11、FireFox、Android版chrome、標準ブラウザいずれでも、何も問題なく同じような表示がされる。

また、ブラウザーのウィンドウの幅を詰めれば全体的に小さくなるし、広げれば大きくなる。このサイズ変更に対する追従、ちゃんと行われるか心配だったけど、PC版chrome、Internet Explorer 11、FireFoxのいずれでも追従する。

PCでブラウザーを最大化した時には、さすがに広くなりすぎてみっともない。
どうにかしたいと思ったら、今はmax-widthなんてCSSプロパティがあったので、900pt(ポイント)を最大値としておいた。計算上317mmが最大幅になる。
もっとも、Windows PCをそのまま使ってる場合は、もう少し狭いところで最大値にかかる。900pt = 1200ピクセルが最大値になる。(なぜそうなるかは、理屈は難しくないけど計算が面倒で説明が長くなるので省略)

こうした結果、PCでもスマホでもタブレットでも、四方八方にスクロールしなくちゃいかんとか、拡大しないと読めないとか、そういう問題は起きてない。


また、スマホではリンクをタップしたつもりが狙いがズレて何度もやり直す、といった様子もよく見られる。
これについても、(一部twitterなど外部サービスを埋め込んだ部分を除き)リンクを文字列ではなく、ある程度の大きさの画像とした。これでミスタップは減るはず。
Android 4.2のホーム画面ではアイコンが7つ並んでいるから、それくらいのサイズがあればあまり失敗しないと見込める。今回はそれ以上の大きさ。


やってしまえば、何ら難しいことではなかった。
まあ、px指定とか物理長さ(mmとかptとか)指定だったらいきなり指定するだけだけど、%指定の場合は親要素の大きさに対しての相対指定となるから、少しややこしくはなるけれど。指定を省略しても適当にやってくれたりしないことが多い。
それでも難しいというほどではないはず。

これでとりあえずユニバーサルデザインというか、デバイスを選ばない表示にはなっていると思う。
でも、どういうわけか、%指定でサイトを作ってるところはあまり他では見かけない。
昔ながらのpx指定のサイトのままで、ユーザーに拡大縮小を任せているか、あるいはスマホ用にまったく別デザインのサイトを表示するようにしているか。

同じサイトを同じように表示しようというのは、不思議と少数派らしい。 なんでなんだろう?


で、「なんでなんだろう?」と自分で書いたけど、実のところ「全部%指定」って、実際やってみるまでは自分でも、かなり気持ち悪いというか心理的抵抗があった。
古くからコンピューターを触ってた人ほどそうだと思うんだけど、コンピューター上で最優先される長さの単位ってやっぱりピクセルだろう、という感覚がどうにもこうにも抜けない。

MS-DOSを使っていた頃は、画面のピクセル数は640x400だった。(昔はピクセルなんて言わずにドットと言ってたけれども)
Windowsを使えるようになって、モニターが物理的にも大きくなったけれど、それよりもピクセル数が1024x768とか1152x864に増えたことが、操作上の「広さ」を感じさせることだった。

Windowsの方もピクセル単位で画面を取り扱ってる時代が長くって、確かXPまではタイトルバーとかスクロールバーとか、そういうものの大きさをピクセル単位で指定できたものだった。(7でもできたっけ?)

そんな環境で、ウェブサイト作ろうとか絵を描こうとか考えたら、嫌でもピクセル単位で大きさを考えてしまう。
デジカメの写真だって、「1600x1200の200万画素」とか、明らかにピクセル思考がある。
印刷する時には「A4一杯にした時に何万画素あれば解像度何百dpi」とか考えることもあるけれど、これだってピクセル基準で考えてるからそういう換算が必要になるわけで。

それでユーザーの方もピクセル思考が染み付いてたんだけど、長らくそれで大した不都合もなかった。
端末なんてほとんどPCだったんだから、ピクセル数はWindows XP時代で1024x768から1600x1200くらい。ワイドを入れても1440x900とかで、さほど幅広くない。
モニターのサイズも、ノートで10~15型、デスクトップでまあスクエアで19型、ワイドで21型くらい。ノートのほうが見る距離が近いから、見た目の寸法差はかなり狭まる。やはりさほど幅広くない。
それで、例えばウェブサイトの幅を760pxと決め打ちしても、問題になることのほうが少なかった。

PCユーザーってのはそれくらい、ピクセルに魂を引かれた人々だ。


しかしまあ、現にAndroidやIGZOの出現で、画面のサイズも解像度も格段に広がってしまった。
下は3.5型、上は14型3200x1800とか。
そんなもんで、相変わらず横幅760pxとかやってたら、そこらじゅうで破綻してしまう。

ピクセルという眼鏡で現在のモニターは覗けやしないのだ。
そろそろ、進歩を忘れた古いPC人を脱却せねばならん時代だ。

モバイルルーター(NI-760S)

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前からモバイルルーターは便利そうだと思ってはいた。
しかし、それほど四六時中ネットにつながっていたいタイプでもなく、外出時はだいたい本を読んでいることのほうが多い。
モバイル機器も、まあLavie Zひとつといっていい状態。PS Vitaがあるけど、これは直接SIMを入れて通信できる。
バッテリーを気にしなくちゃいけない機器が増えるのもどうかなあ、という懸案もあり、値段もいい値段なので、買って後悔したら痛い。

しかしそこにMeMO Pad HD7が来て、オフラインなAndroid端末の使い道の薄さを感じた。
さらにいえばIngressをやりたい。
さらにIOSYSにて、NCXXのNI-760Sが7980円と安く出ていた。役に立てばペイする、いまいちでもかろうじて割り切れるライン。

OCNモバイルONEが、一日70MBの高速通信をほとんど週末しか使わない、という状態になっていることもあり、購入してみた。


なお、SIMは標準サイズ。
元々MVNO SIMと合わせて使うつもりで企画された製品のよう。検索した限りIIJmioとセットで売られていたようだが、OCNモバイルONEとも相性よさそう。
よって、ちゃんと技適マークもついた商品なので、国内使用も違法ではない。


バッテリーライフ

さて、ともかく設定して持ちだしてみた。
WiFiの到達距離は最小に設定。暗号化方式はWPA2。

四六時中外出中にネット繋ぎっぱなし、という生活が身についていないので、電車で座れたり喫茶店入ったらタブレット取り出すとか、それくらいの使用頻度。酷使とはいいにくい。
かつ、こまめに電源を切る使い方をしてみたら、バッテリーは、午前に出かけて夜帰るまで持った。
カタログスペックで、LTE接続なら5時間持つというが、これなら額面通り使えそうな雰囲気。
大抵のモバイル機器のバッテリーライフって、実際よりもずっと短いと感じるようなものが多いから、かなり意外だった。

ただ、こまめに電源を切るにあたって、少々電源オフの手順が煩雑に感じるのは難か。
電源ボタンと[-]ボタンがあり、[-]ボタン長押しでまず操作ロックを解除するのだが、その長押しがずいぶん長く設定されている。さらにその後電源ボタン長押しで切断で、いささか時間がかかる。
これが嫌なら、Androidアプリから切断操作をすることもできる。


Ingressを始めるとほぼ繋ぎっぱなしになったが、それでもかなり持っている。
電池切れまで時間を測って使いきったことはないが、おそらく繋ぎっぱなしでカタログスペックの額面通り5時間使えそう。

5時間では、半日遊んでいる間に切れることになるが、モバイルバッテリーで延長できる。
NI-760Sのバッテリーが3.7V - 2000mAhで、5時間持つなら、使用量は400mA程度だろう。古い時代の、5V - 500mAしか出力しないモバイルバッテリーでも足りるはず。うちには三洋エネループモバイルブースターの初期モデルがまだあるのだけど、品質がよくて劣化が進まないのに出力足りなくて使い道がなくて困っていたところ、ちょうどいい役割ができた。

そんなわけで、バッテリーライフは期待以上。
もっと電池切れとの戦いになるようなデバイスかと思っていた。
無理に難をいえば、併用しているMeMO Pad HD7と同じくらいのペースで電池が減るので、モバイルバッテリーを繋ぎたくなるタイミングが同じになってしまう。まあ、2系統出力のものなり、2個持つなりすればいいのだけど。

通信状況など

通信速度は、元々MVNOだからあまり気にしていないけれど。
一応、スペック上はLTEで75Mbpsが上限となっている。OCNモバイルONEは150Mbps出せる回線だから、半速ということにはなる。
L-02CからPCで接続する場合と比べても、特に75Mbpsによる速度低下を感じたことはない。

一旦WiFiにルーティングするオーバーヘッドがあるはずだけど、これも特に感じなかった。

近鉄電車で大阪から名古屋に移動する間に使ったりすると、山間部で3G接続になったり、トンネルで切断されたりするのは仕方ないが、このへんの切り替えや再接続も、まずまずスムーズにやってくれてる感じ。
これはむしろL-02Cのほうがダメなのかも。こっちはよく、通信できてないのに繋がってる顔したり、切断されて再接続が手動になったり。


その他細かいこと

microSDカードスロットは、指しておけばPCにUSB接続するとカードリーダーとして使えるらしいのだけど、バッテリーカバーはずさないと出し入れできず、あまりPCに接続することもなく……。
ただまあ、いつも持ち歩くものになるなら、別の荷物を増やさずに、紛失もしづらいUSBメモリーとして使えるのはメリットかもしれない。ただ、ドライバ要るのが難だが。
PCにUSB有線接続して、モデムとしてNI-760Sを使うことが多いなら、それなりに役立つと思う。

若干鬱陶しいのは、充電するつもりでUSB-ACアダプターにつないだだけで、起動して回線に接続しちゃう。そして起動を待たないと電源オフもできない。惜しい。


使ってみると何もかも期待以上で、特に大きな欠点もない。
他のモバイルルーターとの比較はできないが、なかなか今のところ満足度が高い。
早々と壊れるとか、早々と電池が劣化するとか、そういうことが無い限り、このまま高い評価を与えられると思う。

5年モノのeneloop mobile boosterの残存容量

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未だにモバイルバッテリーが「モバイルブースター」「モバブー」などと呼ばれることもあるが、その由来であるSANYO eneloop mobile boosterの古いモデルが手元にある。




初期モデルは2007年発売で、KBC-E1S/L2S/L3Sの3つが出た。
E1Sは単三電池2本の充電と、それを使ってのUSB電源機能とがある。
L2S・L3Sはリチウムイオン電池内蔵の、今時のモバイルバッテリーと同様のもの。L2が大容量モデルで、L3は小型モデル。

2009年になって、出力ON/OFFスイッチがついた、KBC-E1AS/L2AS/L3ASが出た。
私の手元にあるのはこの世代の、L3ASがふたつ。
L3ASは2500mAhの容量で、L2ASは2倍程度。

2010年、1A充電を要求する機器が登場したことに合わせて、1A出力のKBC-L2BSを発売。
また、2011年夏には、NTT docomoのスマホ周辺機器扱いで、小容量タイプのL3サイズで1A出力が可能なものが出た。ドコモポケットチャージャー01の名前。



この後、Panasonicに三洋電機が買収され、製品もPanasonic印になって、Qiに対応したりして今に至る。


さて、さすがにリチウムイオン電池に関してはしっかりした製品を作る三洋電機製だけあって、KBC-L3ASは5年使った今でもトラブルなく充放電できる。
とはいえ、電池の劣化は避けようがない長期間でもある。
この5年ものKBC-L3ASは、はたして2014年現在、どれだけの充電能力を残しているだろうか。



測り方は、MeMO Pad HD7への充電で行う。
電池を減らしておいたMeMOPadの残容量を、battery monitor widgetで%単位で読み取る。
この時、10%以下とか90%以上では充電効率が悪くなると思われるので、だいたい20%くらいにしている。
それからMeMOPadをシャットダウンし、モバイルバッテリーで充電。
充電完了後、起動して電池残量を読んで、引き算すると何%充電できたかわかる。MeMOPadのバッテリー容量は3950mAhなので、 %を掛けて充電量をmAhで求める。

使うケーブルは、MeMOPadに1.3Aで全速充電できることをUSB電流計で確認したもの。充電速度・効率に大きく影響するほど品質が悪いものではないはず。

KBC-L3ASをふたつ、ドコモポケットチャージャー01ひとつの他に、比較対象として新品の1800mAhのものを用意した。中国製のテキトーなやつ。


さっそく結果を書き出すと、以下のようになった。
  • KBC-L3AS (1) …… 充電量1067mAh / 総容量2500mAh / 効率42.7%
  • KBC-L3AS (2) …… 充電量988mAh / 総容量2500mAh / 効率39.5%
  • ポケットチャージャー01 …… 充電量 1106mAh / 総容量2500mAh / 効率44.2%
  • 中国製バッテリー …… 充電量1778mAh / 総容量1800mAh / 効率98.8%

比較用のコントロールのつもりで用意した中国製バッテリーが、なんと表示容量の98.8%と、異様に効率よく充電できた。なんだこれは……
Impressの家電Watchで連載している藤山哲人のモバイルバッテリー診断では、表記容量の70%使えれば優秀、という話なので、98.8%使えているのはおかしい。
これで、新品モバイルバッテリーの充電量期待値を求めたかったのだけど、これじゃ使えないな……

仕方ないので、新品の充電量期待値を70%と仮定する。(なお、Panasonicの現行モデルQE-QL103のレポートでは61%)
すると、2500mAhのバッテリーで1750mAh充電できるのが期待値となる。
今回測ったKBC-L3ASは約1000mAhほど充電できたので、1750mAhに対して57%ほどの能力は残していることになる。


5年間のKBC-L3ASの使用状況だが、それほど多用していたわけではなかった。
もっぱらSANYO eneloop portable solarに繋いでチャージしておいて、携帯電話に適当に充電する程度。充放電サイクル数は、多めに見ても100回程度だと思う。
太陽電池ゆえにじわじわ不安定に充電されるのが、どれほど電池に過酷かはわからない。ただ、過放電や過充電になる機会はなかった。
日の当たる窓際に長期間置かれていたことになるので、夏は高温、冬は低温や結露に晒され、その点では過酷。安物のバッテリーを同じように使ったら、すぐ壊れてしまった。

利用回数は少ないとはいえ、5年という期間と、温度環境が厳しいところに置かれていたことを考えると、それで50%以上の能力を残していたなら、さすがは三洋の耐久性といってよかろうと思う。
これより後に購入した安物の中には、充電不能になるまで死んだものとか、放電時に発熱があって使用停止したものとか、いくつもあって、5年も使えたものはない。


容量が半分まで弱ってしまっていては、「まだ使える」とはちょっと言い難くはある。
とはいえ、これをもう寿命だとするなら、単純に容量だけが低下するという一番穏やかな寿命の迎え方をしている。
私の手元で死んだものの中には、使用中にカバンの中で異常発熱して、そのまま次は充電できなくなっていた、なんていう酷いものもあった。
よくある、急に充電も放電もほとんどできなくなる、というのは、防爆弁が作動したとか、ヒューズが飛んだとか、何らかの安全装置が働いた結果かもしれず、あまり穏やかでない。

昔はSANYOとかSONYとかだと、中国製の2倍くらいの値段したものだけど、最近はそこまでの価格差でもないし、信頼性に払う金額として十分いいんじゃないかな。
リチウムイオン電池は実際、ちゃんと制御して使わないと危険なものだから、あまりいい加減なもんは使わないほうがいいと思うし。(そういってる私も使ってるのだが)





あべの・熊取煉瓦館 (COOLPIX 995)

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さて久しぶりの古カメラ徘徊記事。

さすがに最近はもう、「昔使ってみたかったあのカメラ」的な古カメラもほぼ使い尽くしてしまった。
今なお使ってみたいとなると、それこそオリンパスE-20とか、ソニーCybershot DSC-R1とかDSC-F717とか、ニコンCOOLPIX 5700とか、そんなハイエンド系しかなくなってきた。
こういうのは、たまに中古あっても1万円くらいして、さすがに遊びで買えんよなー、と思う。500万画素くらいだぞ……

あったら欲しいという機種も、カシオEX-S100 (なぜか特殊硝材を採用した独自設計レンズ採用の肩に力が入ったEXILIM)とか、オリンパスAZ-1 (DiMAGE Xみたいなオリンパス機。見たことない)とかC-70Z (渋いおっちゃんカメラ)、ソニーDSC-P200 (伝統のあのスタイルの最終モデル、メーカー直販しか販売なくレア)とかUシリーズ (全機種CCD不良で死ぬ。U50とかU60とか特殊系が発見できない)、ニコンCOOLPIX S10 (スイバル最終モデル)、そんくらいかな。
誰か持ってたらください。



で、久しぶりに見つけた使ってみたいモデルが、ニコンのスイバル機がフラッグシップだった時代の最後を飾るモデル、COOLPIX 995だった。
かつてのニコンは、普通のカメラ然としたスタイルのは中級機以下で、フラッグシップはE900系スイバル機だった。どうもキヤノンの方が若者向けのイメージがあっても、大体やること尖ってるのはニコンの方よね。
まあ、もっとも、この頃のニコンデジカメは、ハイエンドはフィルムの一眼レフであって、デジカメは最上位モデルでもハイアマのおもちゃ、みたいな扱いだった気はせんこともないが。

このE995は、いろいろイマイチ扱いされた機種で、あんまり売れなかったとか。そして半年くらいで、ふつうのカメラ型のE5000にハイエンドの座を譲ってしまった。
E995にも後継機としてE4500が出たものの、ハイエンドポジションではなかった。
さらにE2500/3500の出現で、スイバルが廉価機にまで格落ちした。


さて、実際持ちだしてみる。

あべのハルカスをワイド端・テレ端で撮り比べ。
38-152mm F2.6-5.1という4倍ズームレンズ搭載で、当時大体の機種は3倍ズームまでだったところ、かなり望遠らしい長さのレンズを持つ。
3倍ズームで114mmだとしょせん中望遠で、遠方のものを引きつけるには足りないことが多いけど、152mmあればかなり違う感じ。
写りも隅々まで上々。周辺光量落ちも少ない。上の広角端はF6まで絞っているが、ほぼないに等しい。
歪曲収差はワイド端で多少あるけど、それでも壁に正対してやや目立つていどのもの。

さすがにハイエンドだっただけにしっかりしてるなー、というところではあるが、しかし惜しむらくは152mmでF5.1という暗さ。
スイバル機の場合、本体に対して縦にレンズが配置されるから、奥行きは長く取れるけど口径はボディ厚みに制限される。
オリンパスC-3040Zが35-105mm F1.8-2.6、キヤノンPowerShot G1がF2.0-2.5という素晴らしい大口径レンズを積んで、半年も前に出ていたのと比べると、どうにも暗い。

それから、スイバル機は沈胴式と違ってレンズの繰り出しがないから起動が早い……と期待したらそうでもなくて、だいぶレンズ待ちで起動が襲い。5秒とか待たされる。
どうも電源OFF時にテレ端に近い位置に動かしてしまうらしく、起動時にはいちいちズーミングしてワイド端に戻している。その位置でないと振動に弱いとか、なにかあるのかもだけど。
起動時のズーム位置を設定でき、テレ端にしておけば早くなるのだけど、毎回テレ端で起動するようなカメラいやだよ。(と思ったら、先々代のE950はテレ端起動だったらしい)


まあ、同時期の他社製品を見ても、2001年当時ならまだ、結構カメラの動作が鈍重でも許される感じはあるのだけど、それにしても遅い部類に思う。
撮影するたびに書き込み待ちが数秒続き、一応バッファがあるから2連続くらいの撮影はできるけど、書き込み中は次の撮影以外の操作はできない。露出の変更とか感度の変更もダメ。
2002年には、かなり高速動作するカメラが増えてくるから、2001年にこれを買って2002年を迎えたら、いろいろつらいなあ……


とまあ、いきなりボロクソにいってはいるけれど、やはりスイバルはいい。
こういう見上げるような写真が、実に楽な姿勢で撮れる。腕上げなくてよい。

ただまあ、液晶がかなり残念で、ちょっとでも上下に視野が外れると、明度が激しく変わる。
スイバルだから正面向けたらいいだけではあるんだけど、この液晶でスイバルじゃなかったらと思うと。多分三洋系の低温ポリシリコン液晶で、暗くて見えないとか、そういうことはないんだけど。

スイバル機なのに光学ファインダーもついている、という愉快な造りだけど、スイバルで光学ファインダー使ってもスイバルのメリット消え去るだけなような。


縦位置撮影がやりにくいのもスイバルの宿命か。ちょっと水平出てないね。
縦位置にすると、液晶の上下視野角の狭さもまたモロに出て、画面見づらいったら。


ただこのカメラ、すごく寄れる。
この花はせいぜい5ミリくらいのごく小さな花。1/1.8型の大型センサーとはいえ、コンパクトでこれだけボケるほど寄れる。
ズーム中域で最短2cm。多分APS-Cのデジタル一眼で50mmマクロを使うくらいの長さと思う。
使いやすくはないけどMFもあり、現在合焦している距離も表示してくれる。
ワイド端で寄る機種だと、意外と撮影倍率が高くなかったり、カメラ自体が影になって撮りにくかったりもするけど、中望遠域で寄れるE995にはその心配もない。(といいつつこの写真は順光すぎてカメラの影できてるけど)
その代わり、またレンズの暗さが出てしまって、せいぜいF4程度。ワイド端F2.8のカメラよりシャッタースピードは2倍で、手ブレ・被写体ブレが厳しい。


ラクウショウという木の根元に、ぼこぼこと根っこがいくつも突出していた。
呼吸根というものだそうで、よく湿地に生える木だから、空気を取り込めるように根の一部を土から表に出すとのこと。

地面すれすれ撮影がすごく楽なのはスイバルのいいところ。
植物撮るなら向いてるカメラかもしれないな。

秋深し。

意外に逆光に弱いレンズで、手でハレ切りしてもまだ右上にフレアが残った。


補色CCDなので、光の取り入れ量が多い。
このカットだとAEそのままよりマイナス補正が正しいけど、それでもちょっと白飛びし易い傾向はあるかも。

ちなみに露出補正は、シャッターボタン近くの露出補正ボタンを押しつつダイヤルを回すだけ。
フィルムカメラライクなダイヤル操作系が、ニコンらしくカメラ愛好家向けのつくり。
撮影モード(P/A/S/M)切り替えも、ISO感度も、ボタン+ダイヤルですぐ操作できる。ホワイトバランスはできない。
ただその、左に回してプラス補正、ってのは逆だと思うのだが、これは私が普段PENTAXユーザーだからだろうか。ニコンは左がプラスなの?
ISO感度も、左から順に100/200/400/800/AUTOと並んでいるから、特に感度を上げたいときは左に回し、しかもいきなり高感度側から出てくる。なんで……?

同じ被写体で、焦点距離は17.4mm(換算83mm)、開放F4.6と絞り込んでF10.4の比較。
ボケ方は結構違う。開放だと手前の紫の花の手前に出てる房がボケちゃってるけど、絞ればボケない。
ちゃんとコントロールできるのがいいね。

ただ、ちょっと日陰というだけでも、感度上げて開放で、としないとシャッタースピードが取れずにブレる。辛い。
これは日陰の屋外で11月末の午後3時、ISO400にして開放F3.7、1/48.7秒。ブレるすれすれ。
ニコンおなじみのベストショットセレクター(連写してぶれてないのを選んでくれる機能)があるから、それに頼ってもいいかも。

ベゴニアが下を向けてもさっと花を咲かせていたので、

逆さ撮りにチャレンジ。
スイバルなので全く無理なく逆さ撮りができる。

もちろん、こんなうすらでかいカメラで犯罪的逆さ撮りをやったら、すみやかに警察に体ごと回収されること請け合い。


ここから突然場所を写して、泉佐野市や熊取町へ。

熊野古道の九十九王子のひとつ、佐野王子跡。
かつては王子神社があったらしいのだけど、どこかに合祀されちゃってるらしい。説明看板が昭和59年のもので、ペンキがかすれて読めない。多分ここらだと春日神社だと思うが。


熊取町へと移動して、熊取交流センター煉瓦館へ。

大阪南部の泉州地方は、江戸時代から綿花栽培が盛んだったところで、明治大正にかけて機械織りの綿布工場が次々できていった。
ここは昭和初期に建てられた中林綿布の工場を再利用している施設。
近代化産業遺産・西日本綿産業のひとつとして指定されてもいる。

左手奥がかつてのボイラー室で、今は事務所に使われている。
右手は工場だったが、今は会議室やら集会所やら、展示やらに内装を作り替えてある。

曇り空だとホワイトバランスが青く転ぶカメラだなあ。

中に入ってみると、設立当初(1907年)のものではない気もするが、織機が展示されている。

だんじりもある。
近くの小垣内(難読地名で、おがいと、と読む)のもので、1880年から2009年まで使われていたという相当に古いもの。

だんじりというと岸和田だんじり祭が有名なのだが、岸和田以外でもだんじりをやっているところは多い。
熊取町の場合、歴史を紐解けば、かつて岸和田藩の領地になっていた時期もあり、かなり早いうちからやっていたようだ。
史料に残るものでは、1805年に作られただんじりがあるとのこと。
また、今のだんじりはみんな車輪がついたものを引いているけど、熊取町の一部では神輿のように担ぐタイプもあった。

また、今初めて知ったのだけど、1829年に、あまりに派手になりすぎただんじり祭にたいして、岸和田藩が祭りにだんじりを出すことを禁じたことがあったそうだ。
これは何年続いたんだろう。だんじりの葬り去られた闇の歴史やでぇ……

展示ホールなどの向こうには中庭がある。
工場敷地の大部分は、赤レンガの外壁を残してすっかり改装してしまっているようだ。中庭もレンガ壁の内側。

なんの機械かなこれ。

かつて使われていたランカシャボイラー。
といっても、中央部分は抜いて、中を見れるようにしたもの。本体を抜いて蓋を残してるような気もするが……

ランカシャボイラーは、名前通りにイギリスのランカシャ地方でよく見られた形式。造りが簡単で操作もメンテも楽だけど、熱効率が悪い(つまり動力じゃなく排熱になっちゃう割合が多いんだと思う)から大掛かりなレンガ組が必要、とのこと。
綿布を織るには、湿度を80%くらいとサウナみたいな状態にしないと糸が切れやすいそうで、ボイラーからでた蒸気を工場内にどんどん送り込んでいたそうな。
女工哀史というと、紡績工場でじん肺になってしまうのをよく聞くけれど、ここの女工さんはもしかすると湿度のお陰でじん肺はまぬがれたかもしれないが、その代わり恐ろしく不快な環境での労働を強いられてたんだろうなあ……などと空想したり。

売店があったので、熊取名物「どっち餅」をひとつ。160円。
スポンジケーキを二つ折りにした間に、つぶあんと、結構大きい餅をはさみこんだお菓子。
餅といっても求肥なので、暖めなくても柔らかい。求肥なので少し甘味もあり、さらにつぶあんが入るのだけど、あまりくどい甘さのあんこではないみたいで、なかなかバランスいい。

他にも、地元繊維製品などの販売もあり。
売店の隣には、フランス料理屋なんて入っている。

工場の電信室。
入り口は塞いでしまっているようで、中は見られない。
レンガがオランダ積みになっているのがポイントだ。

こっちは旧事務所棟。
レンガ造りではないだけに再建したものだけど、当時のものを解体してできるだけ再利用して再建したとのこと。


さて、煉瓦館の隣には、かつての熊取谷一帯の大庄屋だった中家の住宅がある。


外見は少し手直しされているが、中はかなり昔のまま。
庭も広く残されたままで、庭木などもちゃんと手入れされている。

入ってすぐは広い土間だが、堺あたりの商家とは違う作り。商いをする雰囲気じゃないな。

ふすまにぎっしり桐の紋。

部屋から庭を見てすぐの植木に、橋本宗吉電気実験の地、という碑がある。

江戸時代の蘭学者・橋本宗吉が、雷が電気であることを確かめたベンジャミン・フランクリンの実験を追試するにあたって、中家の協力を得てここで行ったそう。
しかしあの実験、フランクリン自身はよほど慎重に安全確保してやったらしいけど、下手なやり方で真似しようとして感電死した人が出たそうな。
橋本宗吉は幸いにも実験では無事だったのだけど、その後、大塩平八郎の乱に弟子が関与してたから巻き添えくったり、蘭学者迫害に遭ったりと、楽には生きられなかったようだ。

また、有名な老舗の蕎麦屋に「更科」「藪」「砂場」があるが、その「砂場」は、中家ゆかりの人が始めた蕎麦屋だそうな。
江戸中期の「摂津名所図会」に、「砂場いづみや」が挿絵入りで、熊取谷の中家の者が開いた名店だと紹介されている。
今の大阪市西区新町あたりにあったそうで、新町南公園に「ここに砂場ありき」という碑があるらしい。一度見に行ってみようか。

床の間とかにさり気なく飾られた花生けや花が侘び寂び。
ISO800はかなりのノイズだなあ。でも2001年当時だと、ISO800を選択出来るだけでも珍しいだろう。

廊下なしに部屋が繋がるのは当時だからあたりまえだけど、ここは千鳥に部屋が並んでるな……

うわ、パタパタ時計つきラジオ。National RC-685。1975年の製品らしい。

 遥かに古そうな電気スタンド。

舶来のフェルト帽の箱。

AICHI TOKEIかな。
多分今の愛知時計電機だと思う。みのもんたが2位株主の。

祖神社もある。

中家はここらではとびきりの名家で、後白河院が熊野詣にきた際に立ち寄って行宮としたこともあるとか。大層なもんだなあ。
煉瓦館と合わせて、なかなか興味深いスポットだった。



COOLPIX 995だが、うーん、これをC-3040Zと直接比較すると、見劣りするとは言わざるをえないか。
遅い起動、遅い書き込み、遅いズーミング、暗いレンズ、どうも基礎体力が足りないというかなんというか。
起動時ズーム位置を選べる、ISO800が使えてかつメニューに入らず素早く変更できる、ベストショットセレクターがある、と、真面目な造りで問題を軽減しようとしているのはわかるけれど。

まあ、今になって使うとなれば、スマートメディアなんか必要なC-3040Zより、2GBのコンパクトフラッシュを平然と使えるのが大きなアドバンテージにはなるが。

 操作性はいいから使ってて不快とまではいかないけども、スナップ写真に向くようなもんじゃないな。
でっかくて変な形だから、カバンに入れるしかなくて、取り出しが手間。レンズキャップも手で付け外し。
それで起動に待たされ、やっと撮ってもまた仕舞うのに手間。ううん。
 晴れてればいいけど曇るとてきめんに転ぶAWBと、そしてWBはメニューからの変更なのも惜しい。何かファンクションに設定できたような気もするけれど。

特にスイバルが使いやすい撮影シーンもあるし、至って強力なマクロも魅力のひとつではあるから、特殊なシーン、例えば花ばっかり狙いたい日とか、そういうのなら大活躍しそうではある。スイバルとマクロは相性いいとは思う。
そうでなけりゃ、いつも使っていたいってカメラじゃないなぁ。

小型スイバルで動作が早くてマクロに強い、ってな機種があれば、サブカメラとして常時持っていられそうなんだけどな。
京セラFinecam SL300Rは、小型と速さは合格点だけど、マクロに悲しいほど弱い。20cmとか。
逆にマクロに強いCOOLPIX 995は、でかくて遅い。

COOLPIX 3500はもう試したけどあれも遅い。そして予想の3倍くらい外装がチープでかっこわるい。
サイバーショットU50か、COOLPIX SQ以降のやつか、その辺を試してみたいんだけど……


E990と似たような機種に見えるが、結構違う。
E995はEN-EL1なんて今更他に使うところ少ない電池だが、E990は単三電池4本。
E995が38-152mm F2.6-5.1に対して、E990は38-116mm F2.8-4。
また、ストロボの位置が変わっていて、E995は上部にポップアップ、E990はレンズ横に直付け。
それによってE995は幅が短くなったが、レンズ部が厚ぼったくなった。
動作がのろくさいとか、そういうとこは同じらしい。改善なし。

Googleマップの謎の誤動作と Albert's Liquid Waste

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先ほど、ブラウザでGoogleマップをいじっていたところ、妙な誤動作にでくわした。

大阪は泉南市の「せんなんわくわく広場」という施設をクリックして情報を見ようとしたら、突然地図の表示位置がぶっ飛んで、何もない海の中にぽつんとある、「Albert's Liquid Waste」という施設を表示した。
わけがわからないよ。



飛んだ先は、アフリカのガーナ沖にある、この場所(Google地図へのリンク)
ほぼ北緯0度・東経0度のところで、小島があったりするのかどうか。そのあたりで海底が盛り上がっているようには見える。

なぜそんなところが突然表示されたのか。
単に通信エラーか何かで経緯度の通信を取りこぼして、とりあえず0, 0地点を出した、とか。
他に考えようもないしなあ。
そうでなければ、何か怪しげなプログラムでも侵入してるだろうか……?


また、なぜこんなところにその会社の位置情報が設定されているのか?

このAlbert's Liquid Wasteというし尿処理会社は、先の地図のクチコミを見に行くと、Google+にローカルビジネス確認済みのページがある。
また、www.grenvilleseptic.comという独自ドメインのサイトも持っているようだ。Facebookやいろいろなネットサービスへも登録されている。
下水処理装置の設置・修理や仮設トイレのレンタルが業務であるらしい。
 
ただ、Google+のページに掲載されている位置情報は、カナダの森の中の道の上になっている。ガーナ沖ではない。
そこを航空写真で見ても、倉庫とかバキュームカーがあるようにはとても見えない。森だけ。
まあ、別のところにあるだけ、あるいは森しかないようなところだから住所表記が曖昧で、実際は結構違うところにあるとか、そういうことかもしれないが。
こんな宣伝動画もあった。内容は、会社の人が名前を言って、社名を言って、サービス内容を列挙して、最後に電話番号を言おうとして忘れちゃって終わり。番号はちゃんと文字で出るし、サイトにも記載がある。
その動画をアップロードしている人は、カナダで映像作って商売している人のようで、LinkedInにその人のアカウントがあったりした。

そこらじゅうに情報はあるものの、有名企業というようなものではなさそう。
し尿処理業者がそこらじゅうで話題になることもないだろうから、会社自身が開設したSNSのページや電話帳など、そういうページくらいしかネットでは見つけられない。
ユーザーが「ここにお世話になった」なんて体験談は、まあなさそう。
これは、うちの近所のし尿処理をやってた業者の名前を検索しても、やはり業務関係のちょっとした情報しか出ないので、業種的に仕方ない、むしろ自然な状態と思われる。
ユーザーの声とかが多く見つかるようなら実在企業かと思えるのだけど、これじゃ実在とも架空とも判断できないな。

集められる情報から想像する限りだと、「実在する会社だけど、なぜか北緯0度東経0度に誤登録されちゃった」くらいが妥当な線かなあ。


Twitterで検索すると、古いツイートも少しだけあるが、今年11月下旬から突然、「北緯0度東経0度にAlbert's Liquid Wasteってのがある」との話題が出ているようだ。
こんなわかりやすい緯度・軽度にあるものはすぐ見つかると思うので、最近設定されたと思うべきかな。
地図にはわざと変なことを書いた部分を作っておいて、丸コピーを防止することがあるというけど、その役目にするにはわかりやすすぎる気もする。やるならもっと、木の葉を森のなかに隠すようなことをしたほうが。

ただ単なるミスなのか?
Googleの地図コピー防止策なのか?

トリクルダウンあそび

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最近トリクルダウンという言葉をよく聞きます。
経済は学んだことがないので詳細はよくわからんのですが、要は富裕層が豊かになればそれによる経済の動きが生まれてどんどん下層にも富が流れ落ちる、というような話だそうで。
twitterで、上に注いだらあふれた分が下段にこぼれていくシャンパンタワーのイラストがよく流れていました。(いくつかバリエーションがあったので、特にどれかへのリンクはなし)

全然関係ないんですが、家電好きの私にはトリクルチャージのほうがよほど馴染みのある言葉なもんで、この記事のネタを確認しようと検索したら、リチウムイオン電池の話ばっかり出てくる。
それまで間違いに気付かなかったもんで、友人相手にトリクルチャージって話してたかも。




ところで、Androidアプリを渉猟してたら、砂ゲーという秀逸なアプリがありました。
手描きで地形を描いて、そこに砂や水を流し込む、という、目標も成功失敗もないようなものなんですが、これがなかなか楽しい。やってるとZenのような気分になれる。
PC用のフラッシュアプリもありますが、Android版のほうがちょっと高機能。


はい、そういうわけで、「砂ゲー」でもって、トリクルダウンをやってみました。

一番上の白いのが「くも」で、自然に青い「みず」がどんどん発生して落ちてきます。
器はグレーの「てつのかべ」で5段にしました。全部手描きなのでいびつですが、まあ、見るからに違うだろ、というほどのものではないことにしてください。なに、実際の社会はもっといびつです。
私がいるような社会の底辺として、すべての器の一番下に、緑の「しょくぶつ」で床を作りました。水が落ちてくると成長するようになってます。

さあ、どんどんトリクルダウンしてもらいます。

一番上の器はすぐに溢れます。
 
どんどんトリクルダウンしていきますが、器の形の微妙な差や、器の場所によってペースがずれていきます。
特に3段目右側の器、別に器が大きいわけでもなく、2段目の右の器の右端が高いわけでもないのに、ずいぶん遅くなりました。
微妙な条件の違いで、ずいぶん差がついてしまうようです。

「砂ゲー」の水は粘度が高いので、器の左右端の高さが多少異なっても、高い側にも少し流れ出ます。
粘度が低かったら、本当に低い側にしか流れ出ないことになります。
経済の動きに例えるんなら、ある程度粘度が高い方がリアルに近いかな?

さて、いよいよ我々最下層にもおこぼれが落ち始めました。
まあ、こういうピラミッド型だと、真ん中近くにたくさん落ちるのは当然といえます。
しかし、先ほど流れが悪かった3段目右端、ここが流れをせき止めてしまい、右端近くの下段へまったく流れ込んでいません。
3段目右端の器は、右端がちょっと高くなっているので、その下にはいよいよ何も来ません。
左端にはまだしも流れていっていることと見比べると、「元々生まれた場所が悪かった」「上にいる奴が悪かった」という運の悪い人には、トリクルダウンの恩恵はこないようです。

また、これは器の大きさを同じくらいに揃えていますが、リアルな経済だと上に行くほど器が大きいように思います。
上の方って都市銀行とかトヨタ・パナソニックといった超大企業でしょうから、最下段を中小企業正社員クラスとしても、数千数万倍の差はあるでしょう。
上の方の器が現状どれくらい満たされているかによりますが、器の大きさを同じとするより、下への流れ出しは遅くなるでしょうね。
 
さて、トリクルダウンの恩恵を受けた最下層が、すくすく伸び始めます。
特に真ん中あたりのがどんどん急成長していきます。
この急成長する「しょくぶつ」の株、せっかくなので田中という愛称をつけましょう。

「しょくぶつ」は水に触れると伸びる、つまり器に到達すると一気に侵食します。
田中が地元権力に食いついたぞ……!

下に行くほど器が満ちるのが遅かったわけですが、ひとたび最下層から食い込んだ田中は、その遅さを逆回しにするかのように、すごい勢いで下克上していきます。上に行くほどより多くのみずを我が物にできるので、加速度的に伸びます。
また、田中が侵食してしょくぶつ化してしまった器は、落ちてきた水をすべて自らの成長に回してしまうため、下層へのおこぼれを回さなくなります。
「器をあふれたものは下々の者に与える」というノブレス・オブリージュをもった上流階級であればいいのですが、田中にそんなものはありません。ただただ独占して私腹を肥やします。
それによって、田中に次いで伸びていたしょくぶつ株の成長は遅くなり、やがて止まります。

ところで、日本ってあまり寄付をしない社会だそうですね。ひとりあたりでアメリカの十分の一とか。

田中、ついに位人臣を極める。

最下段の器に食らいつこうとするところまで伸びた二番手株ですが、上流を田中に牛耳られた結果、ここが限界でした。最早みずは落ちてこず、成長も止まりました。

そして田中はすべてを我が物とし、すべての変化は停止しました。
こうなったらもう革命を起して田中からすべての富を没収、すべての資本を国有化して富を労働者に等分配し、理想社会を築くしかありませんね。


結論としまして、このモデルでは、運の悪いやつ(上流に運の悪いやつがいた人も含む)には少しだけしか、あるいは全くこぼれおちません。

また、下に行くほど、恩恵がくるのが遅くなります。
そして、田中の伸長によって上流を抑えられた他のしょくぶつ株を見てもわかるとおり、上が止まると下も急に止まります。上の方で止まれば、そのストップが下に伝わるのはすぐです。
特に、上層が田中に制圧された場合が最悪で、ほんとに何も落ちてこなくなります。あくどい奴が過剰に伸びるのは抑えなければなりません。

みずの粘度が高ければ高いほど、器のふちより高く盛り上がる量が増えるので、供給停止後もこぼれ落ち続ける量は多くなります。どれくらいの粘度と設定するのが正しいかはわかりませんが、経済だったらかなり粘度は高いものと考えてもいいような気はします。
とはいえ人間の心理として、上からこぼれおちてきたものはできるだけ抱え込もうとするだろうし、おちてこなくなったら、少々キャパオーバーしていても頑張って抱え込んでこぼさなくするようにも思いますが。


なおこの記事の本当の目的は、トリクルダウンを解説するシャンパンタワーのイラストがどれも、綺麗に同じ形の器が整然と並んでいる図になっていることへの、反論というか、ケチつけです。
そんなきれいなわけないやん、と、器をあえてフリーハンドで適当に描いてやってみたのがこれです。で、やっぱりフリーハンドだと、トリクルダウンもいびつに偏りました。
私は、いびつで偏るほうがリアルだと思います。

選挙期間中でアベノミクスへの賛否が問われている今ですが、この記事がアベノミクス批判かどうかは、「そもそもアベノミクス=トリクルダウン理論に基づいたものなのか」とか、「そもそもシャンパンタワー型の図がトリクルダウンのモデルとして適当なのか」とか、いろいろ判断することがあります。


弱る弱るよ電池は弱る

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私のメインPCは、2013年夏頃に購入したLavie G type Z (の業務用モデルのVersaPro Ultralite Type-VG 2012年夏モデル)なのだけれども。
最近、バッテリーがあんまりもたない。
世界最軽量(当時)のUltrabookだというのに電池が持たないのは弱るんだけどなあ。



ところで先日知ったのだが、Windows 8にはOS自体に詳細なバッテリーレポート機能があるそうだ。
やり方は@ITの記事を参照のこと。

さて、レポートを取得してみたところ、設計上のバッテリー容量は33,300 mAhであるらしい。
ところが、現状では19,825 mAhという。残存容量59.5%。
まあ、何の値を読み取ってそういうこといってるのかわからんけれど。
普通はリチウムイオン電池にはコントロールICが入ってると思うので、それになにか容量の値とかが保持されてるのだろうか。

発売後2年半、実働1年半で40%も弱ってしまうというのは、私が思ってたよりはへたりが早いかなあ、というところ。うわっ……私の期待値、高過ぎ?
プリインストールされている「バッテリーリフレッシュ&診断ツール」に、充電量を80%に制限して劣化を抑える機能があったので、それを有効にしてたんだけどな。
この機種はバッテリーが交換できないので、電池弱ったら修理になっちゃうのよね……。しかも25000円+税くらいらしくて。

過去の残存容量レポートを見ると、なだらかに劣化する曲線を描いているわけではなくて、あるとき突然がくんと下がる、というのを繰り返している。
どのタイミングで下がっているかと思えば、「バッテリーリフレッシュ&診断ツール」で診断を行った時っぽい。

とはいえ、そういうツールを走らせないと残存容量の取得ができない、ということなら、こういうツールが付属しないPCでは、Windowsが残存容量を取得できないことになる。
そう考えると、100%まで入って充電が停止したタイミングで残存容量が更新される、とか、そういう動作をしてると推察したほうがいいかと思う。
私のPCは普段80%までしか充電しない設定だから、100%になるのは診断ツールを使った時だけで、その時に値が更新されてる、と。


最近のバッテリー駆動での実働時間レポートも取れていたが、それによると、1時間37分28秒の利用で、13,209 mAh使用したとのこと。
これだと、新品のバッテリーをフルに使っても、246分つまり4時間ちょいしか使えないことになる。
私はこれをメインPCにしているから、LINEにSkypeにPSVitaのコンテンツ管理ツールにSONY Readerの転送ツールにと、かなり多数の常駐プログラムも動いているし、その1時間37分の間に艦これやったりもしているから、バッテリーにはやさしくない、とは思うのだけども。
それにしても、発売当時の公称値だと8.1時間使えるというんだけど、そんなに長くは持たないと思うけどな……。
Androidタブレットなんかは、わりと公称時間と実使用時間の乖離が小さい気がするんだけど、PCは相変わらず大きい感じか。


たまにしかモバイルでは使わないとはいえ、実働時間が2時間を割りそうな現状では、もうそろそろ外で使うのは厳しそうな感じ。
できるだけモニタ輝度を下げの、できるだけ機内モードで余計な無線通信は切りの、できるだけecoモードでCPUパワーを落としの、それで多少粘ることもできるのだが……

ハリボーウィスキー・オルタナティブ

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twitterで話題になっていた、「ハリボー・グミのウィスキー漬け」、試してみました。

使ったウィスキーはハイニッカ。
ウィスキーにしては不思議なくらい甘味を感じる酒なので、グミに合わせてもいいかなあと思って。

作って食べてみると、なかなか面白くて美味い。
基本的にはハリボーの甘い味だけど、そこからアルコールの熱が染み出してくる。
大勢いるところで振る舞ってみたら、自分でも作ってみるという声が多数あったくらいの好評。



やってみてわかったことが何点か。


ウィスキーの使用量は、ハリボー20個くらいに対して、少し液面から頭が出る程度まで入れて、多分100ccも行かない程度。
それでもある程度は吸いきれずに残ったから、減らせば減らせるかも。

味は、ハイニッカよりもハリボーがかなり勝ってる感じ。
まあハイニッカが甘くておとなしい味だからかもだが、酒側を効かせるなら結構キツい味のもので行ったほうがいいかも。
いずれカリラやアードベッグ、あるいはワイルドターキー、それかフロム・ザ・バレルかそのへんでも試すか。

一旦グミが吸ったウィスキーは案外しっかり保持されるようで、つまんだら液体が滴り落ちるなんてことはなかった。
完成後なら、ビンに入れて積み重なった状態で半日ほど持ち歩いても、融合したりもしなかった。ビンにも張り付かない。
堅いハリボーが、果汁グミみたいに柔らかくなるだけの感じ。
ただ、その日は外気温が冷蔵庫くらいの寒さだったので、もしかしたら暑いと溶けそうになるのかも。



ハリボーは少々入手性に難があるので、国産の買いやすいハード系グミで実験中。
NOBELのサワーズグミ・ミックスジュース味と、ブルボンのフェットチーネグミ・レモン味を、ドイツジンのシュリヒテ・シュタインヘーガーに漬け込み。
ラム酒でやろうかと思ったが、サワーズのほうがかなり甘い味だったので、この上さらに甘いラムよりは、さっぱりしたシュリヒテでいってみた。

なお値段的にいえば、ハリボーは単価が高いようで量があるので、さほどの差はない。

どちらもハリボーよりはやや柔らかいので、酒を吸う量が少ないか、吸うのに時間がかかるか。

Android 2.3へのGoogleアカウントの追加についてメモ

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何度かやって、やるたびに大混乱に陥って面倒なことになるのでメモ。




ユーザー名はgmailアドレスで。

Googleアカウントに二段階認証を有効にしている場合、アカウントのパスワードを入力してもダメ。
サポート情報を元に、アプリパスワードを発行してそれでログイン。
(そうせにゃならんとわかるような表示を出せよっていう)

時計が狂っているとエラー出すので修正する。


2014年のデジモノまとめ

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今年はあまり買い物しまくるような年ではなかったけれど。


ASUS MeMO Pad HD7 (ME173X)

購入直後のレポートは過去の記事へ。

その後モバイルルーターを購入して、外でもどんどん使うようになった。
しかしながら、やっぱり私は外では本を読むほうが好きで、それほどネットであれこれ見まくったりもしないまま。
歩きまわる時に「My Tracks」でルートを記録したり、「ステーションメモリーズ」で遊んだりといった、位置情報関係のアプリを楽しむくらいかな。
見るとしても、「SmartNews」で見出しをざっと見たり、twitterをチェックしたりする程度。

FlashかHTML5かわからないけど、アイドルマスターシンデレラガールズがやけに重い。
比較対象がなかったから、アプリ側が元々重いのかと思ってたら、Xperia Arcと比較しても負けるくらい遅いことが判明。ちょっと何か異様な感じ。
しばしばFlash(?)部の表示乱れも起こすので、何かグラフィックチップかCPUが合わないとかかな。

位置ゲーを始めてから気付いたけれど、少々GPSは頼りない感じが。
つかむまでに相当時間がかかることも多い。駅ビル付きの駅でGPSが切れて、そのまま20キロ先の終点につくまで切れたままなんてこともザラ。
「GPS Status」で補強して、「My Tracks」を常時GPSを掴もうとし続けさせるために起動しておく、くらいのことをしておけば、わりとスムーズに利用できるかな。
確か、SONY Tablet Pはもうちょっとつかむのが早かった気がするんだけど……



rise products co., ltd.というところのケースを購入したが、これはなかなかいい。
それなりに重みはあるし、厚みが2倍になっちゃうけれど、その分なかなか防御力高そうなしっかり感がある。落として壊すことを心配していた私には、これくらいがよかった。
手触りなんかもそこそこ気持ち良いもので、安かったのに頑張ってるなあ。
ちゃんとカバー開いてスリープ復帰するのも嬉しい。
これで、すぐにどこか縫製が解けるとか、破れてくるとかがなければ万々歳。

ただ、スリープ復帰用磁石がコンパスの邪魔をすることがあるらしいことと(仕方ないか)、SONY Readerといっしょにかばんに入れてると、こっちも磁石に反応してスリープ解除されてたりすることがある(仕方ないか)。

NCXX NI-760S (モバイルルーター)

前の記事から特に印象の変化はなし。
安かったのに、額面通りの仕事をきっちりこなす優秀デバイス。

これはもちろんNI-760Sのせいではないけど、接続するデバイスはすべてWiFi接続だと思ってるわけで、「アップデートはWiFi接続時のみダウンロードする」というような設定は効かない。

多摩電子工業 リチウムチャージャー1000 AL09S(II)

わずか1000mAhのモバイルバッテリー。
NI-760Sにぴったりくる。コードなしにコネクター直付で紛失のしようもないし、出力は500mAでも足りるはずだし、なにより売値が300円だったから失敗してもぜんぜん。翌日同じ店で180円になってたけどな。
これで700mAhほどNI-760Sの容量を上積みできれば、2時間は伸びる。うん。

team SDHC 16GB class 10 TG016G0SD28K

12月に、Q10にSDカード入れ忘れて、難波で一番安いのを買った。
しかし円安のせいか、なんだかSDカードが全般にちょっと高くなってる気がする。これは旧モデルの売れ残りっぽい、円高の内に仕入れたっぽいから780円だったんだけど、他のはブランド問わず高い感じで。

別にこれ自体に何の期待も与えていないが、何故かLavie ZのUHS-1対応カードリーダーで読ませたら、Readが87.0MB/sも出る。
これはもしかして、雑な製造してるからClass 10もUHS-1も何もラベルしか違わないのか、拾い物だなー、とか思ったら、Writeが10.3MB/s。ナニコラタココラ。

Panasonic QE-QL202

以前の記事で、「やっぱりモバイルバッテリーは品質の良い物がいい」なんて書いておいて、自分が使っているのはまさに安物だったのだが、先日1880円で見かけたので購入。
前の安物も5800mAh、QE-QL202も5800mAh。
ME173Xをフルチャージできる程度の電力量はあったし、2口あるからモバイルルーターも充電できる。合計最大1.5Aは今どきにはやや小さいが、まあまあ。
 
付属のケーブルが、本体の体積を25%増しにしちゃうような、やけにでかいコネクターになってる。
一見馬鹿げているようでも、これならかばんの中で少々横からの力が加わったりしても、ダメージになりにくい。
ぱっと見では、2口あるコネクターのひとつを潰してしまいそうに見えるが、ちゃんと潰さずに使える。しかも、追加した側のケーブル付け根もガードしてくれる。
これはかばんに放り込んでおくにあたっては、かなり好ましい。こういう配慮はやっぱり日本のメーカーだなあ。
(もっとも、これをPC→QE-QL202の充電用ケーブルとして使うには、PCのUSBまわりがゆったりした機種でないとダメで、かなり多くの場合で使えない気はするが)

PHILIPS 224E5QHSB/11

PC用の21.5型フルHD液晶モニター。

前からブルーレイDIGAに、古い19型ワイド液晶モニター Acer X193Wをつないでいたのだが、これは古いPC用なので、アスペクト比が16:10だった。
それを、HDMI出力からDVIに変換して入力するなんてことやってたもんで、1440x900のパネルに720x480を、若干縦長になりながら出力するという物哀しい写りになっていた。

で、16:9で、できればHDMIが2つ、さもなくばHDMIとDVIで2系統の入力があり、幅が50cmまで(つまり枠が薄い21.5型が上限、できれば19型)、という条件で探していたが、なかなか難しい。
特に、19型以下はもうビジネスユース中心な感じで、入力がもう、下手すりゃアナログ1系統とかで。

21型なら多少広がるが、HDMIがふたつあるのは飯山かPHILIPSくらいのようだった。
で、入力さえあればパネルの質は問わないつもりだったけど、PHILIPSのこれを見れば、なんかフルHDでAH-IPSだという。1366x768のTNパネルとか出てくると思ったのに。
これで税込み2万円足らずという値段。通販なんかだと15000円くらいまであるらしい。
TNで想定してた価格でAH-IPSだったから、即決しちゃった。
さらに、HDMIケーブル、MHL-HDMIケーブル、VGAケーブルと全部ついてくる。

HDMI2系統を活かして、片方はDIGAから、もう片方はLavie ZことVersaPro UltraLite VGのHDMIから入力してデュアルモニター化した。
これで作業域が広く取れる、のはいいのだが、元々かなり青っぽいVersaProの液晶と、黄色っぽい224Eの色味がすごく違う。
IPS液晶は普通に作ると画面が黄色っぽくなるというけど、それかな。

スピーカーは内蔵しないが、HDMIを出力するステレオミニジャックがある。PC用ならこれで十分。
 ともあれ、地デジもちゃんとフルHDになったし、セカンダリモニターとしては広々してるし、まあ上等。
スタンドの接地面が大きな円盤で、無駄にフットプリント大きいのがちょっとだけ減点。Acer X193WはV字型で最小限な感じだった。


BUFFALO BRXL-PC6VU-C

USBの外付けBD-Rドライブ。
間違ってUSB2.0のものを買っちゃって、いささか速度は遅いが、自分のミス。TurboUSBには対応しないモデル。

中身のドライブはTSST SN-506BBだった。
メディアが悪いと焼き品質が悪くなるドライブらしいけど、まあ、とりあえずスペック通りに仕事してるからいいや。


Panasonic ブルーレイDIGA DMR-BRT230

2014年にしてようやく地デジ化した我がテレビ環境。
録画できればなんでもよい、ダブルチューナーも大容量HDDもいらない、と大雑把な考えで購入。

でまあ、ちゃんと録画するし、1クールごとにBD-Rに逃せばHDDも足りるし、と、仕事をしてはいるのだけど。
とにかくユーザーインターフェースがひどすぎる。一体何考えて作ったらこうなるのかさっぱりわからない。

番組表を出す。
右上にプレビューウィンドウが出てるのはいいけど、ここは直前に表示していたチャンネルが映るだけで、番組表上で選択しているチャンネルに追従したりしない。何かのキーで表示できるかもしれないが、表示もないしわからない。
番組表で見たい番組名を見つけて、そのチャンネルを写したいと思っても、即選局できない。できるかもしれないが表示もないしわからない(表示がないからわからんことは以後省略)。
番組を選択して詳細情報を表示させてから、「今すぐ見る」を選択すればチャンネルが変わるが、なぜその無駄なワンステップを省略させないかわからない。

HDDからBD-Rにダビングしたい。
まとめ番組単位で一括選択すればいい場合はいいのだけど、大河ドラマみたいにBD-R DLでも入りきらないようなものは、詳細ダビングでやることになる。
これがまた、まとめ内で「ここからここまで」とかできず、ひとつひとつ何十回と選択していかなきゃならない。しかもたった20件ぐらいで、目に見えるほど処理が遅くなる。
大河ドラマの最後の10話だけダビングして、残りは他の番組を入れたい、となると、詳細ダビングモードではまとめ番組をすべて一括選択できず、こちらもひとつひとつやらなきゃならない。

HDDから外付けHDDにムーブしたい。
これはつつがなくできたと思ったら、移動先でまとめ番組が分解されている。

CMカットなんかやろうものなら心底ひどい。
リモコンの決定ボタンと、再生・一時停止・早送り・巻き戻しなどをひっきりなしに往復させることになるが、その中間にあるスタートボタンとか簡単スタートボタンとか、違うボタンを押してしまったが最後、まったく確認なくすべての編集を破棄してスタート画面に移行する。
なんでこんなこと確認しないのか。「戻る」を誤って押した時には確認が出るのに。

およそ何をやってる時でも、「スタートボタンを押すと、作業内容をすべて確認なく破棄してメニューに移行」という頭の悪い動作をする。そしてスタートボタンが押し間違えやすい位置にある。十字キー上のすぐ上、再生・一時停止のすぐ下。
スタート以外にも、押した瞬間に無確認で機能を移行してしまうボタンが多数あって、地雷だらけみたいなリモコンになっている。

今回は、Panasonicに個人的な縁があったのでDIGAを選んだのだけど、まさかこんな酷いインターフェースと思わず。
初心者向けとも思えず、何かと表示が足りず、わかりやすくもなく、試作中にちょっと自分で使ってみればわかるだろうというような馬鹿げたダメさが多い。

2014年のアニメなどまとめ

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今年何らかの形で放送されたものについて。

シムーン

これをいってしまうと、過去を美化しまくって新しいものを認めないウザいロートル野郎のようでいろいろアレなのだけど、今年観た中で一番おもしろかった作品というと、11月29~30日にネットで一斉再放送された「シムーン」ということに。
8年も経ってもまだ、本当に抜群に面白いね。

なんかこう、古い作品に固執する嫌なロートルの気持ちがわかるようになってきたな。
自分にとって圧倒的な作品に遭遇してしまうと、その後は、「あの作品より面白い作品があるだろうか」という目を新しいものに対して向けてしまう。
より面白いものとか、超えないまでも匹敵するくらいのものが見つかっているうちは、まだしも次に見る作品に期待を持って前向きに見ていられる。
しかし、作品の流行が移り変わったり、あるいは見てる自分が歳食って客層からずれていったりして、だんだんと良い作品が見つかりにくくなっていく。
すると、向けた期待は裏切られるようになり、次に期待を向ける気持ちもどんどんしぼむ。
それがゼロを下回るとマイナスに転じ、「どうせ今どきのクソアニメなんてろくなもんないよ。あれとは比べ物にならない」とダークサイドに落ちる。

まあその、さすがにそういう感じにはなりたくないから、意識してブレーキかけるようにしてはいる。
だから、いわゆるシリアスな感じのものはあまり見なくなった。そういうのに期待を向けても、期待が偏ってるんだから応えられるわけがない。
最近好んで見るのがきらら系萌え四コマのアニメ化ばっかり。
こういうのには過剰な期待を向けず、「ワーカワイイー、ナンカカワイイー、きらら系、ダヨネー」くらいにゆるみきった視聴態度でいられるから、ダークサイドに落ちないし、余計なこと考えなくていい。

ロートルがうざくないようにするのも、結構面倒なもんである。


ご注文はうさぎですか?」などきらら系

今年のきらら系は、「ハナヤマタ」は外してしまったので、「桜Trick」と「きんいろモザイク」。
いや、北海道の友人の話と、地元になぜかやってきたYOSAKOI祭りから、すごくYOSAKOIにマイナスのイメージがついてしまって……w

来年の「幸腹グラフィティ」は楽しみだな。
創刊以来迷走を続けるミラクを、月刊化以来ずっと、強力に支えてきた作品だったから。ミラクでやれるならこれだけだろう、とはずっと思っていたのだ。


で、私はきらら系の中では「ゆゆ式」が一番気に入っている。
きらら系アニメは、作業中とか、特に何もしてない時とかに(つまり大体いつでも)BGVとしてだだ流しにしているのだけど、そうすると、出ている音の耳当たりと、たまにチラ見する画面しか問題にならない。
ほとんど「観てる」とすらいえないのだけど、それに「ゆゆ式」が非常によくマッチする。
近頃、使わなくなった古いAndroidタブレットを、地上波録画しといたのを転送してひたすら再生し続ける装置にしてしまったくらいで。

BGVだから、あんまり目を奪うほど内容があったり、画面が派手だったり(これはきらら系より電撃文庫アニメでよく起こる問題だけれど)すると困る。
そうなると、「GA」のアートみたいな、内容がちゃんとあるのはかえって好ましくない。
「らき☆すた」のオタクあるあるネタなんかも内容だし、「桜Trick」に至ってはキツすぎてむせる。
「Aチャンネル」の作為的に入るキャラソンもちょっと、歌がいいならCDかけるしなあ。

内容がなければ、あとは耳当たりが問題。
「きんいろモザイク」とか「ご注文はうさぎですか?」あたりは、いい感じに内容はない。
のだが、惜しむらくは「きんいろモザイク」はキャラがよく叫ぶ。主にカレンと、こけしがアリスを叫ばせるのがうるさい。「ご注文はうさぎですか?」もまた、シャロの声が突き刺さる。

その点「ゆゆ式」であれば、賑やかでありながら、刺さるような金切り声がほとんどない。
このアニメは、叫ぶときは低音でやる。

「ゆゆ式」はまた、高度に内容がない。
「きんいろモザイク」や「ごちうさ」は、「萌えそうな行動をしている」とよくわかるキャラばかりだから、萌えアニメであるという内容があるとはいえる。
そこにくると、ゆずこは萌えるも何もわけがわからない言動が多い。そこで縁がけらけら笑って、ゆずこの無意味発言を面白いことだと意味付けする。そして唯がツッコミいれてまとめる。なんたる無意味な基本形か。
ゆえに、「ゆゆ式」は最も好ましいBGVになる。


しかしひとつだけ、一話での唯の「おまえら可愛すぎるだろ」発言がクリティカルに蛇足だったなあ。まああれ原作第一回にもあるんだけど。
「このアニメはソフト百合アニメですよ」というアナウンスはしなくていいというか、この素晴らしき無意味アニメをわざわざ有意味だと読ませる誘導は、あるべきではなかった。
ゆずこが唯に百合っぽい行動を向けることは結構あるのだが、やられる方の唯が内心承認してるような描写が事前に置かれているせいで、無意味行動ではなく百合表現行為だと解釈する蓋然性が上がっちゃう。
(この点を軌道修正しようとしたのか、同じようなことを「ふたりのときにいったら冗談っぽくなくてアレだな」とゆずこが自制するシーンがあったりもするが)

人は無意味を無意味のまま受け入れる強さを持たねば。無意味をナンセーンス!と糾弾するような思想は、ゲバ棒とヘルメットとともに六〇年代の彼方に去って久しいというのに。「世情」は懐メロになって、キヨシローさんはもういないのだ。


魔法科高校の劣等生

私のように若くない視聴者にはネタアニメとしか受け取りようがない内容ではあったのだが、これをネタでなく面白いという若い子と知り合ってしまっていたので、自分の中で笑い飛ばしていいのかどうか、混乱してしまった。

それで、なぜこれがネタになっちゃってるのかとその子に説明しようとしたものの、そんな話を喜んで聞いてもらえるわけもなく、そもそもいい説明が意外と出てこない。
説得力なく無敵すぎる能力、クールで動じない性格、その優秀さを周囲から賞賛されまくる、食ってかかれば無残なまでに叩き伏せられる。
この共感可能性の全くない最強主人公はネタだろ、といいたいところなのだが、まったく同じ造形の哭きの竜という偉大なる前例がある。
しかしお兄様はネタキャラで、哭きの竜はカッコいい。
なぜなのか。どこが違うのか。それを説明できずしてお兄様を笑ってはならんのではないか。
(哭きの竜もネタキャラだろうという説は存在しない。いいね?)

まあその、竜は最強である理由に「運」という神秘しか置かないけど、お兄様はあれこれ説明がつけられ、そして説明すれば説明するほど、それをなぜお兄様が身につけているのかがといった説明の説明が必要になり、結局どこかでしわ寄せが来てありえなくなるから、失笑を呼んでる感じはある。
いやでも待てよ、どこかで説明放棄するのはどんな作品だって同じか。うーん?
やっぱり、最強なら最強でいいけど、使い方の問題なのかな……?

で、途中まではこのくらいのことしか思ってなかった。
しかし最終回近く、横浜騒乱編に入った途端に、どうもこうも笑えなくなってきた。
ライトノベルの世界では簡単に人を殺してはいけないという業界ルールがあると聞いていたけど、急にじゃんじゃんやりだす。
「とある魔術の禁書目録」はあれだけインフレしても、直接的に殺人してしまうシーンは読んだ覚えがない。
 まあ電撃文庫の他作品で殺人シーンを見たことはあるから、絶対NGではないんだろうが、それにしても、いきなり発生した戦争状態に、高校生が、前々から笑いどころみたいに思ってた大層な魔法でもってざくざく人を殺す、というのは、さすがにやること雑に見えた。

さらに重ねるように、胸を撃ち抜かれたとか片足飛ばされたという致命傷・重傷が、お兄様の能力で元通りに修復される、というのがきて、さすがにこれはいい気がしない。
昔スーパーファミコンに「SM調教師瞳」という地下ゲームがあって、そのゲームはSMどころか、ヒロインの目玉をえぐるとかスナッフじみたことができた。でも、どんな傷でも一夜にして治せる医師がついてるから、翌日にはきれいな姿で戻ってくる。
どうにも同じ形のおぞましさを感じちゃって、さすがにこのあたりは私の倫理感覚に触れてるな。

こんな話やってくれなきゃよかったのになあ。笑って済んだのに。


RAIL WARS!

私は鉄道ファンとはいえない、どんなにいっても乗り鉄であって車両はさっぱりなので、これが鉄道ファン的に面白いものなのか判断できないのだけども、少なくとも鉄道ファンタジーであって、リアルな鉄道の面白さとか凄みを追ったものではなかろうと思う。
うのまことと聞いて爆乳エロアニメを期待したものの、そこは大したことなかった。
アクションにしても、岩泉が特に人間離れした超人だというほどの設定描写はなかったと思うんだけど、やったことは人間離れしてたから、見てて困惑する。
どんなときなら銃を使ってどんなときなら警棒に留めるのかとか、なんか曖昧に見えて、鉄道公安隊がどこまでやっていい存在なのかもピンとこない。特殊部隊アクションというには前提が頼りない。
事故じゃなく犯罪ネタもあるし、公安隊なんていうから刑事モノの変形と見ることもできようが、事故や犯罪の内容も杜撰なら解決方法も力技とかで、少なくとも理の勝ったミステリの一種に入れてもらえるとは思えない。

ただ、「コード切って時限爆弾処理」という、80年代のドラマみたいなことをやってたのは、さすがにわざとだろう。
すると、目指していたのは「あぶない刑事」的な、いい加減でおおらかで簡単に発砲する、テキトーで痛快な刑事アクションものなのかもしれず、だとすれば、杜撰とは言ったら負け。
しかしテキトーではあったけど、痛快だったかなあ……。その様式で暴走機関車を止めるような話やるなら、脱出した直後に大爆発したい。鉄道ファン的に爆破NGだろうけど。
もしかすると、鉄道と絡めたがゆえに爆破NGになって、ああいう落ち着きの悪いものになっちゃったんだろうか。

でもあれだな、「西部警察」みたいな雑でとにかく爆発するやつ、アニメでやれんかな。楽しいぞきっと。


さばげぶっ!

エアガン・サバゲー趣味って、下手な遊び方をすれば実際に危ない。だから今どきのサバゲープレイヤーは、弾の威力はいちいち確認するし、きっちりゴーグルなどの防具を装備しない人は参加させない。
過去に何度も、やたら高威力に改造できちゃうエアガンが出まわって、本当に改造して車や電車の窓を撃ち抜いた馬鹿者とかが出ちゃったりもしてるし、警察の方も警戒して、改造ベースになるエアガンを売ったメーカーを摘発したりしたこともあるし、その理由がかなり無理矢理だったこともある。
だから、まっとうなファンは、まっとうであることに厳しい。

水着でサバゲーやるようなアニメだった「ステラ女学院高等科C3部」に、エアガン・サバゲーファンが怒ったのは、そりゃそうだろうと思う。
まじめにサバゲーを扱ってるような顔をしながら、サバゲーファンがまっとうであろうとしている部分を雑に扱いすぎた。

そういう前例があった上に、「さばげぶっ!」がアニメ化と聞いて、こともあろうにそれをやるのか、と。
私は原作1巻は読んでたから、警戒というか心配というか、どうなることかと。だってあんな内容だぞ。

そして蓋を開ければ、放送開始直後からしつこいくらい玄田哲章が「これはネタだ本気にすんな」と繰り返しアナウンスする。
そうか、「ステラ女学院C3部」の教訓は生きていたのか、それにしてもやり方これかよ。なんという直接的な教訓か。他に生かしようはなかったのか。
ここに一番笑ってしまったし、こうも直球の予防線、結果的には十分有効だったような気もする。
(だからといって、「予防線引けば何やってもいいのか」とエアガンファン・サバゲーファンが怒ったとしたら、それはそれで理のある怒りではあるとは思うが)


僕らはみんな河合荘

なんというキモい草食系の願望丸出しなアニメであるか。でも、1話で切らずに最後まできたら、なんか中毒したみたいに気に入ってしまって。
最終的に、繰り返し再生した回数が、今年の作品では一番多かった。

まあ、草食系男子好みのぬるいラブコメみたいなの、結局のところ私は好きなのであろう。
きらら系を読みまくってるのはもちろん、他に好きな作品が多い雑誌がフラッパーだというのは、どう考えてもそうだ。


犬神さんと猫山さん」と5分アニメ

5分アニメというのは結構前から存在はするのだが、初めて観た「あいまいみー」が、あの内容をあのすさまじいハイテンポで、実質2分半くらいの中にぎっしり詰め込んだような代物だったから、目が回ってついていけず、脱落してしまった。
以後何度かチャレンジしているものの、うまくいかず。

今年の「犬神さんと猫山さん」は、ようやく最後まで楽しめた。
テンポは早いけど、みっちり早回しで詰め込む、というような感じがあんまりなくて、ちゃんとついていける。
内容的にも無内容で、刹那的にぽんぽんしょうもないことを発射するようなもんで、こういうのがいい。

でもって、「あいまいみー妄想カタストロフ」と「てーきゅうベストセレクション」に挑戦し、やっぱり目を回して墜落するばかりであった。
「旦那が何を言っているかわからない件」なら大丈夫。


最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが

規制される方が正しいと思えたのは珍しい。
まあ打ち切りじゃなくて深夜帯への移動という処置も、厳しすぎず適当なとこだろうなって感じで。

しかしチャンピオンREDいちごあたりにもよくいわれてたけど、わざわざ規制ギリギリをアタックするような真似を繰り返すと、規制を厳しくされる理由にされかねんし、褒められたことではない気もする。

中学生が喜ぶような半分エロアニメみたいなやつも、子供が親の目を盗んで見るあの楽しみを奪わないためにも、ひとつふたつあるべきだとも思うけどね。
今の若い子どうするんだろな。私らの頃ならビデオテープだから、こっそり「ギルガメッシュナイト」撮っても事後に残る証拠は録画内容だけだったけど、今のレコーダーは番組名もサムネイルも丸出しだぞ。いや、そもそもエロ番組あんまりやってない?


グラスリップ

「シムーン」「true tears」以来、西村純二監督のオリジナル作品となると前のめりになって観てしまうのだが。
しかしその2作に比べると、子供が大人になっていくようなわかりやすい話の中心がなくって、一周見ただけだと「これ一体なんの話だったのだ」と。
まあ、繰り返し見ればよほどしっかりした作品なんだろう、という信仰はあるのだけど、まだその時間を取るに至らず。多分私の見方が悪いのだろう。


selector infected/spread WIXOSS

岡田麿里かー、カードゲームなんか欠片の興味もないけどチェックしてみるかー、と思ったら。
岡田麿里がちょくちょくやる昼メロくさい大げさなノリで、毎回毎回ヒロインの誰かを不幸の底に蹴落とし、ちょっとだけ救われるかと思ったら、もっと酷い目にあわせて続きは来週!
なんでこんな、カードゲームの番宣アニメがこんな内容に。

そういえば、昔「とらドラ!」のスピンオフ短編とか読んでたら、どういうわけか登場人物の面々が送る不幸な将来の姿みたいな話がいくつかあった。
あれ読んでた時、「これはもしかして竹ゆゆセンセイ、登場人物に嫉妬して、貴様らのようなリア充に幸せな将来など与えてやらんぞ、みたいなノリでやってる?」などと妄想したものだった。
まあ200%妄想なのだが、一部女性作家にはそーゆー心情を持ちうる人があるのでは……とかselector見てても頭をよぎったのだが、これは今どきいったらセクハラになるのか。
逆に野村美月はそういうこと考えもしなさそう、という妄想があるが。


信長協奏曲」(ドラマ)

もうサブローが小栗旬だという時点で、信長協奏曲じゃなくて小栗旬のためのドラマになるんだろうということぐらいわかりきってたんだけど、その予想を悪い方にすら超えることなく終わりやがって。
予想をはるかに超える酷さなら、むしろそれを期待して、マンガやアニメの実写化なんていう失敗を約束されたようなものを喜んでみる理由なんだけど……

「信長協奏曲」に対しては、もう、悪い意味で面白がる要素も見いだせず、良い意味でなんか欠片もなく、最後までただただ、「今どきのしょうもない歴史ドラマがやるようなこと」だけを繰り返しただけ、としか私には見ることができなかった。
数奇者としては敗北。私の負け。


黒執事」(実写映画)

これは見た直後に書いたmixi日記を転載。
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噂の実写版黒執事を見に行ってきたよ。

まあ、セバスチャンさんが性格悪いように私も性格が悪いので、見えてる地雷を踏みに行く行為というか、酷い映画で原作ファンが阿鼻叫喚に陥ってたら面白いなあ、というような動機で見に行ったわけなのだが。
どうも先週末公開時点の反応を見ると、すごい勢いでバッシングが起こってるわけでもなく、なんかみんな煮え切らない感じの反応。何事だろう。

で、劇場に入ってみれば、公開後2度めの土曜日、午後12時20分という見頃の回なのに客席が2割も埋まっていない。
内容はともかくとして、興行収入は爆発してそうだ。


そして映画が流れて、セバスチャンさんが登場して「あくまで、執事ですから」の台詞を決めたところで笑い声が起こった。ちゃんと数寄者も来ているようだ。
しかし、私の目から見るとヒロ執事は瞬間的に笑えるような異様さではないように思えた。
例えば「ひぐらしのなく頃に」で実写版トミタケが現れた瞬間というのは、会場全体が笑いに包まれてこの上ない一体感を味わえたものだった。
あれに比べれば、別にヒロ執事は笑うようなものではない。マンガのコスプレになりすぎず、水嶋ヒロのままにもなりすぎず、落とし所としてはいいところと思う。
実際、笑ったのも一部だ。
あんなところで笑ってしまった一部は、笑う気で見てやろう、水嶋ヒロなんてイタいに違いないと決めつけて見に来ているレベルの低い数寄者であろう。

しかしヒロ執事がセバスチャンさんそのもの生き写し、というわけではもちろんない。
セバスチャンさんは何をやってもごく自然に説得力があるというか、セバスチャンさんカッコいい、セバスチャンさんだからしかたない、という存在だった。
しかしヒロ執事には、微妙に悪魔としての格が低そうだとか、なんかうさんくさいとか、カッコよく決めると微妙にうざいとか、なんとなくセバスチャンさんとズレたところはある。
黒執事を「セバスチャンさんカッコいい」で済ませても問題ないけれど、ヒロ執事をそれで済ますとどことなくギャグになってしまう。
その嗅覚が働けば、なかなか味わい深く見られる。

ストーリーは、原作をちょっとだけ踏まえて台詞なんか折り込みつつ、大体オリジナル展開。
まあ、真面目にツッコミを入れればいくらでも入れられそうだし、一応謎を追うミステリ風に見えて、実態は「これヒロ執事に『事件を解決しろ』と命令したら済むんちゃうの」というような内容、というかまあセバスチャンさんはそういうものだから仕方ない。
常に一歩先のシーンが読め続ける、伏線は伏線だと私ですら見抜けるようなわかりやすい話ではあるけれど、エンターテイメントはそれで良いように思う。私はむしろ難しい話でけむにまこうとするような下品な話は嫌いだ。太宰治もそういっている。

何かとゴリ押しで売り出されてるように見られる剛力彩芽も、まあ演技が上手いとは思わないけれど、今回に関しては問題があるとも思えなかった。

終わってみれば、傑作とかではないけど、素直に楽しめるよくできた映画、という感じだった。
やっぱりシエルはどこまでも剛力で名前すら違うし、セバスチャンさんは微妙にうざい感じに成り下がり、原作ファンが喜んで賛美するもんではなかろうけれども。

真っ先に突っ込んでいった原作ファンの皆さんの微妙な反応は、「原作に対する愛が感じられる作品には見えないからケチは付けたいのだけど、クソ映画だったら遠慮無くバッシングできるのに、バッシングするほど酷い映画ではないからケチがつけがたい」と、そういうことだったのだ。
実際、これをけなそうと思っても細かい揚げ足取りにならざるを得ず、ムキになって叩いたところで、まあネットでよくある衆愚の暴走みたいにならんことにはバッシングも盛り上がるまい。
それがわかると、そうやってぐぬぬしている原作ファンの皆さんの顔を想像して、ニヤニヤと悪い喜びは得られよう。私としては、十分楽しめた。

この映画で一番幸せになったのは、原作に関心のない剛力ファンと水嶋ヒロファンであろう。
原作ファンは喜びはしない、ただの映画としては悪くはないけど傑作とまではいかない、地雷を踏みに行った数寄者にも高い解釈レベルと性格の陰険さが求められた、興収悪そうでスタッフも不幸にと、決して大勢が幸せになった作品ではないのだけど。


まあ、見えてる地雷を踏みに行ってわざわざ爆発する楽しみは、再来週の僕は友達が少ない実写版の方に送ろう。

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というわけで、楽しい映画であった。


僕は友達が少ない」(実写映画)

これについては、過去記事参照のこと。
今年一番面白がった映画だったなあ……


2014年のゲームまとめ

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Xbox360が事実上終了。
Vitaも稼働率低し。
Androidタブレットでやっと今どきのゲームに参入するも、あまり1作品が長続きしない傾向。
久々にアーケードに少し回帰。
引き続き艦これ。


バレットガールズ(Vita)

今年購入した唯一のVitaタイトル。
TPSギャルゲーということは発売前から知ってた。
射撃で部位ダメージを与えて衣装が剥げる、というのも大体予想がついた。
ここまでだったらスルーしたのだが、剥いたおパンツとおブラを集めてしかもプレイヤーキャラに着せられる。なんたる低脳。
さらに尋問特訓モードの内容を知るに至って、心底アホであるとして発売日二日前に購入決定。
「ドリームクラブ」も愛してやまなかったけど、こういうD3パブリッシャーの下品さは大好き。

内容的には、別に優れてはいないけど不快でもない、ふつーのTPSシステム。
ポリゴンキャラのモデリングも慣れた感じで、あまり見苦しさは感じない。しかも60FPSだよね。

難易度は高くない。ただしこれはFPS/TPSをやり慣れてる感覚かもしれない。
ボリュームも抑えめ。早いと三日くらいで終わるらしい。
私はこういうアクションゲーム寄りのTPSってあまり得意じゃなくて、またスニーキングミッションが心底大嫌いだけど、なんとか耐えられた。

ただ、「こっちの得意武器がハンドガン、相手ボスの得物がスナイパーライフル」という局面でも、突っ込んでインファイト狙ったら間近からスナイパーライフルを百発百中で当ててきて負ける、なんていうCOMの動きの雑さはちょっと感じた。
手がとどくような距離で発砲してもほとんどダメージ通らない謎のショットガンと、大体全部こなせるアサルトライフルと、調整も頼りない感じ。アサルト苦手キャラでもアサルトで行くのが一番楽なことが多々。


何より楽しいのはアレだ、尋問特訓を人にやらせて反応を見る。
照れる人あり、熱心にやる人あり、初めてなのに妙に上手い人あり。


艦隊これくしょん(PC)

昨年夏から引き続き。
単なる習慣になってるのは確かなんだけど、それでも事々のイベントや改二実装で引き止められ続けた。

別にゲーム内容はさほど面白くもないというか、腕や技術で差がつくような内容とも言いがたいんだけど、その代わり、継続したプレイ期間は着実に蓄積され、見えない確率に反映され、戦闘での勝利につながっていく。
身も蓋もないのだけど、腕が問われるゲームって、腕がこれ以上伸びないとプレイヤーが思ったところで飽きるから、案外長期間ひとつの作品が遊ばれ続けにくい気がする。

それとまあ、やはりキャラゲーとして秀逸ではある。
引き合いに出して悪いけれど、「車なごコレクション」とか「ステーションメモリーズ」あたりの擬人化ものとは、まったく比べるべくもない。
かなり深くネタを掘り出せる軍艦というネタ元の選択も強いし、ちゃんと元ネタを踏まえてることがわかるキャラデザやセリフ、そしてイベントと、わかってることを知らせる機会も多く取ってある。
それに加えて、KADOKAWA力でメディア展開もこれだけ来ていれば、いつかゲームが終わってもキャラがコンテンツとして残るかもしれないね。アイマスみたいに、は高望みとしても、ストライクウィッチーズくらいには。

今年はまさかの古鷹改二突然の実装に歓喜していたけど、来年は海外艦としてマイティ・フッドとヴィットリオ・ヴェネトの登場に夢を見よう。


Ingress (Android)

もう2年もやってるそうで、そうすると艦これよりちょっと長いくらいなのだけど、私が知ったのは今年の夏くらい。
当時持ってた端末には対応してなくて、新しくMeMOPad HD7とモバイルルーターを買ってからプレイ。

で、ガラケー時代にも「ケータイ国盗り合戦」とかやってた口なので、位置ゲーは好きな方であるつもり。
Ingressも、一月くらい結構熱中してプレイした。

しかしまあ惜しむらくは、EnlightenedとResistanceの果てしない戦争が主題なもんで、さっき取ったポータルがちょっと経ったらすぐ取り返される、というのを延々と繰り返す無間地獄みたい。
あまりプレイヤー個人に蓄積されていく実績が重視されてなくて、あるのは経験値と、これまで訪問したポータル総数とか、枝葉のようなことばかり。 

私は元々街歩きが趣味だから、「どこかへ行きたい」が先にあって、そのついでに位置ゲーも遊べればいいな、といった順序で考える。同じ所に何度も行こうという気もあんまりない。
しかしIngressの場合、プレイングとしてどこに行くべきかを優先して行動しないと、あまり楽しむことがない。新しいところへ行くことのメリットが、せいぜい「Unique Portal」のパラメーターが1増えるだけで。
また、行ってポータルをHackして、敵ポータルだったら自分の立ち位置を調整しながらXMPを撃ち、陥落させたらこっちのResonatorを挿し直し、と、ちょっとやることが多い。
その場の雰囲気楽しんで、写真撮って、面白そうなもの探して、その上でIngressやるのはちと忙しすぎる。

そういうわけで、街歩きとの兼ね合いは意外と良くないと感じられ、一ヶ月位で止まってしまった。


逆に、元々出歩く趣味がないなら、Ingressのために歩きまわることに違和感がないだろうと思う。
出歩くのも楽しいものだし健康にもいいし、結構マイナー史跡や神社なんかもポータルになってたりして、行き慣れたような場所にも新しい発見がある。


ステーションメモリーズ (Android)

でもって、Ingressの代わりに始めた位置ゲーがこれ。

全国9000ちょっとの駅すべてがチェックポイントになって、到達記録がついていく。
駅はすべて所属路線と所属県が設定されているから、「地下鉄御堂筋線全駅制覇」とか、「30の鉄道路線にチェックインした」 とか、「和歌山県下の20%の駅にチェックインした」とか、そういう情報も記録されて、進行に応じて実績をゲットできる。
チェックインは、(GPSなどの位置情報が拾えていれば)乗車中でもOK。
なので、鉄道の全路線乗車を目指す「のりつぶし」と、鉄道の全駅下車を目指す「おりつぶし」の、中間くらいのことをやる感じ。


また、チェックインした駅には自分の所有する"でんこ"が接続を試みる。
もし他のでんこがすでに接続していたら、自分のでんこが攻撃して、倒せたら接続する。
逆に、自分のでんこが接続している駅が攻撃されて負けたら、接続を解除される。
でんこはひとりで複数の駅に接続できるが、接続している駅のどこかが攻撃されて解除されたら、すべての接続駅が解除される。
接続を多数・長時間・より乗降客の多い駅に行い続けるほど、解除された時点で多量の経験値が入る。
つまり、Ingress的な取り合い要素もある。

Ingressが大規模な集団戦なのに対して、駅メモはかなり個人的で、実績を積んでいくタイプの内容。
多分だけれど、日本人的にはこういうののほうが合うんじゃないかな。
私はもうしばらく、飽きるまで続けるつもり。


ちょっとアプリの出来がイマイチというか、何につけてもタップに対する反応が遅いので鬱陶しい。
ボタン類のレスポンスがとにかく酷くて、タップしてから反応するまで2秒くらい掛かるとか、ボタンが押されるアニメが出てるのに実際は押されてないとか。遅くて不確実で、確認に役立つ効果音もない。
またポップアップウィンドウ類も、閉じたいときはウィンドウ枠内をタップするのか、枠外をタップするのか一貫してないみたいだし、ウィンドウ内の一部に何の説明もなくタップで詳細表示される部位があったり。

あとはゲームシステムとしても、最寄り駅にチェックインするより前に、その駅を誰のどんなでんこが守ってるか知るすべがない。
攻撃力の高いでんこで殴りかかれば一撃で落とせるけど、占領後には防御力が薄い。
逆に占領後を考えて防御力の高いでんこで殴りかかっても、誰かが守ってたら落とせない。
これじゃ、際立って攻撃力が高いか、際立って防御力が高いか、どっちかのでんこしか出しようがない感じが。

GPSの精度とか掴みやすさに関しては、もう端末側の問題だろうと思うんだけど、MeMOPad HD7のなんか弱い感じのGPSだと、電車の車内からマトモに拾うのも難しい感じ。事前に拾ってる状態で乗ればかなり違うけど。
また、駅メモ単体ではGPSを常時掴んでおこうとはしないらしいので、「My Tracks」などのGPSロガーで別途GPSを握らせ続けておくと安定する。

ところで、艦これにおいてチュートリアルの初回建造で引いたのが艦隊のアイドル那珂ちゃんだったのだけど、駅メモでもチュートリアルの初回プレミアムガチャで引いたのが、鉄路のアイドルりんごちゃんだった。運命か。


魔法使いと黒猫のウィズ (Android)

現在のところ、比較的続いているAndroidゲーム。
クイズゲームだからゲームやってる気になれるし、課金必須な感じにも見えないし。
ただ、ワンプレイが少々長くなり、スタミナ切れまでやると小一時間くらい掛かってそう。やや手軽さに欠けるか。
QMAみたいに多種多様なクイズのバリエーションがあるわけでもなく、ほとんど四択だけ。
ゲーム的には、ほとんど常識で答えられるような簡単な問題を選んでいくから、半ば作業的でもある。
ここに飽きがくるまではなんとか。

もう今さら単なるガチャゲーには熱中できないとは思うんだけど、あのタイプは、頭をつかう余地なくただただ単純作業であるからこそ、案外飽きない気がする。最初から飽きてるから惰性だけが続くというか。
クイズでも何でも、ゲーム性があると、飽きると惰性では続きにくく、カットアウトされちゃう。

カード集め系の割には、カードが単なる攻撃力・防御力と特殊攻撃を備えたコマ以上のものとは感じられず、こっちでの広がりは見えないな。
絵はきれいなのだが、ちょっともったいない使い方してる。


アイドルマスターシンデレラガールズ (Android)

一応やめてはいないよ。アカウント生きてる。
Vitaでできりゃいいのにとか、MeMOPad HD7だとやけに重くてやりづらいとか、薫の新カードがあったけど例によって入手難ではないから、それだけは確保しておこうとか。


車なごコレクション (Android)

うーん、「実在の車の名前で擬人化」というのに興味はひかれてみたものの。

車なご、って、 ほとんど絵が1枚あるだけ以上の活かされ方をしてないなあ。
ゲーム中であんまりセリフとかなくって、「こんなこというのはあの車だからかー」とか思うシーンも少ない。艦これなんて、こういうゲームとしては相当セリフが多いのが、比較するとよくわかる。

車なごのデザインに実車ネタが反映されてる、というのは、きっとあるんだろうと思うんだけども、私程度の知識レベルじゃあんまりわからないな。

内容も、別にゲーム性があるというほどとも思えないスゴロクを繰り返すだけ。
沖縄から全国津々浦々を走るという設定っぽいのに、申し訳程度にご当地アイテムが出るだけで、ほとんどネタを生かせていないように見えるな。

いろいろもったいない上に、アプリがバグだらけでサービスイン直後からコケてしまって。
なんというか、予算があんまりない上に、どっかからせっつかれてテスト不足で強行リリースしちゃってる感あり。
今後の挽回はあるか……?


ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル (Android)

アニメ2期がレコーダーの番組表で「ラブライブ!」としか書いてなくて、「なんだ今頃遅れて放送する局があるのか」と思い込んでスルーしちゃった私は、ちょっとラブライブには縁が薄いのかもしれないと思ってたりするのだけど。
それでも1期は見ていたにもかかわらず、実はキャラの名前すらちゃんと覚えてない状態からのスタート。

なんだかんだいっても出来のいいゲームで、実際やって楽しかった。
アイマスでも思うけれど、最近のこっち業界の楽曲は上等になったなあ。90年代なんて、MIDI音源一台だけだろっていううっすい音の、別にメロディもよくもなく、歌詞もかわいこぶったつもりで無残な出来、みたいなもんが横行してたもんだが。

でまあ、楽しくはあったのだけど、私も初代beatmania以来長らく音ゲーをやっていて、あまりうまくなれない自分の能力も思い知っていて。
スクフェスも、日替わり曲のEXPERT譜面を見て、「なんじゃこりゃ努力する気もしねえ」と思っちゃって、新曲をアンロックするにつれてHARDですらフルコンボが苦しくなるにつれて、もうそろそろ天井かなっと。確か「これからのSomeday」までいってたかな。
今後はまあ、気が向いた時に思い出した程度にプレイするだけになるか。

Android版は結構プレイする機種を選ぶらしくて、動きが悪いとかタップを取りこぼすとか問題続発らしいのだけど、MeMOPad HD7は割と安定して遊べた。


グルーヴコースター (Arcade)

90年代、音ゲーブーム華やかなりし時代に、beatmaniaに「沙羅曼蛇」とか「グラディウス」とかのリミックスg曲が収録されるのを見ながら、「ああこれがTAITO ZUNTATAの曲でやれたら」といつも思っていたもので。
かつてアーケードゲーム華やかなりし頃は、みんなそれぞれ、矩形波倶楽部だゲーマデリックだALPH LYRAだと贔屓のサウンドチームもあったかと思うのだが、私はなんといってもZUNTATA。
中でも、「RAYFORCE」のあの中二病的に耽美なBGMを出してくるTAMAYOが大好きでね。

でも、あれだけ名高いサウンドチームを抱えているTAITOは、ずーっと音ゲーに参入しなかった。
データイーストでさえやってたというのに。滑ったけど。
21世紀に入って、メーカー間が対立より協力を選ぶことが増えるにつれ、「太鼓の達人」に「DUDDY MULK」が収録されたりとか、そういうことはちらほら出てきた。
そしてついにタイトーがリリースした「ミュージックガンガン!」はちょっとこれイマイチだなと思いつつ、改めてリリースしたのが「グルーヴコースター」であった。

そして喜び勇んでプレイしてみれば。
「Geometric City」。やったぜ定番中の定番。
「KIKIKAIKAI」。渋い。
「Invader Girl!」。やっぱりそこ来るよな。
「CERAMIC HEART」。やってみたらあんま好きなアレンジじゃなかったけど元は名曲だな。
「Captain NEO」。ほうナムコの人にアレンジさせるのか。面白い。
「VISIONNERZ」。ザ・定番をリミックスじゃなくオリジナルか。
「Hello 31337」。ダラバーやってないけど小倉さん。
「Good-bye my earth」。ダラバーやってないけどZUNTATA NIGHTで何度も聞いたな。
そして「DUDDY MULK」。

いや、まだまだ足りない曲は多い。
「Penetrations」とか「OLGA BLEEZE」とか「URBAN TRAIL」とか「Born to be free」とか、そんなド定番の他にも「G」とか「CARRY AWAY!」とか「SHININ' QUEEN」とか「DUAL MOON」とか、いくらでも入れて欲しい曲はある。
いっそのこと、1クレジット1曲になっていいからノンストップで「RAYCRISIS」をやらしてくれたら最高だ、とまで妄想していた。


しかしながら、よくプレイされる曲のランキングに、往年のZUNTATAがランクインするところを見たことがない。
そのせいか、ZUNTATAレゲーミュージックは、今年の頭ぐらい、つまり私がプレイし始めた頃に追加されたのを最後、一年間まるっきし増えなかった。確か「KIKIKAIKAI」あたりが最後か。
往年のゲーム・ミュージックということであれば、「ファンタジーゾーン」とか「リッジレーサー」とか入ったりはしたんだけど、私そのへん知らないんだよな……。
意外なところで「てくてくビート」の曲はどれも面白くて、さすがにナムコのサウンドチームもやるなあ、と思ったりはしたけれど。

私はボカロなんてほとんど聞いたこともないし、J-Popったって世代がかすりもしないし、あんまりプレイする曲が無い。
また、グルーヴコースターって、システム的に「譜面を見てリズムを判断する」ということが不可能に近いので、知ってる曲でないとマトモにプレイできない。
知らん曲やってもひたすら不愉快に感じるばかりだから、知らない曲をここで覚えて開拓しようっていう気にもなりにくい。
サントラ買って聞いて、一部オリジナル曲、「グルーヴ・リボルバー」とかその辺はプレイしたけど。

そんなわけで1年近く、ほとんどやりたい曲が増えることなく、客として無視されてる気分になっちゃってる今日このごろだ。
タイトーのゲームでZUNTATAファンがほったらかされるのに不満いうのは、そう不当とも思えないのだけど、でもまあ商売にならん層なんだろうな……
年末に、唐突に入ってきたニンジャスレイヤーシリーズで少し気持ちが繋がった。


ま、知ってる曲をやる分には、シンプルな操作性でやってて気持ちがいい。

最近の鍵盤の多いbeatmania II DXなんかだと、もう譜面がどっさり降ってきて、自分の押したキーがどの音として発せられてるのかさっぱりわからず、演奏感がなくなってるけど、グルーヴコースターだとそれがはっきりしてる。
まあ、ルールが単純すぎて、高難度譜面になるほど気持ちの悪い手の動きを強要される、ただイヤなだけの譜面になりがちな感はあるけれど。最近の☆8以上は相当きつい……

SOURSとフェットチーネグミのジン漬け

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さて、前回の記事の続き。

hariboグミをウィスキーに漬け込むと美味い、という噂を実行したら、ほんとに美味かった。
しかし、hariboは少し入手性に難があるので(よく見たらファミリーマートで売ってたけど)、何か国産のグミで代用できないか、と思った。
そこで、すぐ手に入ったところのハード系国産グミである、SOURS・ミックスジュース味(ノーベル製菓)フェットチーネグミ・イタリアンレモンライム味(ブルボン)を、ドイツジン(シュタインヘーガー・シュリヒテ)に漬け込んでみた。

漬けてすぐ風邪で寝込んで、約一週間ほど酒のんでもまったく美味くない状態が続いていたのだが、ようやく回復してきて、漬物を取り出してみた。





で、仕上がりはというと。
hariboでやると、元々ほぼ不透明で固いグミが、きれいな透明のぷるぷるしたソフトグミになる、という見た目のインパクトがあったのだが、こいつらはそれほどでもない。透明にはならなかった。

SOURSとフェットチーネを区別しづらいが、手前の不規則にちぎれているのがフェットチーネ、奥のきれいな直方体を保っているのがSOURS。

まずSOURSの方はというと、やや酒の吸い具合がよくないようだ。
hariboだと四日でほぼ完全に吸いきっていたようだが、SOURSは一週間でもなお奥まで吸いきれないようで、芯が残るような仕上がり。
しかしながら、グミっぽい食感を残しつつそれなりに酒を吸ってもいる、と思えば、結構悪くない。元のSOURSの味もかなり残るので、強い酒が苦手でも食べやすいかも。

一方、フェットチーネの方は逆に、吸い過ぎるくらい酒を吸う。
写真ではあまりわからないが、見た目もかなり透明度が上がっている。hariboほどきれいな透明にならないのは、表面につけられている酸味パウダーが溶けつつも表面に残っているせいだと思う。
元々あれだけ固いグミなのに、自重で千切れるくらいやわらかくなっている。
食べるとやはり、かなり蒸留酒の強いあたりがある。アルコール感がガツンとくるので、普段からウィスキーをロックでやるような人でないと、苦手に感じるかも。
フェットチーネグミはレモン味で、これはそのまま食べるとかなり酸っぱいのだが、酸味はかなり飛んでしまっていた。ジンに甘酸っぱさが足されるくらいの味。

どっちもそれなりに面白い食べ物になっていたけど、一応今回は、SOURSが良かったように思えた。
フェットチーネで一週間は漬けすぎっぽい。もっと浅漬でよかった。


今回は使った酒がジンだったのだけど、ジンは元々かなり薬臭いものなので、甘いグミキャンディーと合わせるのはあまり良くなかったかも。ちょっと、ジン特有の苦いような辛いような味がくる感じがあった。
ハリボーで使ったハイニッカのような甘いウィスキーか、あるいはラム酒あたりがいいかなあ……

水間鉄道沿線 (EXILIM EX-S100)

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前々から探していた、カシオEXILIM EX-S100がやっとこ手に入った。
駅メモで水間鉄道を埋めてないので、沿線をぶらぶら歩きつつ駅にチェックインしていこうと。

EX-S100、スペックシートなどではさっぱり見えてこないのだけど、実はものすごい力の入れどころの偏った、変態といっていいようなカメラなのである。




南海貝塚駅を下りて、水間鉄道乗り口へ。
レトロな発券機があるけど、これでもPiTaPaカードに対応した。


だが乗らずに、駅東口に出ちゃう。すると観光案内所が。

知名度が欠片ほどもないのだが、貝塚市には「つげさん」というゆるキャラがいる。
貝塚市は、あまり知られてないけど柘植の櫛が特産品で、それにちなんだキャラである。
で、観光案内所の中でその柘植の櫛を売っていた。初めて売ってるの見たよ……。意外と値段は高くないので、土産物にはいいかも。

ところで、貝塚市の貝塚駅近くの地名は海塚という。
そしてカイヅカと読ませると思わせてウミヅカ。
両国国技館近くの地名が横町、というほどではないが、なかなかトリッキー地名といっていいと思う。

観光地図をいただいて、線路沿いをどんどん南東へ歩いて行く。
あまり道端にいろいろあるところではないが。


貝塚市役所前駅。バス停のようなネーミングだが。
ここから南へちょっと行くと市役所があり、そのへんに郷土資料室があるようなことを書いていたのだが、土曜日に市役所開いてないだろうとスルー。
しかし、後から見れば土日もやってる図書館内の一室だったようで、行けば開いてたな。

貝塚駅からたった800mでこの駅があるが、かつて、貝塚駅より200m水間側に海塚駅があった。
たった0.2kmの貝塚-海塚間の駅間距離は、路面電車でない鉄道としては最短クラス。現在の最短も0.2kmらしいので。

今は違うらしいけど、日本一運賃の割高な鉄道は水間線だという話も昔よく聞いたのだが、これはどうなんだろう。
路線の端から端まで対しての運賃だったのか、それとも貝塚-海塚の運賃だったのか。



近義の里駅。
貝塚市役所前から近義の里の駅間も、たった0.4km。
もっとも、0.4km駅間は他にも、清児-名越間、森-三ツ松間、三ツ松-三ケ山口間、三ケ山口-水間観音間と、水間線だけで5箇所もある。


あれ……? 運転手が見えないぞ……?
これは後ろじゃないはずだが……。
(よく見ると居ます)


この水間鉄道1000型は、元は東急7000系の中古を譲り受けたものだった。2006年から改装して水鉄1000型と改めている。
譲り受けた直後に乗ったら、つり革に入ってる広告がシアター・コクーンのままだったりして驚愕したよ。
いや、関東のことは私にはわからんのだが、シアター・コクーンは中島みゆきが夜会をやるところだから、名前くらいはわかる。


歩いてて見かけたんだけど、こんなマスク、市販してるんだろうか。
それともPTAの人にこういうの作る人がいたりしたんだろうか。やるなお父さん。



ここまで、画像を間違ってPNGで上げてたけど、次からJPEGにする。
石才駅近くで、なぜか干上がった農業用ため池があった。和泉国の、特に南の方は昔から少雨で、農業用の溜池がそこらじゅうにある。
この近くに町会館が建てられていたが、この溜池の一部を売り払い、その金で町会館を建てた、という旨の石碑が立っていた。


石才(いしざい)駅。しかし「いっさい」と呼ばれることも多い。
一応、このあたりの幹線道路のひとつである、府道30号線沿いにある。まあ幹線つっても2車線だけど。
府道30号線は、なぜか土地の人には「13号線」と呼ばれている謎がある。ThirteenとThirtyを間違えるのは日本人ならよくあると思うが、日本語で間違えるのは不思議だ。


石才駅近くに、自動車教習所あり。
大型二輪免許取得を目論んでいるので、ちょっと料金などの案内を受けてきた。

いやねー、中型二輪取った教習所、事務方の職員の態度が恐ろしく悪くてねー……。大型取るのは別のところだな、って。
教官や営業さんはみんなまともだったから、ことさら悪評流そうとはしないけれど……。 おっと脱線にも程が。


清児駅。
かなり古い集落のど真ん中に駅が置かれたようで、車が通るのも難しいような細く曲がった路地に民家が密集するところにあった。青い柵の通路が伸びてるのも、多分設置の都合なんだろうなあ。
町や集落を線路が通ることを嫌って、やたら離れたところに駅があるケースもよくあるけど、これはあまりにもど真ん中すぎたのかも。

しかしこれだけ密集しているのに、ここから線路を分岐して犬鳴山で和泉山脈を越えて和歌山に延伸する計画があった。やれんのか。


名越(なごせ)駅。
ちょっと遠くがボケてるのだけど、EX-S100はシャッターボタンを一気押しすると、ピントを合わせずパンフォーカス撮影してくれる仕様。多分それのせい。

この駅、地図で見るといかにも南側に出入口がありそうなのだけど、南側の道路は駅を間近に臨む行き止まり。
入り口は東の、線路と道路が交差するところにある。そして例によって長く延びる通路。



こっちが若干ピントが甘い感じなのは、多分テレ端だと甘くなるんだと思う。
ひろちゃん、と書かれたヘッドマークをつけているが、今は水鉄がオリジナルヘッドマーク掲示を受け付けてくれるので、それだろう。


清児駅出入口があるところの道を、南へ道なりに歩いて行くと、森稲荷神社というところがあった。

元々はここから東の山の頂にあった、「木島谷の総社」と呼ばれていた神社だそう。
具体的にどの山かまではわからないが、確かに東側は山地だ。
というか西側も山地で、水間鉄道に沿って谷になってるようだから、この辺りが元々は木島谷なんだろう。
中盛彬の「架利素米農比登理棋止(かりそめのひとりごと)」という江戸時代後期の本に、「天正の時代には近所だけでなく摂河泉から大勢の参詣者があった」という記述がある。

中盛彬は、ナカモリ・アキラではなくてナカ・モリシゲというひとで、現在の熊取町にあたる熊取谷の庄屋で、泉州地域の地誌として「かりそめのひとりごと」を書いた。一種の知識人。
先月行った熊取町の中家住宅が、中盛彬の家。


 境内にある不動堂。不動堂については以下を参照。


EX-S100には、ベストショットセレクターの中に、ホワイトボードモードというのがある。
これを使うと、ホワイトボードやあるいは看板などのようなものを撮影するとき、斜めから撮影して台形に歪んでしまうのを補正して、正面から撮ったように修正してくれる。

ホワイトボードの縁をエッジ検出してエリアを拾い、それを台形補正する感じ。
エッジ検出がなかなか万全とはいえず、上手く拾えないことも多かった。複数検出した場合は、補正を行う前に手動選択できるのだが、関係ないところばっか複数拾うことも多々。
それから、レンズの歪曲収差が大きくて、広角端だとかなり樽型歪みがあるので、きれいに補正しきれないというのもあるが、まあ仕方ないか。


森駅。


三ツ松駅。


三ケ山口駅。ミケヤマグチとミカヤマグチと、読みが錯綜している。私もどっちかわからん。
水鉄はあまり駅の造りも変化がないな……


さて、三ヶ山口駅からちょい北へ行くと、貝塚の誇る天文台・善兵衛ランドがある。


大阪府にある望遠鏡としては最大級の60cm。
しかも、常時一般開放されており、週に三日は夜までやっている。
善兵衛ランドは、大学や研究施設が関与しない、純然たる一般人向けの施設で、入場も無料。
竹下がばらまいたふるさと創生資金の1億円を活用して、自己資金を追加して建てたもの。

今日はもう年の暮れということもあり、昼13時頃だが客は私が最初だったそう。
ひまだったこともあってか、わざわざ天文台を開けて太陽の黒点観察をさせてくれたり、「善兵衛ランド」というネーミングの由来である岩橋善兵衛についての展示にも詳しい解説を付けてもらえた。

岩橋善兵衛は、江戸時代中期の1756年生まれ、貝塚市の海手にあった魚屋の次男だが、学究肌の人だった。
次男なので家を継げないから、メガネ用のレンズを磨く職人になった。
それでレンズを色々自作できるため、西洋で作られているものを参考にしつつ、屈折望遠鏡を作り上げた。
これが舶来品に劣らぬ性能を持つと評判になり、かなり多数製造された上、諸大名に献上されたりもしたし、このために岸和田藩の岡部氏から苗字帯刀を許されたりもした。
 
その中の一つが今では国宝になっているのだが、それは伊能忠敬が日本地図を作るときに使用したもの。
伊能忠敬があれだけ正確な地図を作るにあたって、天体観測による測量を行っていたので、高性能な望遠鏡が欠かせなかった。

本人も天体観測を行っていて、他の天体と異なる動きをする惑星の存在に気付いて、それを自作の望遠鏡で眺めて、土星に輪があることや木星に縞模様があることまで発見して、本に書き残している。
また、惑星の軌道を詳しく記録し、天動説を発見する、とまではいかなかったが、「水星・金星が太陽の周りをまわり、月と火星・木星・土星は地球の周りを回っている」というところまで考えだしている。
ティコ・ブラーエの修正天動説と同レベルのところまでたどり着いたことになる。
(まあ、ベンジャミン・フランクリンが1752年にアメリカで行った実験が、すぐ近くの熊取谷で1820年代くらいに追試されていることを考えると、岩橋善兵衛も1600年頃のティコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーの学説を多少なりとも知っていたかもしれないけれど)

ともあれ、およそ優秀な人材を輩出しない泉州という土地では非常に珍しい、優れたエンジニアにして学者である人物だった。
貝塚市でだけは知られている人物だったのだが、時代が進むにつれて知らない人も増えてきてしまったため、それを顕彰する意味もこめて、公共天文台としてこの善兵衛ランドを作った。
今でも無料で公開しているのも、貝塚市の意気だとのこと。余裕ある自治体じゃないはずだけど。
竹下の一億円、くだらなく空費したところも結構あったもんだけど、貝塚市はまったくよく使ったもんだと思う。


ところで善兵衛ランドで知った、すぐドヤ顔できる豆知識。
よく織田信長が、献上された望遠鏡を覗いているシーンがマンガやドラマで描かれてるけれど、ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を作って空を見たのが1609年だから、本能寺の変よりずいぶん後。


善兵衛ランド屋上から玄関先を見ると、何か書いてある。
手前に立っている街灯が日時計になっており、先端の丸い影が落ちる位置の季節による違いを明示してある。
一番近い線が夏至、一番遠い線が冬至で、かなり太陽の高度が違うのがわかりやすい。


善兵衛ランドを満喫して、水間観音駅へ。


静態保存の水間鉄道501型電車だ。
Wikipediaに載ってる写真とはまったく塗装が違うが、塗り替えたようだ。


えらいデザインの水間観音駅。
わりと最近まで水間駅だったもんで、未だに違和感あるな。


駐輪場のトタン屋根がちょっと邪魔で寂しいね。
ちなみに中は物置状態になっていた。惜しい。
 

東急から譲られた7000系が、1000型に改修されずに残っているのもある。
2007年までは走っていたそうだけど、今後使うのかな……

これで今日のウォーキングは終了。


EX-S100は、というと。


後に、1000万画素以上で世界最小という座を一時期だけ得ていた(Nikon Coolpix S01が出て陥落)、コダックeasyshare miniとくらべても、高さ・幅とも半周り大きい程度。
最近の水準で「小さめ」といわれるであろう、PENTAX Optio RS1000とくらべても、高さが同じで幅が少し小さい。
そしてどちらと比べても、厚さは薄い。
これが2004年のものなんだから、かなり驚異的サイズだろうと思われる。特に、ズームレンズ搭載でこの薄さはすごい。

しかしこの驚異的サイズにズームレンズを押し込むために、かなり失ったものは大きい。
換算36-102mmの2.8倍ズームで、F4.0-6.6と、めちゃくちゃ暗い。
36mmF4.0で、しかも基本感度がISO50なもんだから、昼間の日陰くらいでも油断するとブレる。室内にくると、ISO200までオート増感されても1/8秒と出てしまう。

操作性はさすがの優秀さで、十字キー左右に好きな機能を割り当てられるのだけど、最初は露出補正を割り当てた。
しかしあまりの低照度への弱さのせいで、露出補正を諦めてISO感度に変えた。ISO400でも足りないことが多いくらい。

センサーも、1/3.2型300万画素CCDと目いっぱい小さい。だからダイナミックレンジが狭くて、かなり白飛び・黒つぶれが厳しい。
だから露出補正を積極的に行いたいが、感度も変えまくらないと撮ってられない面もあるから、十字キー左右をどっちにするか悩ましい。
基本感度がISO50と低いのも、オート感度だと、たとえ暗闇であろうがなんだろうがISO200までしか上げないのも、小さいセンサーのノイズの多さを嫌っているんだと思う。

バッテリーは、これまでの単焦点EXILIMカードと同じNP-20だから、サイズも容量も小さい。
サイズの割には頑張る感じで、73枚撮影しても電池残量はフル表示のままではあるけども、今回はフラッシュはまったく使っていない。
この暗いレンズでは、フラッシュを使わざるを得ないケースも多くなる。
そしてレンズが暗ければ暗いほど、フラッシュは強力なものが必要になる。
強力だと電池が減る。

そしてレンズの描写も、やっぱりかなり辛い。
広角端は、かなり酷い歪曲収差と、四隅のボケや色分離がある。
望遠側は、全体的にもやがかかったような甘い描写。

この薄く小さいカメラを実現するために、ものすごいしわ寄せが来てる感じ。
光学部ばかりは、小さければ小さいほど辛くなるからなあ……。

 しかしそれでも、カシオはこれだけの小型化のために、ずいぶん力を入れている。

このために、村田製作所が開発した透過性セラミックス「ルミセラ」を使ったレンズを設計している。
なんでもこのレンズ、以前PENTAXと共同開発した、収納時にレンズ群の一部を横に逃して薄型化する、という仕組みは使っていなくて、まっすぐ収納しているそうだ。
それでボディ厚み16.7mm。驚異的だ。
この後のEXILIMシリーズに、S100と同じスペックのレンズを持った機種は見当たらないから、本当にこの機種だけのために設計されたレンズだろう。まあ、他の機種で使うほどじゃないとされた結果論かもだが。

この小ささに2型の、当時としてはかなりの大型モニターを搭載。
起動も、操作レスポンスも俊敏。
電池が小さい以上はあまりハイパワーなCPUは積めないはずで、実際撮影後の処理時間なんかはある程度長いから、パワーありそうには見えない。おそらく、細かい最適化とか作りこみでよくしてる。
撮影後の処理にやや時間がかかっても、その間に例えば電源OFF操作をしても、ちゃんと処理終了後に実行する。処理中に行われた操作をただ無視するような作りはしていない。

薄いから使いづらい、という部分が、光学系以外にはほとんどない。
唯一、電源ボタンがちょっと小さすぎて押しにくいだけ。
外装もしっかりしていて、フルメタルなのはもちろん、金属の表面処理がなかなか高級感がある。
一応カード系EXILIMのフラッグシップとして作られただけあって、このへんは確か。

ま、レンズのスペック的にかなり撮影上の問題があって、実用性はちと厳しい。
数ミリ薄いなんてことは、実用上の大差にはならんのだから、厚さ16.7mmのEX-S100よりも、25mmくらいの他のカメラのほうが使いやすい。
でも、特殊レンズを設計してまでやった結果がこれだというなら、よくぞ物理法則とそこまで戦ったといってやるしかないじゃないか。
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