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SUZUKI KATANAはどこまで刀か

 バイク乗りなら一度は憧れ、スズキ乗りなら一生心奪われ続ける、SUZUKI KATANAというバイクはあまりにも有名だ。

 あれは排気量のバリエーションがいくつもある。
 元々GSX1100Sという、1100ccの大型バイクとして世に出た。
 だけどその当時、日本では750cc以上のバイクを販売しない自主規制があったので、750ccのGSX750Sも出た。
 海外向けだけだが、GSX1000Sもある。
 さらに、日本の中型免許にあわせた、250ccのGSX250SSと、400ccのGSX400Sも出た。

 もっといえば、GS650Gという、いわゆる「カタナ」といって思い浮かぶあのデザインとは違う、もうちょっと普通のバイクの格好をしたやつもある。デザイナーは同じで、これもKATANAというペットネームで売られていた。
 これも排気量の異なる、GSX400E、GSX250E、さらに125ccのGS125Eが存在する。

 また、ヨーロッパ向けの50ccスクーターにも、KATANAの名前が付けられたものがある。


 で、カタナには排気量によるカーストが存在し、小排気量のカタナについて、例の悪質バイク漫画「ばくおん!」にかかればここまでボロクソにいわれる。なんてひどい。

 こんなに酷い言い方をしないまでも、小排気量カタナを「包丁」とか「脇差し」とあざ笑うのはよくある。カタナ未満じゃないか、という。
 750ccカタナでさえ、時代や人によっては小刀扱いだったとかで、カタナカーストの恐ろしさがかいま見える。
 ただでさえ他社ライダーから変態呼ばわりされて笑われるスズキなのに、その上でスズキ内で嘲り合うなんて……



 ところで日本刀は、長さによって刀・脇差・短刀に分かれる。
 Wikipediaの「日本刀」の「打刀」段落によれば、刃長60cm以上が刀、30~60cmが脇差し、30cm以下が短刀。
 脇差の中でも、1尺8寸(54cm)~2尺(60cm)くらいなら大脇差、1尺3寸(39cm)~1尺8寸なら中脇差、1尺3寸以下なら小脇差、とも。
 あ、細かい計算めんどいんで、1尺=30cm・1寸=3cmでここでは扱うので。

 小排気量カタナを脇差とか短刀とか呼ぶのであれば、ちゃんと計算して定義したい。


 GSX1000Sは、一応GSX1100Sよりは小排気量だけど、レースのホモロゲーションモデルでもあり、まさかこれが小刀とかいわれるとは思えないので、排気量1000ccを刀の基準である60cm(2尺)としよう。
 これから、排気量によって刃長を出してみる。

  • GSX1000S - 60cm - 2尺の刀
  • GSX1100S - 66cm - 2尺2寸の刀
  • GSX750S - 45cm - 1尺5寸の中脇差
  • GS650G - 39cm - 1尺3寸の中脇差
  • GSX400S - 24cm - 8寸の短刀
  • GSX250SS - 15cm - 5寸の短刀(?)
  • GS125E - 8cm - 2寸6分ほどの短刀(?)
  • KATANA 50 - 3cm - 1寸の短刀(?)
 となるので、ナナハンカタナとGSX650Eは脇差、400は短刀と呼ぶのが適切。

 250ccの15cmカタナは、果たして短刀と呼べるかすら微妙なところ……といいたいところだけど、銃刀法では刃渡り15cm以上の刀を「刀剣類」に含める。一応刀といえば刀か。
 とはいえ、刃長15cmの短刀、というのはおそらく、日本刀としては短すぎてあまり作られないと思う。
 ポピュラーな15cmほどのの刃物ったら、小さめの包丁だろう。
 GSX250SSカタナを包丁呼ばわりするのは理にかなうが、肥後守呼ばわりはバカにしすぎ。

 8cmの刃物というと、もちろん肥後守でもいいが、オルファカッターナイフの小さい刃のやつが8cmとのこと。
 GS125Eカタナならカッターナイフ(小)が妥当か。
 ちなみにオルファの大型刃カッターナイフは18cmあるので、GSX250SSカタナより大きい。

 3cmの刃物となると、なんかあるだろうか。
 爪切り、とか思ってたんだけど、爪切りで3cmは大きすぎるか。
 まあ、さすがにKATANA 50を日本で見かけることはあまりないと思うので、見かけた時は3cmの刃物を考えて嘲るよりも、珍しいもんを見かけたと喜ぶのが正しいと思う。わざわざそんなの乗ってるとは本当に重症だなあと。



 ちなみに有名な刀剣でいえば、短刀であれば前田藤四郎が8寸1分ほど、小夜左文字が8寸5厘らしいので、このへんがGSX400Sカタナに近い。

 名のある脇差には、1尺9寸ちょっとあるような刀すれすれの大脇差が多いみたいなので、骨喰藤四郎とか、土方歳三の堀川国広とか、にっかり青江とかそのへんは、GSX1000Sカタナに近くなるようだ。
 また歌仙兼定も、1尺9寸9分5厘で同じく近い。

 鯰尾藤四郎は1尺2寸8分とあるので、GSX650Eカタナに近い。
 GSX750Sはあのゲームには適したものがないので、こっちもまあ鯰尾藤四郎を当てるのがベターだろうか。

 2尺2寸だと割とオーソドックスな長さだから、GSX1100Sカタナに近い刀は多いだろう。
 宗三左文字が2尺2寸1分、龍馬の陸奥守吉行は2尺2寸、燭台切光忠が2尺2寸3厘、大倶利伽羅宏光が2尺2寸2分5厘、といったところ。

 これらのカタナに乗って思うままに操ってみたいという向きは、大型二輪免許(前田藤四郎や小夜左文字なら中型でOK)を取得の上、全国のバイク屋やネットオークションなどを探し回ろう。
 どれも絶版車だから中古しか買えないし、中古車の流通数は減ることはあっても増えないし、減るほど状態は悪くなり価格は上がる。さあ急いで。

 なお、以上の刀の長さに関しては、「名刀幻想辞典」を参考にさせていただいたものが多々。しかしそれ以外の検索結果を見たものもあり、転記ミスなどを含めて、間違いがあれば私のせい。
 また、「刃長」と「刃渡り」その他の長さを示す用語をちゃんと区別してないので、その辺間違ってても私のせいではあるけど直す気ないわよ。

(バイクの写真と刀剣男子のカードを並べて一枚の画像にしたら、Twitterなんかで拡散しやすかろうと思うのだけど、バイクの写真を自力で集める能力が私にないからやらない)


2014年のデジモノまとめ

今年はあまり買い物しまくるような年ではなかったけれど。


ASUS MeMO Pad HD7 (ME173X)

購入直後のレポートは過去の記事へ。

その後モバイルルーターを購入して、外でもどんどん使うようになった。
しかしながら、やっぱり私は外では本を読むほうが好きで、それほどネットであれこれ見まくったりもしないまま。
歩きまわる時に「My Tracks」でルートを記録したり、「ステーションメモリーズ」で遊んだりといった、位置情報関係のアプリを楽しむくらいかな。
見るとしても、「SmartNews」で見出しをざっと見たり、twitterをチェックしたりする程度。

FlashかHTML5かわからないけど、アイドルマスターシンデレラガールズがやけに重い。
比較対象がなかったから、アプリ側が元々重いのかと思ってたら、Xperia Arcと比較しても負けるくらい遅いことが判明。ちょっと何か異様な感じ。
しばしばFlash(?)部の表示乱れも起こすので、何かグラフィックチップかCPUが合わないとかかな。

位置ゲーを始めてから気付いたけれど、少々GPSは頼りない感じが。
つかむまでに相当時間がかかることも多い。駅ビル付きの駅でGPSが切れて、そのまま20キロ先の終点につくまで切れたままなんてこともザラ。
「GPS Status」で補強して、「My Tracks」を常時GPSを掴もうとし続けさせるために起動しておく、くらいのことをしておけば、わりとスムーズに利用できるかな。
確か、SONY Tablet Pはもうちょっとつかむのが早かった気がするんだけど……



rise products co., ltd.というところのケースを購入したが、これはなかなかいい。
それなりに重みはあるし、厚みが2倍になっちゃうけれど、その分なかなか防御力高そうなしっかり感がある。落として壊すことを心配していた私には、これくらいがよかった。
手触りなんかもそこそこ気持ち良いもので、安かったのに頑張ってるなあ。
ちゃんとカバー開いてスリープ復帰するのも嬉しい。
これで、すぐにどこか縫製が解けるとか、破れてくるとかがなければ万々歳。

ただ、スリープ復帰用磁石がコンパスの邪魔をすることがあるらしいことと(仕方ないか)、SONY Readerといっしょにかばんに入れてると、こっちも磁石に反応してスリープ解除されてたりすることがある(仕方ないか)。

NCXX NI-760S (モバイルルーター)

前の記事から特に印象の変化はなし。
安かったのに、額面通りの仕事をきっちりこなす優秀デバイス。

これはもちろんNI-760Sのせいではないけど、接続するデバイスはすべてWiFi接続だと思ってるわけで、「アップデートはWiFi接続時のみダウンロードする」というような設定は効かない。

多摩電子工業 リチウムチャージャー1000 AL09S(II)

わずか1000mAhのモバイルバッテリー。
NI-760Sにぴったりくる。コードなしにコネクター直付で紛失のしようもないし、出力は500mAでも足りるはずだし、なにより売値が300円だったから失敗してもぜんぜん。翌日同じ店で180円になってたけどな。
これで700mAhほどNI-760Sの容量を上積みできれば、2時間は伸びる。うん。

team SDHC 16GB class 10 TG016G0SD28K

12月に、Q10にSDカード入れ忘れて、難波で一番安いのを買った。
しかし円安のせいか、なんだかSDカードが全般にちょっと高くなってる気がする。これは旧モデルの売れ残りっぽい、円高の内に仕入れたっぽいから780円だったんだけど、他のはブランド問わず高い感じで。

別にこれ自体に何の期待も与えていないが、何故かLavie ZのUHS-1対応カードリーダーで読ませたら、Readが87.0MB/sも出る。
これはもしかして、雑な製造してるからClass 10もUHS-1も何もラベルしか違わないのか、拾い物だなー、とか思ったら、Writeが10.3MB/s。ナニコラタココラ。

Panasonic QE-QL202

以前の記事で、「やっぱりモバイルバッテリーは品質の良い物がいい」なんて書いておいて、自分が使っているのはまさに安物だったのだが、先日1880円で見かけたので購入。
前の安物も5800mAh、QE-QL202も5800mAh。
ME173Xをフルチャージできる程度の電力量はあったし、2口あるからモバイルルーターも充電できる。合計最大1.5Aは今どきにはやや小さいが、まあまあ。
 
付属のケーブルが、本体の体積を25%増しにしちゃうような、やけにでかいコネクターになってる。
一見馬鹿げているようでも、これならかばんの中で少々横からの力が加わったりしても、ダメージになりにくい。
ぱっと見では、2口あるコネクターのひとつを潰してしまいそうに見えるが、ちゃんと潰さずに使える。しかも、追加した側のケーブル付け根もガードしてくれる。
これはかばんに放り込んでおくにあたっては、かなり好ましい。こういう配慮はやっぱり日本のメーカーだなあ。
(もっとも、これをPC→QE-QL202の充電用ケーブルとして使うには、PCのUSBまわりがゆったりした機種でないとダメで、かなり多くの場合で使えない気はするが)

PHILIPS 224E5QHSB/11

PC用の21.5型フルHD液晶モニター。

前からブルーレイDIGAに、古い19型ワイド液晶モニター Acer X193Wをつないでいたのだが、これは古いPC用なので、アスペクト比が16:10だった。
それを、HDMI出力からDVIに変換して入力するなんてことやってたもんで、1440x900のパネルに720x480を、若干縦長になりながら出力するという物哀しい写りになっていた。

で、16:9で、できればHDMIが2つ、さもなくばHDMIとDVIで2系統の入力があり、幅が50cmまで(つまり枠が薄い21.5型が上限、できれば19型)、という条件で探していたが、なかなか難しい。
特に、19型以下はもうビジネスユース中心な感じで、入力がもう、下手すりゃアナログ1系統とかで。

21型なら多少広がるが、HDMIがふたつあるのは飯山かPHILIPSくらいのようだった。
で、入力さえあればパネルの質は問わないつもりだったけど、PHILIPSのこれを見れば、なんかフルHDでAH-IPSだという。1366x768のTNパネルとか出てくると思ったのに。
これで税込み2万円足らずという値段。通販なんかだと15000円くらいまであるらしい。
TNで想定してた価格でAH-IPSだったから、即決しちゃった。
さらに、HDMIケーブル、MHL-HDMIケーブル、VGAケーブルと全部ついてくる。

HDMI2系統を活かして、片方はDIGAから、もう片方はLavie ZことVersaPro UltraLite VGのHDMIから入力してデュアルモニター化した。
これで作業域が広く取れる、のはいいのだが、元々かなり青っぽいVersaProの液晶と、黄色っぽい224Eの色味がすごく違う。
IPS液晶は普通に作ると画面が黄色っぽくなるというけど、それかな。

スピーカーは内蔵しないが、HDMIを出力するステレオミニジャックがある。PC用ならこれで十分。
 ともあれ、地デジもちゃんとフルHDになったし、セカンダリモニターとしては広々してるし、まあ上等。
スタンドの接地面が大きな円盤で、無駄にフットプリント大きいのがちょっとだけ減点。Acer X193WはV字型で最小限な感じだった。


BUFFALO BRXL-PC6VU-C

USBの外付けBD-Rドライブ。
間違ってUSB2.0のものを買っちゃって、いささか速度は遅いが、自分のミス。TurboUSBには対応しないモデル。

中身のドライブはTSST SN-506BBだった。
メディアが悪いと焼き品質が悪くなるドライブらしいけど、まあ、とりあえずスペック通りに仕事してるからいいや。


Panasonic ブルーレイDIGA DMR-BRT230

2014年にしてようやく地デジ化した我がテレビ環境。
録画できればなんでもよい、ダブルチューナーも大容量HDDもいらない、と大雑把な考えで購入。

でまあ、ちゃんと録画するし、1クールごとにBD-Rに逃せばHDDも足りるし、と、仕事をしてはいるのだけど。
とにかくユーザーインターフェースがひどすぎる。一体何考えて作ったらこうなるのかさっぱりわからない。

番組表を出す。
右上にプレビューウィンドウが出てるのはいいけど、ここは直前に表示していたチャンネルが映るだけで、番組表上で選択しているチャンネルに追従したりしない。何かのキーで表示できるかもしれないが、表示もないしわからない。
番組表で見たい番組名を見つけて、そのチャンネルを写したいと思っても、即選局できない。できるかもしれないが表示もないしわからない(表示がないからわからんことは以後省略)。
番組を選択して詳細情報を表示させてから、「今すぐ見る」を選択すればチャンネルが変わるが、なぜその無駄なワンステップを省略させないかわからない。

HDDからBD-Rにダビングしたい。
まとめ番組単位で一括選択すればいい場合はいいのだけど、大河ドラマみたいにBD-R DLでも入りきらないようなものは、詳細ダビングでやることになる。
これがまた、まとめ内で「ここからここまで」とかできず、ひとつひとつ何十回と選択していかなきゃならない。しかもたった20件ぐらいで、目に見えるほど処理が遅くなる。
大河ドラマの最後の10話だけダビングして、残りは他の番組を入れたい、となると、詳細ダビングモードではまとめ番組をすべて一括選択できず、こちらもひとつひとつやらなきゃならない。

HDDから外付けHDDにムーブしたい。
これはつつがなくできたと思ったら、移動先でまとめ番組が分解されている。

CMカットなんかやろうものなら心底ひどい。
リモコンの決定ボタンと、再生・一時停止・早送り・巻き戻しなどをひっきりなしに往復させることになるが、その中間にあるスタートボタンとか簡単スタートボタンとか、違うボタンを押してしまったが最後、まったく確認なくすべての編集を破棄してスタート画面に移行する。
なんでこんなこと確認しないのか。「戻る」を誤って押した時には確認が出るのに。

およそ何をやってる時でも、「スタートボタンを押すと、作業内容をすべて確認なく破棄してメニューに移行」という頭の悪い動作をする。そしてスタートボタンが押し間違えやすい位置にある。十字キー上のすぐ上、再生・一時停止のすぐ下。
スタート以外にも、押した瞬間に無確認で機能を移行してしまうボタンが多数あって、地雷だらけみたいなリモコンになっている。

今回は、Panasonicに個人的な縁があったのでDIGAを選んだのだけど、まさかこんな酷いインターフェースと思わず。
初心者向けとも思えず、何かと表示が足りず、わかりやすくもなく、試作中にちょっと自分で使ってみればわかるだろうというような馬鹿げたダメさが多い。

私史・20世紀末の私とPC-98

 どうせこの記事を公開する頃には流行は過ぎてると思うのだけど、Twitterで「#インターネット老人会」というタグが流行っていた。
 元々そういうイベントがあったらしいけど、Twitterに広まってからは、PC昔話あるあるタグになっちゃってるようだ。
 見てると、インターネットどころか80年代まで遡るような話してるガチ老人もちらほら……

 これはちょっと便乗するべきか。
 インターネット……より、もうちょっと古いPCハード、PC-98ネタで。

 例によって、私が喋りたいことを書き散らすので、読みやすさとかあまり配慮されないし、長いのでご了承を。
 割と間違いもあると思いますが、私がそう思うならそうなんだろう、私の中ではな。

 他の昔話は、2000年前後のPCゲームブームに関して、前の記事があるのでそちらで。
 それから、唐突に「GALAXIAN3」について書いた記事もあるよ。



●NEC PC-9801シリーズ

 大体80年代後半から97年くらいまでにかけて、日本で「パソコン」といったら、大体NECのPC-9801/9821が出てきた。
 富士通FM-TOWNSとSHARP X68000を併せて3大国産パソコンとかいってたんだけど、シェアでいくと確か8割かそれ以上がPC-98だったんだっけ。
 それからEPSONは、PC-98互換機をリリースしていた。

 私は、1985年モデルのPC-9801VM2、90年モデルのPC-9801DX2、95年モデルのPC-9821Xa7/C4と、大体5年おきに親が買い替えていたのを使っていた。(どれも型落ちで安くなってから買ったりで、時期は後ろにずれるけど)

 ただまあ、「PC-98を使っていた」ということは、極めてコモンな出来事なもんで、それ自体にスペシャルな記憶はないのよね。みんなそうだったから。
 私はもう、ほぼPC-98時代が終了した2000年まで、PC-9821Xa7/C4を強化して使い続けていたから、その頃はむしろ「98を使うこと自体が面白い」状態だったけれど。


●NEC V30

私が初めて触ったパソコン・PC-9801VM2に搭載されていたCPUは、NEC V30-10MHzだった。
 V30というのは、Intelのi8086の高速互換品としてNECが開発したCPUで、85年頃のNEC PC-9801シリーズの主力CPUとして、またその後の機種でも後方互換性維持のためにサブCPUとして広く使われた。

 V30は、Intel 8086とピン互換になっていて、8086を載せたPCにそのまま入れ替えて差し込めば動いて、高速化できたとか。まあ私はやったことないけど。
 80年代くらいは日本の半導体産業がかなりすごかったので、NECがIntelの上位互換品を自社開発とか、今では考えられないようなことがあったのね。Intelが今ほどモンスター企業ではなかったのもあるけど。


 「互換性のためのサブCPU」とは何か、というと。
 今は、WindowsなりAndroidなりのOSが提供する機能にしたがってプログラムを書くから、そのOSが走るPCならハードの互換性は基本的に気にしなくていい。OSが動いているならハードも互換しているはず。
 だけど、80年代のプログラミングは、CPUをダイレクトに叩いたりメモリを直接書き換えたりとかするから、ハードが変わると動かない場合がよくあった。
 一番単純な話としては、アクションゲームなんかで、CPUが高速化されたらゲーム自体の動作が速くなって遊べない、なんてことがあってね。
 そういうわけで、互換性のためにCPUをもうひとつ載せる、初期ロットのPS3みたいなことをやっていた。


●PC-9801VM2とVX2

PC-9801VM2は、当時としては結構人気のあった機種だった。
 VM2と、次のPC-9801VX2あたりが人気で、個人で買う人も多かったし、私が通っていた小学校の職員室にもあった。

 しかしこの2モデル、どちらを選ぶかでその後のPCライフに大きな差がついた。
 発売は85年と86年というたった一年差のVM2とVX2の間に、機能上の分水嶺があったの。

 性能はただ上がっていくだけのものだから、足りなくても動作が遅いことさえ我慢すればいいだけのこと。
 しかし機能は、ないならそれはできない。イメージスキャナーのないパソコンで、紙原稿のスキャンはできない。
 機能の追加をする手段がないなら、その機能を求められてもどうしようもなくなる。


 で、VX2にあってVM2にない機能があった。

 VM2のCPUはV30だから、機能的には8086世代。
 VX2のCPUは80286だから、機能的にかなり拡張されている。
 例えば、CPUが直接取り扱えるメモリー量が、8086やV30だと1MBだけだったのが、80286だと16MBに広がっている。
 とはいってもまあ、そういった80286の拡張機能はあまり利用されず、大して問題にはなりにくいけれど。MS-DOS Ver.5.0以降を使う場合に、コンベンショナルメモリーの確保をやりやすくなる程度か。

 しかし、CPU業界のその後の展開が、V30と80286に将来性の差をつけてしまった。

 当時、PC本体が何十万円もする高価なもので、簡単に買い換えられるものではなかったことから、「CPUだけ新しいものにして強化する」という需要が大きかった。
 そのためCPUメーカーも、80386とピン互換で、でも中身は80486、というようなCPUを作った。
 IBMがIntelにライセンスを受けて作っていた、IBM486DLCとか。
 さらに、ソケット変換ゲタやドライバーソフトウェアなどを組み合わせることで、IBM486DLCのようなCPUを80286搭載PCに載せる、CPUアクセラレーターという商品が現れた。

 そんなわけで、80286搭載PCであれば、486世代のCPUにまで拡張できた。
 PC-9801VX2なら、そんなCPUアクセラレーターが対応した。
 こういうのを使えば、Windows 3.1などの、80386や486がないと動作しないようなアプリケーションも動作させられたそうだ。

 ところがVM2だと、さすがに基本設計が古すぎるせいか、そこまで世代を飛び越えるアクセラレーターはなかった。



 また、VX2ではグラフィック機能の強化が行われていた。

 もともとのPC-9801は、メモリーの一部がグラフィック表示用に予約されていて、CPUに命令してそのメモリーに直接値を書き込んだらその内容がグラフィックとして表示される、という素朴なグラフィック機能だった。
 最初は、640x400の解像度に、1ピクセルあたり3bitの色を表示できた。各bitが赤・青・緑に割り当てられていて、黒・赤・青・緑・紫・水色・黄色・白の8色を表示できた。

 それが、VM2になって拡張され、1ピクセルあたり4ビットの16色になった。
 かつ、各色に対してRGBそれぞれ16段階の強さを指定できるようになり、4096色中16色を選んで同時に表示させることができるようになった。
 これだけでも画期的な拡張で、この「4096色中16色表示」を要求するから、PC-9801VM2以降でなければ動作しない、というアプリケーションは、ゲームを中心に数多くあった。

(ただ実際は、VM2は標準では1ピクセル3bitのままで、4bitにするにはVRAM拡張カードを追加する必要があった。うちのは追加されてなかったので、ゲームなんかではしばしば動かないとか色化けするとかトラブルが……)

 しかしPC-9801VX2では、さらに「EGC」というグラフィックアクセラレーターがついた。
 直接メモリーに値を書き込むだけじゃなくて、EGCを利用することでより高速なグラフィック処理ができた。
 ゲームなどではEGCを利用しているケースも多く、PC-9801VX2以降を動作条件とするゲームが出た。

 EGCはその後のPC-9801シリーズには搭載されていて、それ以上の拡張は長らく行われなかった。PC-9821シリーズが始まってやっと次の拡張がある。
 また、VM2以前の機種にEGCを追加する拡張ボードなんてものは出なかった。
 EGCを使うゲームは、VM2ではどうやっても動かせなかった。


 そんなわけで、もし親父が買ったのがPC-9801VM2ではなくVX2だったら、次にPC-9801DX2に買い換える必要はなかっただろう。
 でもそんなこと、買った時点でわかるべくもなかっただろうな。
 親父、VM2は新品で買ってるんだ。ボーナス勝手に使い込んで、軽自動車変えるような金額をキャッシュでぶっこんでパソコンにしちゃって。壮絶な夫婦ゲンカが起こったぞ。



●V30と16MBのメモリーボード

うちでは、父親がなぜか入手してきた、16MBという当時としては目玉が飛び出るような異様な大容量メモリーボードを増設してあった。バブル怖いな。なんぼするものだよ。

 この頃のメモリーは、SIMMとかDIMMのような専用スロットじゃなくて、Cバスと呼ばれる汎用拡張スロットに差し込んだ。
 PC/AT互換機だったら、ISAバスにメモリーを増設してるような感じか。
 当時としては普通のこと。

 しかし16MBは本当におかしな大容量で、今の感覚で16GBメモリー積んでる、というよりもっと異様だと思う。
 だって、ストレージが1.2MBの2HDフロッピーディスクなのに、メモリーが10倍以上ある。その論でいけば、2TBのHDD積んでるPCに24TBのメモリーがあるみたいな。


 そんな大量のメモリーどうするんだ、というと。
 元々V30は1MBまでしかメモリーを扱えないし、OSのMS-DOSだってやっぱり1MBしか扱えない。今みたいに、増設したら増設しただけ勝手にOSが利用してくれる、なんて便利なもんじゃない。
 よって、メモリーボードメーカーのドライバーによって、メモリーを利用する。

 メモリーボードはメルコのEMJ-16Mというもので、ドライバーソフトもついてきた。
 それで利用できるのは、ディスクキャッシュ、RAMディスク、プリンターバッファー。他にもあったかもだけど忘れた。

 1.2MBのフロッピードライブ2台なので、2.4MB以上ディスクキャッシュがあっても仕方ない。
 プリンターバッファーといっても、バッファリングする元データがフロッピー1枚より大きいはずもない。
 となると、10MB以上の巨大RAMディスクをつくるしかない。


 フロッピーディスクは、1.2MBをひと通り読み込むまでに1分くらいはかかったと記憶しているので、まあ、当時としても快適なものではなかった。
 ゲームソフト起動すると、コツコツコツコツと音を立てて読み込む。何十秒も待たされる。

 なので、私が常用してたシステムフロッピーは、起動したらまず10MBのRAMディスクを作り、常用するアプリケーションをRAMディスクにコピーする。
 最初のコピーの待ち時間はかかるけど、以後はディスクアクセス速度を全く意識しなくていい快適な環境が。
 まあ、リセットしたら泡と消えるドライブだから、うっかり作成したデータをフロッピーに書き戻せずにハングアップしたりすると、もう全部パァだけど。

 まー、持て余してたなあ。使いようがないよ。
 普通メモリーは足りなくて困るものだったのに、うちじゃ余りすぎてどうにもならないっていう……


●PC-9801DX2

で、PC-9801VM2もいい加減古くなった93年ごろ。

 当時の最新モデルは、テレビCMもバンバン打っていた人気モデルの、「98メイト」ことPC-9821Apだった。
 CPUはIntel 486DX2-66MHz、グラフィックも640x480 256色表示に拡張され、Windowsへの対応を見据えた高級機だった。

 とはいえ、そんな高価なもの買えないので、2世代前のモデルの一番下のグレード、PC-9801DX2を中古で買ってきた。親が。

 PC-9801DX2は、80286 12MHzを搭載している。
 先述の通り、80286モデルだったら、CPUアクセラレーターで486くらいまで強化できる。
 最新モデルには敵わないまでも、そこそこのとこまでいける。


 買ってきてすぐにIBM486DLC3に換装されて、標準搭載の80286はポイされたわけだけど、この80286、見ればIntel製じゃなくてAMD製だった。
 後に独自の設計でIntel互換CPUを作っていくAMDだけど、当時はIntelからライセンスを受けて80286と同じものを生産したりしてたのね。


 親父が前に買ったVM2は、いわばハズレクジみたいな機種だったけど、DX2は当時のプアマンズチョイスとしてはなかなかベターだったように思う。
 性能は、CPUアクセラレーターで割安に補えた。

 また、DX2という機種は、PC-9801シリーズで搭載されていた機能を、すべて網羅したような機種だった。
 HDDの内蔵もできた(40MB)。
 FM音源を搭載して、ゲームでちゃんと音楽が流れる機種でもあった。音源は省略されている機種が多くて、最新モデルであっても、廉価機の「98フェロー」ことPC-9801BXには搭載されていなかった。
 Windowsの時代に乗れる機種じゃなかったけど、MS-DOSに割り切るならば、特に快適に使える機種のひとつだった。

 まー、主にゲーム機として優秀だった、って感はあるけれど。


●PC-9821Xa7/C4と延命

これは確か96年にうちに来たんだったか。
 95年の前半、Windows 95発売のほんとに直前にリリースされた、MS-DOS 6.2 + Windows 3.1搭載PCだった。
 OSの変わり目直前の機種って、安く買えるからね。
 それに元々、性能はPentium世代、機能は削れるだけ削って、値段はお安く、というようなモデルだったから、購入価格は10万円しなかった。
 機能が削られているのは、これまで使ってきた拡張ボードを使えば補えるから、以前からの98ユーザーには手頃な機種だった。

 97年あたりのインターネット黎明期には、このPC-9821Xa7に外付けの28800bpsモデムをつなぎ、Windows 3.1にTrumpet Winsockという接続ソフトウェアを入れて接続した。
 これが私とインターネットの初めての邂逅だったな。


PC-9821シリーズも、CPUが486の世代のものを買っていたら、少しハズレ感があった。
 時代的に過渡期のもので、Windows 95についていくのが精一杯。アップグレードできる範囲もあまり大きくなかった。

 しかし、Xa7になるともうPentium世代。
 Pentiumも、最初期モデル(66MHzと60MHz)はバグがあったり、発熱が大きかったりして苦しかったけれど、Xa7のは扱いやすい次の世代で、75MHz。

 NEC独自規格のPC-9821とはいえ、Pentium世代になってからは、かなり世界標準のアーキテクチャに近くなった。
 CPUも、汎用のSocket 5やSocket 7がついて、そこに載せられていた。
 グラフィックも、2MBのVRAMを備えた、Trident TGUi9680というWindows用グラフィックチップが載せられた。
 486時代は拡張スロットも独自規格だったけれど、Pentium世代では普通のPCIスロットがついた。(これまでのCバスという16bit拡張バスも残っていたが、486世代にできた32bit拡張バスは廃止してPCIに移行)
 HDDやCD-ROMドライブなども、今までSCSIやSASIといった規格のものを使っていたのが、一般的なIDE接続のものになった。
 メモリーも、普通の72pin SIMMで増設できる。
 そういった周辺機器を制御しているチップセットからして、PC/AT互換機と同じ、Intel 430FXとかVLSI Wildcatとかそういうものを使っていたし。

 そういう中身であるからして、パーツを盛り込んでいけばどんどんパワーアップできる。
 だから、Windows 3.1世代末期のモデルが、ずっと後まで戦えた。


○CPU

まずCPUは、K6-2/IIIやCyrix MIIなどを使えるようにするアクセラレーターが出ていた。
 こういうのを使えば、Pentium 75MHzが、K6-III 500MHzとか、そんなところまで強化できちゃった。
 しかし、ソケット変換ゲタを使うアクセラレーターはちと高校生には高価。
 古めのモデルでも、ゲタだけ再利用されて使われたりするから、中古もあまり出なかったし安くもなかった。

 そこに救世主的に現れたのが、IDTのWinChip C6というCPUだった。
 ソケットは、Xa7/C4のSocket 5にそのまま入る。発熱も低いので、Pentiumと同じものをそのままつければ十分。
 また、MMX-PentiumとかK6-2は、発熱を減らすためにCPUへの供給電圧を2.2~2.8Vくらいに下げていたから、それをゲタで変換してやらなきゃならなかったけど、WinChipはPentiumと同じ3.3V。
 MMX命令が追加され、MMX-Pentiumと同等の機能に拡張されているのに、互換性は非常に高く、他のCPUよりもトラブルは起きにくかった。K6などはBIOSが対応しなくちゃいけなくて、PC-98なんかだとBIOS対応は無理だから、ゲタやドライバーで対処していた。
 また、CPUのクロック倍率設定も、Pentiumで1.5倍の設定をすれば、4倍と解釈する。ベース50MHz・倍率1.5倍の75MHzで駆動していたPentium機にそのままつければ、200MHzで動く。
 PC-9821Xa7/C4では、ベースクロックも倍率も自分で設定できたから関係ないけど、変更できないPCのアップグレードパスにもなった。
 つまりは、手軽なCPUアクセラレーターとして使われるべく設計されたCPUだった。

 とはいえ、まあ、K6-2ほど強烈に速いわけではない。
 クロックは200MHz前後。K6-2なんかもう400MHz超えてたと思うし、Pentium 2もあった。
 実際の速度も、200MHzでまあ、100MHzのPentiumよりは速いのはわかるけど、という程度。
 特に浮動小数点演算が遅い。まあ、当時のPCで使用感に直結するのは整数演算だったから、Intel以外のCPUはどれも整数演算偏重の設計ではあったけれど、それにしても遅かった。


 そんなマイナーで狙いがニッチすぎるCPUだけど、なんと後継モデルWinChip 2が出た。

 私はこれも購入したけど、これがガラっと良くなっていた。
 今までの浮動小数点演算が遅すぎるのが大幅に改善され、特に遅くなくなった。これじゃ100MHzのPentiumと大差ないな、と思うようなシーンがなくなった。

 また大きかったのが、AMD 3DNow!命令に対応したこと。
 当時ポピュラーだったMP3エンコーダー「午後のこ~だ」を使って、3DNow!有効でエンコードすると、再生速度の4倍くらいのスピードで変換できた。確かPentium 100MHzやWinChip C6 200MHzだとせいぜい1倍くらいだった。
 私がその頃にやっていた一番重い処理がMP3エンコードだったから、この速さは感動的なものがあった。(K6-2使えばもっと速いというのはおいといて)

 このWinChip 2は、私がPC-9821Xa7/C4を手放すまで使った。良いCPUだった。

 ちなみにWinChipという商品はここで終る(マイナーチェンジ版WinChip 2 Rev.Aが出ただけ)が、その後このコアはVIAに買収される。
 VIAには同じく買収された旧CyrixのCPU開発チームがあり、Pentium 3互換CPUとしてCyrix IIIを開発していたのだが、これがコケる。
 その結果、WinChipチームが開発していたWinChip 4のコアが、Cyrix IIIという商品名で売りだされることになる。
 さらにC3と名前を変えて、遅いものの低消費電力などを売りに組み込みや超小型PCに浸透していく。
 その次のC7も、Nanoも、かつてのWinChipを作っていたCentaur Technologyによる。


○グラフィックカード

PC-9821Xa7/C4には、標準でTrindent TGUi9680というグラフィックチップが、2MBのメモリーとともに搭載されていた。
 しかしこれは、当時としても速い方ではなかった。
 確か、ビジネス用途中心の設計で、256色モードだとそこそこ速かったらしいんだけど、我々ホビーユースやインターネット利用だと、16bitカラー(65536色)は使いたい。けど、それだと遅い。
 遅いってもちろん、3Dグラフィックとかじゃなくて、Windowsの普段の画面描写のレスポンスが悪いの。

 Xa7/C4は、PC-9821とはいえPCIスロットがあるので、いくつかのPCI用グラフィックカードが利用できた。
 まあ、グラフィックカードのビデオBIOSがPC-9821対応でないとダメだから、なんでもとはいかなかったが、I-O DATAやMelcoといったサードパーティが頑張ってくれていた。
 けど、実のところ互換性の大きな部分がMS-DOSなどの古い表示のところで、Windows 2000だけで使うならかなり動くものが多かったとか……


 それで、初めて買ってみたのは、I-O DATAのGA-PG3D2/98PCIという、S3 ViRGEを搭載したグラフィックカードだった。
 けどまあ、これは体感できるほど性能差出なかったな。ベンチマークは速くなったけど。

 S3社は、486時代以前には高性能なグラフィックチップを開発・販売していたメーカーで、PC-9821でも高級機には、S3のVision 864を使っていたりした。
 しかし、Pentium時代に未来予測を間違って普及価格帯路線に舵を切って大失敗、主役の座をMatroxやnVIDIA、ATiに奪われていく。
 その逸走第一弾が、ViRGEだった。
 安くってそこそこの性能で、まあ、数は売れていたのだけど、「安かろう悪かろう」の代表みたいなイメージになっちゃった。


 次に、Matrox Millenniumを手に入れた。

 これは1995年当時のハイエンドグラフィックカードで、その後なかなか破られないレベルで、Windowsの画面描写処理が速かった。
 また、画質が良かったのもポイントだった。
 当時は今みたいに液晶にデジタル接続ではなくて、ブラウン管モニターにアナログ接続だったから、アナログ信号の品質が悪いと、画面がにじんだりピンぼけ気味になったりした。
 画質が良いのは、回路設計の良さの証明でもある。

 これはPC-9821に標準搭載されたモデルがあったせいか、普通にPC-9821で使える。
 オンボードのグラフィックとは完全に体感レベルの速度差があって、画質の良さもあって非常に快適になる。

 しかしそんな良い物も、惜しいことにDirect Xが存在しない時代の製品だったから、Direct Xを使うとアクセラレーションがまったく効かない、という機能不足があった。全部CPU処理になってめちゃくちゃ遅い。
 新しいゲームが一切遊べないわけで、95年のハイエンドも、案外早く時代錯誤なものになっちゃっていた。だから安く買えたんだけど。


 最後に買ったのは、MelcoのWGP-FX8Nという、3dfx Voodoo Banshee搭載カード。
 PC-9821対応のグラフィックカードの中で、普段のWindowsの描画も、DirectXによる2D描写も、3D処理も最も速いと定評があったのが、Voodoo Bansheeだった。
 PC/AT互換機の方でも評判がいいグラフィックチップで、nVIDIA Riva TNTやMatrox G200、ATi RAGE128あたりと互角にやりあった。2Dでも3Dでも良好な性能を見せる。

 とはいえ、ボードの回路設計の質なども良いI-O DATA製のGA-VDB16/PCIに比べると、こっちのMelco製は一枚落ちる扱い。
 90年代後半のI-O DATAってすごく力の入ったメーカーで、GA-VDB16/PCIは元々ギリギリまでオーバークロックされていて、基板の回路設計も上質で高画質、ドライバーまで独自にチューンしてある、なんてことをやるメーカーだった。


 WinChip2 200MHzとWGP-FX8Nの組み合わせは、94年の廉価PCに、90年代後半をなんとか戦い抜ける性能を与えてくれた。
 当時、「重い」とか「不安定で止まる」とかいわれていた、リーフの「こみっくパーティー」も、うちでは十分快適に遊べていた。
 当時流行っていたRTSの「Command & Conquerer」とか「Age of Empires」だって、遜色なく遊べた。
 同人格闘ゲーム「The Queen of Heart 99」だって、ちょっと激しいエフェクトでもたつく程度。

 これだけ性能があれば、この時期のホビーユースを十分やっていけた。


○ストレージ

PC-9821シリーズ特有の弱点として、内蔵IDEが妙に低スペックだったこと。

 BIOS側の問題で、4.3GBより大きいHDDをつなぐと起動しない。(後に多少改善されたけど、32GBまで繋がるけど8GB以下でなければ起動ドライブにできない、とかそんな程度)
 また、当時は利用できたはずのDMA転送ができず、PIO mode 2の8.33MB/sしか速度がでない。遅いだけじゃなくて、ディスクアクセス中にCPUが取られて、全体の動作が引っかかる。
 MS-DOSならともかく、Windows 95以降ではかなりストレスがある仕様だった。

 PC-9821Xa7/C4のHDDは430MBしかなくて、さすがに手狭だから、Seagateの2GBのHDDを買った。
 しかしこれハズレ掴んで、一年くらいで死んじゃったな。当時のHDDって今より弱かったと思う。


 じゃあ、いっそ小容量ドライブといわず、インターフェースごと強化しようとなった。
 ここでもI-O DATAが頑張ってくれて、UIDE-98Mというものを出していた。
 Ultra DMA mode 2、33MB/sの転送に対応する、PC-9821対応のIDEカード。スバラシイ。値段も一万円以下。
 これに、IBMのDJNA-352030だったかな。モデル名でいえば、Deskstar 22GXP。20GB・5400rpmのHDDをつないで、ついでに内蔵CD-ROMドライブもこっちに繋ぎ変えて。

 この頃のHDDはちょっと地雷が多くて、富士通製のHDDが安かったけど、コントローラーチップが腐っててすぐ死ぬとか、IBMも次のDTLAシリーズでガラス製プラッターを使ったらすぐ壊れて集団訴訟を起こされたとか、色々あった。
 DJNAは、幸いに地雷を避けた感じ。


 90年代を戦い切るためのPC-9821拡張パーツとしては、おそらく体感レベルで最大の効果があるのがこのUIDE-98Mだったと思う。
 データ転送待ちの時間が圧倒的に縮むし、CPUを食われないからアクセス時の処理のひっかかりもない。


 当時出始めだった、CD-RWドライブも取り付けた。
 SONY CRX100Eという、CD-Rで4倍、RWで2倍速の、エラー訂正機能もないドライブだった。
 これも、UIDE-33M経由でつないでいたからいいものの、内蔵IDEだと、書き込み中は怖くて一切触れないようなシビアなことになっていたと思う。

 このCRX100E、初期のものだけあって規格に無駄に厳しく準拠していて、700MB/80分のメディアにも640MB/74分しか書き込めなかったな。


○メモリー

もちろん、メモリーもないと困る。
 これは、当時の汎用72pin SIMMモジュールを利用できたから、ただ挿せばよい。

 のだけど、当時はエラーチェック用のパリティビットがついたメモリーがあった。
 PC-9821Xa7/C4は、ベースクロックを50MHzで使う場合にはパリティを見ないが、60/66MHzに設定するとパリティを要求し、ないとメモリーエラーで止まる。
 パリティつきメモリーはメモリーチップの数が増えるから、値段が上がる。

 しかし当時のネット情報を見ると、基板上のパリティ信号線を物理的に切ってやればパリティチェックなくなると、と、実に乱暴な解決策があった。

 今だったらそんな恐ろしいことやらないけど、若さゆえの蛮勇というか、カッターナイフ一本でやっちゃったよ。ちょうど基板表面の線だったからそれでいいけど、やりすぎて積層基板の中まで切ったら……。
 幸いにも成功したからよかったけどね。


 やろうと思えば、メモリースロット4本に32MBのモジュールを挿して、128MBまで拡張できたそうだ。
 しかしそれは高価だったので、16MBモジュール4本の64MBまで拡張した。
 これだけあれば、Windows 98SE世代なら十分だった。


 また、メモリースロットの横にもう少し大きなスロットがあって、CPUのL2キャッシュモジュールを追加できた。CPUキャッシュの後付けなんて今では考えられないけど。
 256KBと512KBのモジュールが存在して、後に見つけて追加してみた。
 けどまあ、正直あんまり体感レベルの差はなかったかな……。MP3のエンコードなんかは少しだけ速くなったっけ。


○その他の拡張

PCIスロットは、WGP-FX8NとUIDE-98Mで埋まっているし、その他専用スロットも使い切った。
 あとは、昔ながらのCバスで拡張する。

 Cバスは古くて遅い規格だから、さすがにPentium世代だと縮小されていく。
 PC-9801時代は多い機種で6本とかあったし、4本くらいが標準的だったけど、PC-9821だと2~3本。
 でも、まだCバスに挿しておきたいものがいくつかあった。

 ひとつは、サウンドボード。
 Xa7/C4なら、本体にもPCM音源が内蔵されてはいたんだけど、これはWindows用。
 MS-DOSで使うなら、PC-9801-86という、FM音源とPCM音源がセットになったボードが定番で、これを入れておけばゲームでちゃんと音が出る。
 もっぱらハチロク音源といわれていたので、98フリークからすればハチロクはスプリンタートレノよりこっち。

 もうひとつは、SCSIカード。
 PC-9801時代は、SCSIにHDDやMOドライブ、CD-ROMドライブなど、ストレージ関係はなんでもつないだものだった。
 HDDはさすがに要らなくなってたけど、MOドライブはPC-98では便利だからよく使っていた。
 一枚230MBと十分な容量、HDDより少し遅いけどフロッピーなんかよりはずっと速く、ランダムアクセスできるからCD-Rのように枚単位で焼く必要もなく、書き込んだデータはめったに破損しない。
 PC-98ではMOドライブからでもブートできるから、MS-DOSとWindows 3.1をインストールして使えるMOディスクを一枚作ってあった。

 それから、IF-SEGA/98。
 セガサターン用ゲームパッドを、PC-98に接続するためのCバス用ボード。I-O DATAの製品だけど、あそこたまに変なものも作るんだ。
 これがあれば、USBのないPC-9821でも、サターン用の質のいいゲームパッドが使える。
 当時はあまりPC用ゲームパッドは普及していなくて、一応規格としては音源ボードについている15pinゲームポートに繋ぐことになっていたが、普及率は高くなかった。

 これで3本。うちではちょうど足りたけど、本体がXa7/C4でなければ足りていなかった。


 さて、Cバス足りないどうしよう、となると。
 外付けCバス拡張ボックスというものも存在したのだが、Cバスのボードが一枚150x170mmもあるでかいもので、拡張ボックスがデスクトップPC並みのサイズになって馬鹿げてくる。
 ボードがでかくて部品をたくさん載せられるんだから、1枚に複数の機能を持たせてしまえ、という発想のほうがスマート。

 うちにも一枚、Q-Vision WaveMasterだと思うけれど、SCSIと音源を複合させたボードがあった。正直使った覚えがないので、見つけて買ってみただけだと思うけど……
 これは完全に固定的に2機能を複合しているけど、ボードを半分あけておいて、そのスペースにサブボードを増設することで、好みの2機能を複合させられるようなものもあった。

 まあ、Cバスの速度で一応足りて、かつ需要の多い機能となると、主にSCSIとサウンドになるだろうとは思う。10BASEのLANボードとかの通信系もあるかな?
 でも時期によっては、グラフィックカードと音源の複合なんてものもあった。おそらくPCI化以前の486機でWindows 3.0~3.1を快適に使うためのものと思う。
 PC-98専門ウェブサイトの「With98」にグラフィックアクセラレーターのリストがあるけれど、あのCANOPUSまでもがグラフィック・音源複合ボードを出していたそうだ。


○マウスとキーボード

PC-9801/21は、マウスとキーボードは独自仕様だった。

 ごく初期には、汎用RS-232Cポートに繋ぐ、シリアルマウスが使われていた。
 しかし、PC-9801VM2で、マウス専用ポートが追加され、そこにつながるバスマウスができた。
 これが長年使われ続け、結局最後までそのままだった。

 ただこのマウスポート、2ボタンまでしか対応せず、スクロールホイールとかは無理。
 PC/AT互換機のPS/2マウスは、マウス側にコントローラーがあって、本体側はデータを受け取るだけらしいんだけど、PC-98は逆で、本体側にコントローラーがあってマウスは信号を送るだけ。
 なので、マウスは勝手に機能拡張ができなかった。

 PC-98末期、ホイールがついたMicrosoft IntellimouseのPC-98対応版が出たんだけど、これは先祖返りするかのようなシリアルマウス。
 シリアルマウスだったら、マウスドライバーでデータを解釈できるから、ホイールにも対応できた。


 一方、キーボードも本体側にコントローラーがある。
 このせいで、PC-98とPC/AT互換機のマウス・キーボード相互変換が、コネクターの結線変更程度では済まなくなっちゃっている。

 PC-98のキーボードって、VM2とかDX2の頃のものはものすごくお金のかかったメカニカルキーボードだった。
 クリックのないリニアタッチの、非常に優秀なキーボードだった。
 美化された記憶を元にいえば、21世紀のガチャガチャうるさいメカニカルなんか足元にも及ばず、FILCOのMajestouchでもまだ少し足りないレベル。

 ところがそんな素晴らしい品も、コストダウンの波には勝てない。
 Windows時代のPC-9821になって、メンブレンスイッチに変わってしまった。
 それでもXa7/C4のような初期ならまだ多少マシだったけど、その後もう話にならないようなものになっていった。


 だから私、最後までPC-9801DX2のキーボードを使い続けた。


○さらば20世紀、さらばPC-98

2000年の私はPC屋のバイト店員だったのだけど、その時点でまだ、95年以来のPC-9821Xa7/C4は、拡張を重ねつつ現役だった。AthlonとPentium IIIが1GHzに達したという時代に。
 ほんとに不足は感じてなかったので、もう壊れるまで使おうと思っていた。

 90年代末って、いろんなメーカーが一斉にPC/AT互換機のWindows PCに舵を切った頃だったんだけど、どうにもモノとしてヤバいのが多かった。
 10万円で一式揃うと話題のSOTECなんか、相当粗悪なパーツも混ぜてしまっていたようで、実際に勤めていた店に「爆発した」といって、電源の電解コンデンサーが破裂して死んだものが持ち込まれたりもした。
 日本メーカーから電解コンデンサーの試作品の情報が盗まれ、それが台湾あたりで製品化されちゃった結果、信頼性が十分ではなくてそこらじゅうで破裂・液漏れが起きていたりもしたし。

 でも、価格競争の酷い叩き合いに陥る少し前の95年製で、こなれたスペックのシンプルな機種だったPC-9821Xa7/C4は、なんだかんだで頑丈だった。
 これだけ拡張しまくっていたけど、ハード自体になにも老朽化の気配はなかった。


 ところが勤め先で仕入れたジャンク品に、ふとELECOM印のPC-9801用キーボードが紛れているのを発見。
 触ってみると、ELECOMのくせにずいぶんタッチがいい。PC-9801時代のELECOMって、たまご型のエッグマウスがヒットしてよく使われていたものだった。
 別にPC-98マニアが集うような店でもないし、売れやしないだろうということで、店長に値段つけてもらって私が買って帰った。

 で、帰ってつないでみたら、PCが起動しない。あれ?
 壊れてたか、まあジャンク品だししかたないな、と、ジャンク品を買う当たり前の態度で元のキーボードに戻した。すると普通に起動する。
 ところが、キー入力すると、PCがリセットする。えええ。
 半泣きであれこれリセットを試みたけど復旧せず、キーボードコントローラーを壊された、と考えるしかなかった。
 PC/AT互換機と違って、他にキーボードを接続する手段はない。

 今から考えれば、どうせ当時PC-9821の中古は捨て値だったんだから、同じPC-9821Xa7/C4を買ってきてそっくり移植すればよかった。
 ……のだけど、5年以上、それも10代後半という時期を濃密に付き合ってきたこの個体に、代品で済ませるのもなにか気が進まなかった。


 かくして、ELECOMのせいで……いや、ジャンク品は何があっても自己責任、別にキーボードコントローラーを殺すような壊れ方をしていたのはELECOMのせいではないので、私がいらんことしたせいで、PC-9801VM2以来人生の2/3を共に過ごしたPC-98との別れの時がきた。
 いやほんとにELECOM恨んでないよ。
 その後勤めた会社でELECOMのマウス支給されて、そもそもボールが真っ直ぐ転がらない品質に腹を立てたりとか、たまにELECOM製品買ったら毎回的確に地雷だったりとか、最近買ったbluetoothキーボードでさえキーの品質がスカで使い物にならなくて3日で人にあげたりとかしたけど、別に恨んでないよほんとに。いやこっちは恨まないまでも嫌悪くらいはしていいか。


●どすぶい!

……というタイトルの漫画かラノベが出るタイミングはとっくに過ぎてしまったが、PC-98を失った私は、周辺機器を個人売買で欲しがる人に譲り、自作PCを組み立てた。
 PC壊した私を哀れんで、マザーボードくれた方がいてね。
 今はなきAbitの名作暴走族仕様マザー・BE6-II。オーバークロック機能がむやみやたらと充実した、それでいてド定番の安定品だった440BXチップセットを搭載したSlot 1マザーボード。

 私はここに、CPUはCyrix III-650MHzを投入。Pentium 2やCeleronじゃないのがせめてもの抵抗。
 グラフィックカードは、さしあたり余っていたMillenniumなんか挿しておいて、年末に発売されたPowerVR Kyroを投入した。せめてもの抵抗。
 21世紀はこの新たなPCと迎えたのだった。

 まあ21世紀になって15年も経つけれど、さすがに私も丸くなって、今の主力PCのCPUはIvy BridgeのCore i7だから、つまらんもの使ってるものだ。
 変なCPUとか出ないかなあ。遅くていいから。


●リンク週




映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」と「ルック・オブ・サイレンス」

 二週連続で映画を見てきたのだけど、それが表題の二作。
 これほど対極にある映画を連続で見る奴、それが私である。

 ネタバレしまくるから注意だ。
 先にマッドマックスからだ。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

実は秘密にしてたけど過去作見てないもんで、公開当初はノーチェックで、周囲の友人らがあまりにもヤバい映画だというのでそれならば、と。
 1がマックスターンのやつ、くらいは知ってたけど、それくらいしか……
 というか私、そもそもあんまり映画に詳しくないのだ。


 映画館に行ってチケットを買おうとすると、でかでかと「ラブライブ満席。今日の全回売り切れ」の表示が嫌でも目にとまる。土曜とはいえ公開三週目だぞ。
 私にとってラブライブって、あの奇跡のトゥルーコンテンツ「Baby Princess」の裏でいつのまにか発進していた、ありありとアイマスの後追いやなあと思わせるG's Magazineの新ネタ、という認識だったのに、知らん間に大きくなって……


 で、着席して友人と予告見ながら、あ、これちょっと面白そうかも、とか至極フツーのこといいながら、明かりが落ちたところで画面に注目。

 見渡す限り赤土の荒野。
 ひとりの男。
 双頭のトカゲ。
 トカゲ走る。
 男に近づく。
 踏む。
 食う。

 うん、とりあえずカッコいい。
 考えてみればこれだけで「核戦争後の荒廃した世界」だと舞台説明しちゃってるし、「北斗の拳の元ネタがマッドマックス(2だっけ?)だよ」という程度の予備知識しかなくても、すっと飲み込めるわかりやすさ。

 なんかこう、全体を通して、とにかくカーチェイスとか爆発とか大砂嵐とかトンデモアクションとかをやりたいだけの作品なのは明らか。
 でも、いくらなんでも舞台設定や状況説明がナシというわけにもいかない。
 舞台設定とか状況説明とかそういうものを、時間を掛けずに簡潔なカットひとつでパッとわからせてしまう、という多分すごい高等な技術でやってしまうことで、テンポを崩したりアクションの密度を薄めたりせず、全編ひたすらアホカーアクションで埋め尽くすことに成功してるんだと思う。

 いや本当に、最初から最後まで見せ場しかないような勢いだった。
 こっちが想像できる範囲を、常に飛び越えっぱなしで最後まで走り抜けた。
 私のような凡人では、緑の地がもうないことを知って、塩の大地に向けて走り去ろうとするフュリオサたちを見送ってエンディング……なんてヌルいこと考えてしまったところで、引き返して砦を奪うと決断するとこなんかもう、自分がなんて平凡なレベルの頭しかないかと思い知らされる。


 それから、状況に囚われたり潰されかけたりする人たちが、それを振りほどいて自分を取り返すような話でもあって、私はこういうある意味説教臭いところがあるのが好きだな。一番好きな漫画家が富沢順だという私だ。
 だいぶ人間不信じみてたマックスも、子産み女扱いされる砦に戻ろうさえした女たちも、盲信の中でしか生きられなかったニュークスも、死んでしまう者もあれど、状況の奴隷のままでいた者はなかった。
 明らかにバイオレンスアクションなのに、ほとんど血や死体は見せないとことかも含めて、バカで激しくて頭悪そうで爆発して火を噴く映画だけど、下品でもなく下卑てもいない。
 といって、決して高貴で気高い作品であろうとしてるようにも見えなくて、「この方が気持ちいいからこのほうがいいだろ」といわれてる感じ。まったくそう思う。

 と、何か下手にまじめに語ってしまったけれど、だって見たらすぐに、すごいバカ映画であるためにすごく高い映画の技術が駆使されてるとわかっちゃうんだもん。
 頭空っぽで見られる映画というか、空っぽでもちゃんと突き刺してくる映画。すごい。


 私は、谷のモトクロスバイク軍団が好きだった。
 バイクでウォータンクなんかとどう戦うんだろ、と思ってたらまさかの空爆。あんなところであんな激しいライディングができる恐ろしい技術の持ち主なのに、マックスやフュリオサの銃撃でばたばた撃墜されるソフトスキンの悲哀。ほとんど諸行無常、侘び寂び。


ルック・オブ・サイレンス

インドネシアという国は、太平洋戦争まではオランダの植民地だったのだけど、あの戦争で日本軍にオランダ軍が追い出された権力の空白を突いて、スカルノによって独立が宣言された。
 混乱する国内だったけれど、国粋主義者・宗教家・共産主義者の対立を調停して国をまとめあげる、という立ち位置をとって、スカルノはどうにかこうにか国内を治める。

 しかし1960年代後半には、スカルノの態度がかなり東側に傾き、外資の排除なども行って、英米はじめ西側と険悪になって国連脱退にまで至り、経済制裁で国内が疲弊。
 そんな中、軍隊内の共産党系といわれる左派勢力が決起し、軍首脳部の将軍6名を暗殺。
 そのままクーデターを起こして軍と政府を掌握しようとしたが、後に大統領となるスハルトの迅速な対応により、たった3日で鎮圧された。
 これを「9月30日事件」という。

 9月30日事件以後、スハルトによる過激な共産主義排斥が行われ、推定で50~300万といわれる共産主義者(とされた人たち)が虐殺された。
 しかし、こういう経緯から発生しているため、「インドネシアを破壊しようとした国賊である共産主義者への正義の粛清」というような捉え方もされ、虐殺を指導した者や実行者が、今でもなんら罪に問われることなく、むしろ社会の重職について裕福に暮らしている。
 一方で、共産主義者と疑われて実際に殺されかけた人、家族を殺された人もまた、大勢インドネシア社会で暮らしている。


 この映画には「アクト・オブ・キリング」という前作がある。
 ジョシュア・オッペンハイマー監督が、虐殺者と被害者が共存するインドネシア社会を取材するも、政府としては触れられたくないからと、この事件の被害者への接触を禁じられた。
 ならば、と加害者側に取材したドキュメンタリー。

 ちょっとガラ悪いけどけっこう裕福そうに暮らしてる初老の男性が、1000人は殺したという虐殺者だったりする。
 昔はダフ屋のチンピラで、虐殺にはそういう人がかなり動員されている。軍が直接手を下したら国際社会の批難を浴びるけど、民間人がやったならそこまでいわれないから。
 そんな人らが、へらへら笑いながら実際に人を殺す様を説明する。
 だからオッペンハイマー監督、「なら再現映像を撮るから実際にリアルにカメラの前でやってみせて」という、すさまじいことをやらせる。

 「自らの行った殺人を自ら演じる」ということを行った元虐殺者らが、その演技を通じて自分がやったことを突きつけられる。
 思考実験してみるなら面白そうなテーマだけれど、実際にそれをされた人の姿を見るというのは、なにか説明しがたい衝撃があった。
 本当に忘れたくても忘れられないような、すさまじい映画だった。


 それの続編として、「ルック・オブ・サイレンス」は、今度は被害者側に密着取材する形をとる。
 密着するのは、兄が虐殺されてそのすぐ後に生まれた、めがね職人のアディ。
 虐殺をへらへらと自慢する加害者たちの映像を見たアディは、兄と、今なお彼らを恨みながらも何もいえず静かに暮す母のために、せめて少しでも反省や謝罪をと、加害者たちに直接会いに行ってそれをオッペンハイマーに撮らせる。
 その加害者というのが、アディと同じ村に住む人、役人、地方議会議員、果てはアディのおじさんといった、遠くてもさほど遠くない、近いと本当に近しい人たち。

 大虐殺があって、その加害者と被害者がすぐ近くで暮らしている、というインドネシア社会のうそ寒さがよくわかる。
 そして、被害者に直撃されてもなお、とにかく「自分のせいじゃない」とか「あれは正しいことだった」と、実にバリエーション豊かな言い逃れで、誰一人責任を認めず謝罪も反省も見せない加害者たち。
 本当に見苦しいほどの言い訳を繰り返す加害者が、だからこそ、虐殺を本当に誇るべき栄光だと思っているわけじゃなさそうだなあ、とは推察できるものの、それでもやはり、アディに対して少しでも謝罪や同情を見せる加害者はいなかった。

 映画として面白いのはどっちか、といわれると、これはやはり「アクト・オブ・キリング」の方が強烈だったとは思う。
 あれはなんだか、事の善悪を飛び越えるような衝撃がある結末だったから。
 「ルック・オブ・サイレンス」は、ただただひたすら胸糞悪いというか、ずっと眉間にしわを寄せて見てしまうような作品で、別に衝撃的な結末もない。
 サイトの煽り文句で「感動と慟哭の結末」といってるのは、大嘘とはいわないまでも、これだけの悲惨な有り様にただこれだけの救いというか、これだけのことさえできないほど悲惨だったのかと思わせられるというか、そういう類の「慟哭」だろうと思う。
 こんなことはアディと父母にかぎらずインドネシア中にあることで、それを胸の底に埋めながらも、社会は一応成り立ってしまうし、人はそこで生きていかねばならんというのは、ひたすら重苦しく心に残ってしまう。

 そんなわけで、これ単品で見るより、「アクト・オブ・キリング」と一緒に見たい。



 という具合で、ハイの極致とローの深遠の両方を連続して見てきた二週間でした。

記憶だけで描く日本地図

 関東のひとは四国四県がどうなっているかわからない、とはしばしばいわれるネタである。
 関西人は大体わかっている、というつもりでいると思うのだけど、じゃあちょっと図に描いてみろ、というと、おそらく間違える人が多かろうと思う。

 ちなみに私は大阪と愛媛のハーフであるからして、四国についての認識は結構はっきりしている。
 何も見ずに描いてみたが、ちゃんと、本来接していない県を接しているように描いたりといったミスなく描けた。



四国

実は徳島と愛媛は接しているけど、香川と高知は接していないので、こういう県境が正しい。


 と、四国を正しく認識している私なのだが、しかし他所の地方になるとかなりうろ覚え度が高くなることに気付いて、他の地方も描いてみた。


東北 


  • ×: 山形県の消失
  • ×: 栃木は福島と接する
  • ×: 茨城は埼玉と接する
  • ×: 千葉は栃木と接しない

 山形を忘失したのは申し訳ないのだけど、それ以外は東北の認識はまだましで、どっちかというと北関東がめちゃくちゃっぽい。


関東 


  • ×: 群馬と栃木が東西に並び、その南に埼玉が置かれるべき
  • ×: 埼玉は西で長野とも接する
  • ×: 新潟としているエリアの南側は長野でもいいと思われる
  • △: 伊豆半島のつもりで出した岬が場所的に三浦半島のはずで、それにともなって静岡が広がりすぎ

 大阪人は東京圏をよくわかってないのが如実に表れた。

北陸


  • ×: 富山と福井は接しない

 私の世代だと畿内と北陸は関係が強いからあまり大きくは間違えないけど、北陸新幹線が東京都つながった今後の大阪人は、北陸をどう認識するようになるだろう?

中部 


  • △: 山梨が北で新潟と接していそうな勢いで描いているが、新潟どころか群馬とすら接さない
  • △: 愛知は知多半島が東端のように描いているが、渥美半島を忘れている
  • △: セントレアは海上空港

 実は岐阜と三重が接していることを知ったのは最近で、養老鉄道線で三重県桑名市から岐阜県大垣市に移動してもまだ理解できていなかった。

近畿 


  • ×: 三重は滋賀と接する
  • ×: 鳥取と京都は接さない 

 滋賀・岐阜・奈良・三重・愛知あたりの県境は結構怪しい人多いと思う。
 しかし兵庫が日本海側まであることはわかっているはずなのに、なんでこんなこと描いてるのだろ。ただ、兵庫県の日本海側にある自治体がさっぱり出てこないので、やっぱりわかってないかもしれない。

中国


  • ×: 島根・鳥取はもっと西寄りにあるべきで、鳥取は広島とも接し、島根は岡山と接しない

 兵庫を間違っていることからくるエラー。

 九州


  • ×: 長崎はもっと岬の突端のような場所にあり、熊本と地続きではない。長崎がある岬の付け根を佐賀県が塞いでいる形
  • △: 熊本としているエリアの南半分くらい鹿児島としてもよさそう
 愛媛のしかも南予の血が入ってるせいか、すぐ対岸の東九州はわりとよく認識できていた。



 これでも中学の地理のテストは良かった方なのだけど、やはりかなり怪しいところは多かった。
 存在ごと忘れたのが山形県だけで済んだのは上等だということにしておく。

バイク事故の話

 バイクなんか乗ってる限りはいつかは事故くらい起こすのは当たり前だろう、と思いつつ今まで機会なく過ごしてきたけれど、ついにやらかしたのだった。




 事故内容は次のような感じで、乗ってたのはヤマハ・アクシストリート(125ccのスクーター)。

 ゆるやかに左にカーブした、軽自動車でないとすれ違いが難しいくらいの道幅。
 カーブ内側に雑草がやたらと繁茂していて見通しが悪い。
 雨上がりで路面が濡れていた。

 何度も通っていたところで、視界が悪いのもわかっていたから、少なくとも30kmくらいには減速していたつもり。
 それでも、雑草が切れて視界が通ったら対向車がいたのに気付き、ブレーキを引いた瞬間にコントロールを失って次の瞬間には転倒していた。
 私は放り出されるように前のめりに地面に落ちて、左足をバイクの下敷きにしたままうつぶせに少し滑って止まった。

 おそらくブレーキでフロントタイヤがロックしたものと思う。
 いわゆるパニックブレーキというやつなのだが、対向車とはそんな驚くほど至近距離で遭遇したわけでもなく、そんな強く引いたつもりもなかったのだけど……。
 転倒しても対向車に轢かれるどころか、少なくとも車一台分以上は距離が離れていたくらい。
 ただ、私は四輪の免許取った時に、教習所の急ブレーキ急ハンドル教習で失敗し、コースアウトして植木に教習車ぶつけたことがあるような人間で、普通の人ならやらないところでパニックブレーキやるだろうな、と思っていたら今回ついに機会がきた感じ。

 対向車も停車して「大丈夫か」「救急車は」といってくれたけれど、私は立ち上がってスクーター起こして道の端に寄せられる状態だったし、状況的に対向車に責任があると思えず、そのまま行ってもらった。
 警察へも一応状況を話したが、当然自損事故になった。


 速度が低いこともあって、怪我はまったく大したことがなく、左下腕と手のひらの擦り傷、左膝の打撲だけ。
 左膝は、まあすぐに歩けているけど、一応病院で診察を受けてレントゲンを撮って、特に骨折もヒビもないと確認。

 着ていた長袖シャツはボロボロになって廃棄せざるを得ず、コンクリートで強く擦ったらしい左腕は、生地の下でも結構大きく擦り傷がついた。
 もしTシャツ一枚で乗ったりしてたら、左腕の方がもっとえらいことになってたかも。
 というか私、夏用のメッシュジャケット持ってるのに横着して着ていなかったのがよくない。
 手のひらの傷に至っては、夏用ライダーグローブを実家に忘れていて素手で乗っていた。これまたよくない。
 脚はデニムの下だったので、打撲はあれど擦り傷はほとんどなかった。

 病院での治療費は、診断(レントゲン撮影と診察)と薬(痛み止めの頓服10回分)と合わせて1万円ほど。労災にできそうなので全額自己負担。



 車両の方は、私のアクシストリートは快適セレクションをつけたので、ナックルバイザーがついていたのだけど、それが左側だけ完全に割れてしまった。
 それからウィンカーレンズもヒビが入ったが、ウィンカーは問題なく点灯する。
 ハンドル部のカウリング(パーツ名称だとハンドルバーアッパーカバー)も削れてしまった。
 他にもっと小さいキズがつくかと思ったけれど、車体前部はフロントフェンダー脇の黒いところ、後部は後席用ステップの横が接地したみたいで、それほど酷い傷はなかった。
 まあ、バイクも軽傷。ちと不細工なだけで、特にハンドルが歪んだ感じもない。

ナックルバイザーはワイズギアのオプションパーツなので、修理部品としては出なさそう。
 買うと1万円もするが、しかし、快適セレクションで購入して、ナックルバイザーを取り付けずにヤフオクに売りに出す人が多いみたいで、それが6000円くらいになってるそう。
 しかし今は6000円出すのもしんどいので、ナックルバイザーは諦め。
 また、ナックルバイザーは両面テープでハンドルバーアッパーカバーにべったり貼り付ける形で、あまり付け外しも楽でない。

 結局修理は、ハンドルバーアッパーカバーを交換するという方向で。これは3000円で出るパーツ。ウィンカーレンズも600円ほど。
 車種によってはウィンカーとヘッドライトのカバーが一体化してたり、LEDライトだとレンズがユニットに一体化していたりして高くつくらしいけど、アクシストリートはバラけているので安い。

 この2点を交換するのは、作業自体はそれほど難しいことではなかった。(自動車修理工の友人にやってもらったんだけども)
 ただし、取り付け・固定用の板ナットなどの細かいパーツがあり、それは前のハンドルバーアッパーカバーからちゃんと外して移植しなくちゃいけない。
 また、ウィンカーやヘッドライトなどには、ビビリ防止と思われるクッション材があり、これも別途用意しなければいけない。パーツとして買っておくか、適当なもので代用する。



 反省点として、そもそも見通しが悪いカーブがある狭い道を通るのがよくなかった。
 どうも私は、他の車がいるのがストレスに感じられるので、交通量の少ない方少ない方を選んで動いてしまうけれど、これはちょっと限度を超えていた。
 パニックブレーキをやらかす小心者なのは重々わかっていたことのはずで、やらなきゃならん状況をできるだけ作らないようにするべき。

 また、アクシストリートの標準タイヤは、前から濡れた地面でのグリップが悪いように感じていた。
 晴天では、おとなしい私の運転では何の問題も感じない。
 けれど雨だと、交差点を曲がりつつ加速して抜ける時とか、信号で停車する時などに少し頼りなく感じていた。滑るというほどじゃないけど、ぬるっとくる感じ。
 また、意図的にリアブレーキを強く引けば、簡単にロックさせられた。アクシストリートのブレーキって、フロントはディスクでそれなりに効くけど、リアはドラムで、ドラムにしてもあまり急制動しないような感じなのだけど……
 もともと廉価モデルのアクシストリートだからそんな良いタイヤのはずもなく、人によっては新車で買ってすぐタイヤ変える人もいると買った店で聞いていたけど、やっぱり頼りなく思えているなら替えてみてもよかったかもしれない。
 もう1万キロほど走っているので、修理ついでに交換することにする。

 着るものも、手を抜いちゃダメだった。
 スクーターだし距離も短いし大仰すぎる気がしてライダージャケット着てなかったけど、着る。グローブもつける。免許取りたての頃はやってたことだったし。
 今回最大ダメージだったのが膝だし、膝当てしてもいいかもしれないな……


 というところが、今回の「スクーターで30キロで自爆した」しょぼい事故の顛末。
 まあほんと、コケるときは30キロでもいきなりコケるので、50ccスクーターでも今回のようなコケかたは十分あるはず。
 タイヤ腐ってないか確認したり、半袖Tシャツで乗らないようにしたりくらいのことはするようにオススメしときます。

Lavie Zのバッテリー品質の話

 私が主力機兼モバイルとして所有・利用している、2012年モデルのLavie Z(の企業向けモデルのVersaPro UltraLite type VG)なのだけれど。
 電池がもたん。
 エコモードでバッテリー消費を抑えても、80%充電から実働3時間たらず。公称8.1時間というのだけど、100%にしても4時間持つかどうかじゃないか。

 まあ、私はちょっとした外出はAndroidで割り切ってるから、そう頻繁にLavie Zでモバイるわけじゃないので、いいといえばいいのだけども、あの「875g!」という鮮烈な軽さで世に表れたLavie Zがモバイるのに難アリとは情けない。
 実際、このバッテリーがどんな状態か調査してみた。




YbInfoで見る

駄文にゅうす経由(15年8月13日の記事)で、某氏の猫空記事を見て知った、Yuryu's Battery Informationというアプリを走らせてみると。


 「現在」が約16000mWh、「フル」が約20000mWhで、80%充電モードだから、現在もフルも正しく取得出来てるようだ。

 最近のWindowsは、結構バッテリーの情報を詳しくOSが取得してくれるようで、多分この値はWindowsが取得してる値を表示している。
 そういえば、昔のWindows 98とかの世代だと、バッテリー残量表示ってかなり雑だった気がするな。100%充電されてるといいつつ5分で5%になってしまうとか。
 これ見る限り、設計容量も充電可能量も現在の残量も詳しく取れてるみたいだから、現在のバッテリー残量も現実的に出るし、劣化度合いも計れる。

 非常に手軽だし、充放電速度をリアルタイムで見られるのも便利。


Windows 8のPowercfgで見る

また、このアプリを使うと非常に手軽に現在地を見られるけど、もっと詳細に見たければ、Windows 8には詳細なバッテリーレポートを書き出す機能がある。
 結果はHTMLファイルに書きだされるから、それをブラウザで見る。


 ここはほとんどYbInfoと同じ。


 Battery capacity historyは、過去の充電可能容量の変遷を見られる。

 うちは一度OSの再インストールをしてるから、約1年半のデータしかないけど、おそらくインストール後のログはすべて残されている。3年4年とデータのあるPCもあるだろう。

 このLavie Zの劣化度合いを書き出すと、

  • '14/04/08 - 26030 mWh
  • '14/04/14 - 25852 mWh
  • '14/04/28 - 23332 mWh
  • '14/06/02 - 23095 mWh
  • '14/06/09 - 22589 mWh
  • '14/12/08 - 22020 mWh
  • '14/12/15 - 19825 mWh
  • '14/12/22 - 18763 mWh
  • '14/12/29 - 18226 mWh
  • '15/01/12 - 18216 mWh
  • '15/01/19 - 18204 mWh
  • '15/02/16 - 19797 mWh
  • '15/02/23 - 20524 mWh
 14年4月8日から1年ほどの間に、約5500mWh、設計の16.5%ほど削れている。
 一度回復しているのは、ひょっとするとバッテリーリフレッシュをやったからかも。

 このLavie Zの発売は12年夏なので、15年夏の今までちょうど3年。
 現在20524mWh残ってるから、設計の33300mWhに対して61.6%残存。
 年間12.8%の劣化というと、結構なペースだなあ。
 購入以来、特に長時間持ち出すことが予想されている日の前日以外は、ほとんどずっと80%充電モードで運用してるんだけどな……





 Battery life estimatesでは、その時期のバッテリー容量と使用実績から見て、大体これくらいの時間は利用できただろう、という予測値を書き並べてある。
 もしバッテリーが劣化していなかったらこれぐらいいけたよ、という値も隣に。

 使い方によるところが大きいから予測値はバラついてるけど、まあ大体2時間半~3時間くらいの値を出している。
最後の行は、OSインストール以来の平均値。やはり3時間弱。

仮にバッテリーが劣化してなくても4時間半しか持たないようで、カタログスペック8.1時間の半分。
 無論こういうのは使い方によるところが大きいとはいえ、Android機なんかはもうちょっと実用スペックとカタログスペックの乖離が小さい気がするんだけどな……。
 測定方法を、もうちょっとヘビーユースな基準にしてもいいんじゃなかろうか。



 PowercfgはWindows 8の機能だから、中古PCを買うときにちょっと走らせて容量をチェックすることもできちゃう。中古モバイルPCを買うときにいいかも。
 もちろん、自分のPCのバッテリー状態を、OSインストール以来のログと共に、状態の推移を見られるのは便利だ。


バッテリー状態更新タイミング

上に書いた充電可能量の推移、半年前の2月からずっと変化がない。

 なんでだろう、と思ったけど、普段80%充電モードで使ってるから、いつまで経っても満充電されないせいじゃなかろうか。
 充電できるところまで充電してしまわないと限界がわからない、というのも当然な気がする。

 ということで、久しぶりにNECのツールでバッテリーリフレッシュを一回かけた。
 これは、一度満充電してから完全放電し、さらに充電し直す動作をする。


 減った。

 もう一回やっても、19381mWhで変化なし。
 19381/33300 = 58.2% しか残ってないのか……。

 ともあれうちの環境では、満充電することでバッテリーの現在容量が書き換わるようだ。
 もし80%充電で使用していて、現在容量があやしく思えた場合は、一度100%まで入れてみればいいと思う。
(もしかすると、0%近くまで使い切るのも書き換え条件かもしれないが)

やっぱりLavie Zは電池がいまいち……?

うちのLavie Zのバッテリーは少々、他所と比べても劣化が酷い気がする。
 YbInfoを検索キーにして、他の方のバッテリー劣化の様子を見ても、3年で58.2%まで落ちてる例はあまり見ない。


 Aspire Oneに関しては、あまりにも容量が落ちたから満充電と完全放電を繰り返したら92.6%まで復旧した、という記事があった。
 他の例は、さすがのPanasonicなら数年使って9割前後残ってるとか、Lenovoの普及価格帯のビジネスノートでも5年で78%残ってるとか、そういうのばかり。
 Lavie Z (VersaPro Ultralite type VG)は、それなりに高級なウルトラブックなんだから、普及価格帯のビジネスノートとかネットブックに劣るような品質のバッテリーというのはいささか寂しい。

 比べてみると、今回データを収集できた機種はどれも、リチウムイオンバッテリー。
 Lavie Zはリチウムポリマーバッテリーだ。
 そこで違いがあるかもしれない。


 あとは、熱の問題とかもあるかもしれない。
 Lavie Zはやはり小さいだけあって、かなり発熱はあるし排熱も弱そう。薄い筐体内に押し込まれたバッテリーが、熱的に厳しいというのは考えられる。
 筒型のリチウムイオン電池セルを使ってるようなタイプだったら、それが外に張り出し気味に装着されてたりするから、こういうほうが熱には晒されにくいだろうし。

 スマホやタブレットならリチウムポリマーを使ってるものも多いだろうけど、容量がスマホで2500mAh、タブレットでも大きくて10000mAh程度のもの。33300mAhもあるでかいLipoバッテリーだと違うところもありそう。
 発熱も、ARMとCore i7じゃ一桁から違うだろう。

 それと私、ずっとエアコンなしで暮らしてるもんだから、夏場は結構過酷な感じの熱を発している。
 キーボードの上側とか、触ると心配なくらい加熱している。こういうのも多分良くないね。


Android端末乗り換え (freetel priori2)

 えー、2月に奈良に引っ越したばかりですが、また引っ越しました。
 今度はTOKYOに来ています。

 よって、ブログタイトルを変更したいんですが、何か圧倒的にダサいタイトル案ないでしょうか。
 いちいち東京をTOKYOと書いたり、コンクリート・シティとか眠らない街とか80年代の残骸みたいなセンスがポイント高し。
 この記事は珍しくコメント欄をあけてみるので、いいのあったら書き込んでください。
 何もなければ、おのぼりさんを直訳して「ミスター・ハイライズ」にしようかと思ったんですが、これダサいblogタイトルというよりダサいハンドルなんで、うーん。


 で、TOKYOで仕事するにあたってスマホを持ってくれ、と注文が入りました。
 どうしようかと思ってたんだけど、freetelのpriori2がなかなか需要にフィットしそうだったので購入してみました。安いし。
 ビックカメラのアウトレットで、展示品扱いのもの(見たところあまり傷などもないので、単なる開封品かも)に別売りのフリップカバーがついて、税別9560円だったかな。通常売価と較べてあんまり安くもないんですが、まあ。

 今まで使っていた環境は、ASUS MeMOPad HD7とモバイルルーターという組み合わせ。



◎期待より良いところ

・思ったよりスペック高い

MeMOPad HD7もpriori2も、CPUはクアッドコアでクロックにも大差ないのだけど、比べるとpriori2の方が若干上のよう。
 MeMOPad HD7が、Mediatek MTK8125、priori2がMT6582。
 時期的にもどちらも13年後半くらいに出たSoCで、クロックが1.2GHzか1.3GHzかの性能差がある程度と思う。他は3G通信とか電話関係の差かな。

 体感レベルではけっこうはっきりpriori2が上に感じるけれど、これはスペックの差というより、MeMOPad HD7が1280x800、priori2が854x480と解像度が半分以下で、グラフィックの負荷が小さいことが大きそう。
 小さくなる以上は性能ダウンを覚悟していたけど、そうでもなかった。

・思ったより液晶悪くない

それなりに発色してるし、視野角もまとも。
 底辺クラスだからTN液晶かと心配してたけど、どの角度で見ても色が裏返らないからTNではないらしい。
 解像度こそ854x480のFWVGAとはいえ、Androidってなんでも適当にスケーリングするOSだし、それが不都合に直結するわけでなし。

 また、MeMOPad HD7ではオミットされていた光度センサーがちゃんとついていて、明るさ自動調整もできる。

・メモリー1GBとAndroid 4.4が優秀

Androidって、4.4あたりからメモリー管理がよくなって、少なめのメモリーでも快適になったらしい。
 MeMOPad HD7も1GBだったが、Android 4.2だとそれなりに苦しくて、ちょっと多めにアプリを起動すると、すぐバックグラウンドに回したアプリが終了されていた。
 priori2も同じ1GBだけど、結構多めにアプリを立ち上げても断然快適。
 ここは体感的にすごく良かった。

・GPSが頑張る

どうもMediatekのSoCってGPSの個体差でかいらしいけど、このpriori2の個体はなかなか優秀。
 例えば鉄道移動中にも、MeMOPad HD7の方は大きな駅ビルのある駅で衛星を見失い、その後いつまで経っても見失った駅に位置が貼り付いたまま、なんてことがたまにあった。
 priori2だと、電車に乗っていても長時間見失うことはなく、大体適当にとってくる。個体差が良いのを引いただけかもだけど。

 ただ、地下鉄での動作にちょっと癖がある。
 大体の駅では駅のWiFi位置情報を拾い次第その駅に場所が移るんだけど、トンネル出口近くで暴れる。
 トンネルに入るときは、トンネル入口のGPS位置に固執して、トンネル内の駅でWiFi位置を拾っていそうなのに反映されない。
 トンネルを出るときは逆に、随分早くからトンネル出口やその次の駅あたりに位置が飛んで、トンネル出口近くの駅のWiFi位置を無視する。

 例えば東京メトロ東西線を本八幡から中野方面に乗って行くと、地上に出て橋を渡ってからトンネルに入ると、トンネル入口で張り付く。そこから取れる東大島駅はいいけど、次の大島駅のWiFi位置情報を無視してしまって位置が移らない。
 また、高田馬場までは駅ごとにWiFi位置を取るけど、落合駅は無視してトンネル出口の中野駅まで飛んでしまって取れない。
 3G回線・WiFi・GPSそれぞれの優先度とか兼ね合いのせいかな。

・固定ボタンがある

MeMOPad HD7ではソフトウェアボタンだけだったけど、priori2ではメニュー・ホーム・バックのボタンが、物理キーではなくタッチボタンながら搭載されている。嬉しい。

・裏蓋交換自由

裏蓋と交換するフリップカバーは、なんだかんだで意図しない操作を抑止できるので嬉しい。
 開くと自動ONするようなものではなかったのが惜しい。できると楽なのに。

 通常裏蓋にはベルクロテープを貼り付けて、スクーターのコンパネにマウントできるようにした。
 スクーターにナビが搭載できちゃって実に便利。同じくベルクロテープつけたモバイルバッテリーも一緒にマウントしたら、電池の心配もなし。
 スクーターみたいなある程度の「面」が存在するものにスマホをマウントするなら、難しいマウンター考えるより、ベルクロで貼っちゃうのが楽。100円ショップで、しっかりしたテープがついたベルクロが売ってる。

○聞いていたとおりのこと

・MVNOでテザリングOK

聞いていたとおり。
 USBテザリングも、WiFiテザリングも問題なく動作。便利。これならモバイルルーターいらないな。

・バッテリー交換OK

聞いていたとおり。私は交換できる方がいいな。

・LTE非対応

聞いていたとおり。今時だとここがネックになるのかな。
 3Gだと下り20Mbps程度が上限か。私は十分だと思うんだけど。


×思ったより悪いところ

・ぜんぜん電池もたない

位置ゲーをやると、GPSを常時稼働させながらゲームアプリや地図を起動してガンガン通信もする、という結構ハードなことになっちゃうけど、そうすると電池がすぐ終わる。
 Battery Monitor Widgetで時間ごとの消費量を表示させたりしてると、たまに35%/hとか表示されて戦慄することが。

 今いれているぷららモバイルLTE定額無制限プランのSIMは、SMSや音声通話がない。
 バッテリー消費の一番上にいつもセルスタンバイがいるから、例の問題が起きているのかなと思ったものの、聞くところによると端末側で対策済みらしい。
 通話つきSIMに変更予定なので、比べてみる予定。

・タッチパネルがひどい

ある程度噂には聞いていたんだけど、まあ、通常の使用にそこまで問題がありすぎるというほどではないかな。

 2点しかタッチできず、かつピンチイン・アウトが暴走しがちなんだけど、どうも中央近くを使って2点タッチを行うとなぜか失敗しやすい。
 画面下寄りに親指を置いたまま、画面上の方だけ使って人差し指でピンチする、といったやり方ならあまり暴れない。
 どうも、画面縦方向の中央あたりに動作の怪しい部分があるみたいで。

 他にも、画面下端に無反応な部分がある。
 フリック入力時、最下段のキーをさらに下にフリックするような操作はしばしば失敗する。

デレステのプレイに支障ありすぎ

デレステは、低スペック端末に対して、画面解像度を強制的に半分に落とすという乱暴な処理をしてくる。しかもそれを拒否できない。
 元々854x480の画面を427x240まで落とされたら、さすがにあまりにもみすぼらしくて辛い。
 3Dモードは少々きびしいけど、2Dモードなら無理というほどスペック足りないわけでもないみたいなんだけどな……

 また、中央を含む同時押しノートが、タッチパネルの問題によって無視されて大抵MISSになるので、フルコンボ取れない曲が出る。
 同時タップじゃなくて僅かにずらすことで反応させることはできるけど、コンボを途切れさせずにやるのはかなり難しい。

・夏場の充電はオーバーヒートあり

ちょっと条件が極端だったので、端末の問題とまではいえないんだけど。
 ベルクロでスクーターにマウントしてナビを動かしたまま、晴天の中でモバイルバッテリーで急速充電していたら、「温度が上がっているから至急充電を止めろ」との警告が出た。
 走行風で冷えるかなあ、と期待したけどダメで。

 警告が出た時点で自動的にカットしてるならいいけど、そうでないなら、かばんの中で充電したりして加熱した時なんか怖いな。
 警告の内容が「充電を止めろ」だったので、勝手には止まっていないような……

・My Tracksの動作が怪しい

2015年9月現在のバージョンでは、なんか動作が怪しい。
 ロギングとかマップ表示じゃなくて、記録データのリストを表示させるところで暴走してしまうことがよくある。
 旅行やツーリングのお供に欠かせないアプリなんだけどな……


○まとめ

LTEに対応しない、タッチパネルが頼りない、バッテリーが持たない、という3点については我慢が必要だけど、他に大きな問題はなし。
 LTEは気にしないことで、タッチパネルはコツを掴むことで、バッテリーはモバイルバッテリーを持つことでそれぞれ対処できる。

 たった1万円で、SIMカードも選ばない、そこそこ使える端末が手に入るというのはなかなかのもん。
 まだガラケーのひとが、ガラケーを維持したまま、priori2とMVNOで安くスマホを試してみる、なんて場合にはちょうどいいんじゃなかろうか。

ぷららモバイル定額無制限 → FREETEL SIM使った分だけプランに変更

奈良に引っ越したときに、とりあえずのインターネット回線として契約したぷららモバイルLTE 定額無制限プラン

奈良では、結局固定回線を引かず、半年間ずっとぷららモバイルで過ごしてしまった。
しかし東京に来てみると状況も変わって、入ったシェアハウスに光回線があるもんだから、定額無制限プランを使う理由がなくなってしまった。

そういうわけで、適当なMVNOを探してみて、今ならFREETEL SIMの「使った分だけ安心プラン」が断然リーズナブルに見えたので、こっちに乗り換え。


半年使ったぷらら定額無制限プランについて


ぷららモバイルの定額無制限プランは、知っての通りで、速度が3Mbpsに常時制限されている代わりに、通信量による制限がない。

奈良では家庭用固定回線と同様に、PCで主に使っていたから、量の制限があるときつい。
PCでは、そう大量に使ってる気がなくても、12GB/月とかになってたから。


しかし、速度はかなり辛いものがあった。
契約前には、「最大150Mbps出るものを3Mbpsに制限するっていうんなら、ちゃんと制限値の3Mbps出るだろ」と甘いこと考えてたら、そんな速度は出なかった。
大和高田市のような、奈良県としては都市部で通信インフラはそこそこ充実していそうで、それでいて高齢者が多く、近所の家のWiFiを拾ったりもほとんどしないという、多分条件の良い場所で使ってさえ、せいぜい600kbps。

東京に来てからは、もう人が多いせいもあって、600kbpsはかなり良い時、ひどいと100kbps以下。
山手線乗ってる時なんか酷いもの。
(まあ、そのキツさの原因が、私みたいに月12GBも使う奴が他にも大勢いるせいな気がするんだけど、どう見たって3M定額無制限プランはそういう使い方想定したプランだろうから仕方ない)


他社への乗り換えではなく、ぷららの無制限プランから他のプランへの変更も考えた。
けれど、7GB/月プランは大きすぎ、110MB/日プランはちょっと足りない日が出る、二段階定額プランはどう考えてもメリットがない、と、いずれも合わない。
それに、どうも他のプランでも速度が厳しいというネットでの伝聞を踏まえると、プラン変更で幸せになれない気もして。


FREETEL SIMの選定理由


少なくとも、カタログで謳っているサービス内容が抜群に良かった。

「使った分だけ」といわれると、私らおっさんには、90年代の従量課金制インターネットプロバイダーを思い出す。
1分20円のプロバイダー料金が、電話代と別にかかるようなのがあったもんで、うっかりそういうの契約して通信量が爆発する話がよくあったのよ……。
しかしFREETEL SIMはそんなんじゃなくて、むしろ非常に割安感がある。

私が外出時のAndroid端末での月間通信量は、2~3GB程度という実績。
今回は通話付きで契約するので、3GB以下なら税込み1728円。
これが5GBになっても、税込み2398円。1GBに抑えれば1295円。

3GB決め打ちであれば、DMM mobileなら通話付き3GBが税込み1620円と少し安いけど、差額は108円。

その上で、高速通信を止めて200kbps制限をかけ、料金が上がることを止めることもできる。
超えても、少なく抑えても、どっちでも対応できるFREETELの柔軟さは嬉しい。
私の視野に入った中では、FREETELが抜群かな、っと。


まあ、バックボーンが弱くて実効速度が出ないとか、そういう地雷があるかもしれないけれど、もうそれは契約してみないとわからない。
多少はネットの噂も集められるけど、噂レベルだとFREETEL SIMはむしろ好評の類。


べた褒めしたところでアフィリエイトを貼っちゃう。

アフィリエイト貼っておいていうのもなんだけど、ヨドバシカメラで買ったらポイント10%つくよ。


FREETEL SIM契約~使い始めレポート

さて、私は今回新規の音声通話つきで契約したので、買って即使いはじめるとはいかない。
音声通話がないプランなら、即時SIMを持ち帰れるらしいんだけど、音声付きは免許証などで本人確認が必要。

なので、私はヨドバシカメラで買ってきて、ネット経由で登録。
運転免許証をスキャナにかけてJPEG画像にして、FREETELのマイページからアップロード。
確認次第、SIMが発送される。

なお、本人確認書類は、下記のいずれか。

  • 運転免許証
  • 日本国のパスポート
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 外国人登録証明書
  • 健康保険証+住所確認書類


……が、アップロード後数日して、「本人確認ができないからSIM発行できない」とメールが来た。
向こうの見落としだと決めつけたいけど私のアップロードミスかもしれないので、すみやかにメールで免許証を再送。
確認されると、すぐSIMが発送された。


さて届いたSIMを早速、FREETEL priori 2 (3G)に挿入。
いつものように、指示に従ってAPN設定。

FREETELの場合は、APNに対してユーザー個別の認証IDは設定しないようで、誰でも同じ。

  • APN: freetel.link
  • ユーザー名: freetel@freetel.link
  • パスワード: freetel
  • 認証方式: CHAPまたはPAP
と、ちゃっちゃと設定。


が、どういうわけか、通信が繋がったり切れたりを頻繁に繰り返す。
priori 2での挙動では、3Gのアンテナピクトに「H」の文字が出たり消えたりして、出ている時にしか通信していない。
Twitterなど、通信が切れてもしばらく待機して再受信するアプリであれば、なんとか動作しているように見えるが、かなりレスポンスが悪い。
「ステーションメモリーズ」とか「Ookla Speed Test」などは、通信が切れたら即エラーを吐いて停止するので、まったく使い物にならない。

アンテナは3本または4本と、電波が弱いわけではない。
APN設定を間違っているなら、繋がったり切れたりじゃなくて一切繋がらないはずだからおかしい。


あれこれ悩んで、「APNタイプをdefaultとsuplにする」ということで解消した。
FREETELのFAQにもどこにも書いてないし、私が使ってるのはSIMと同じFREETELの端末だというのに、まさかハマるとは思わんかったのだけど……。

suplはSecure User Plane Locationの略で、いわゆるA-GPS、WiFiとか電話回線から位置情報を取得するやつに使うらしいので、それがダメで切れてたのかも。
そういえば確かに、位置情報を使わないブラウザはそれほど止まらず、位置情報を使うステーションメモリーズやらTwitter、マップなどが軒並みダメだったような……。


さて、使えるようになったので、速度面。

私は3Gのみの端末で使うので、高速通信の最高速度はあまり測る意味がない。ので、パス。
そこ気にするならLTE端末使うしね。

200kbpsに制限して料金アップを防ぐ節約モードでの実効速度はどうか、と測ってみると、多少ブレはあるものの、200kbps出ていた。
測定場所は市川あたり、日曜の午後8時頃。

ぶっちゃけ、200kbps制限状態でも、ぷらら定額無制限の使用感と大差ない。
私は動画とかまったく見ないんで、もしかするとテザリング使うとき以外はずっと節約モードでも困らないかも。


ただ惜しいのは、節約モードの切替が面倒。
いちいちブラウザ経由でFREETELのマイページにログインして設定変更しなくちゃいけない。
Androidアプリですぐ変更できる、とかそういうサービスがあると最高なんだけどな。
多分、こまめに切り替えて使うという想定のものではないんだろうと思う。


あとはしばらく使ってみて。
何かあったら続報します。

我が鎮守府の陣容を2年前と比較してみた

ふとPCを見ると、2年前の記事を作るときに作った、2013年10月5日時点での所属全艦のレベルリストがあった。
2年前の記事自体は失敗ネタだったけれど、とっといたデータは興味深い。

私の着任は13年6月、初めて新規着任制限がかかる少し前のことだったけど、それから3ヶ月ほどでもう那珂ちゃんのレベルを99にしていたんだなあ、と懐かしい心地。
その後も川内型・古鷹型などを中心に育成して、雷巡・戦艦など主力になるべき艦を放置してたら、たしか14年秋イベ、横鎮提督のくせに主力艦育ってなくてイベント突破不能になるという屈辱を味わい、その後はわりとまともに育成するようになったんだっけ。

では早速比較を見ていきましょう。




レベルの数字のみ控えていたので、そのレベルになるために必要な経験値を記載。
2年の間に獲得した経験値量も計算した。



ここまでが、13年10月時点ですでにうちにいた艦娘。
一隻も欠けさせてないのが上級ベテラン提督の証でしょうか。

13年10月当時にはケッコンカッコカリも実装されてなかったもんだけど、今や私も、当時すでにLv.99に達していた那珂ちゃんを筆頭に、古鷹・加古・青葉・Bismarck・まるゆ・利根・妙高・扶桑・葛城・ItaliaとすでにLv.100以上が11隻。
しかし2年間、那珂ちゃんセンターはずっとブレることなく、最高レベルは常に那珂ちゃん。
この那珂ちゃんはチュートリアル建造で出てきたから、つまり私のプレイ歴=那珂ちゃんの艦歴となる。
まあ、横鎮でもなかなかいないくらいに大事にされてる那珂ちゃんといっていいでしょう。

逆に神通と川内は、この2年間あんまり使ってなかったな……





ここからは、前回集計より後に入手した艦娘。
確か磯風と朝霜が未入手だったんだっけな。あまり全艦娘を揃えられていた時期は多くない。

実装された艦娘もずいぶん増えたもんだなぁ……とトボけてみるけど、龍鳳より新しい文月とか、Bismarckより新しい夕立とか、妙なもんが散見されとりますな。
一時期は多すぎる駆逐艦を手元に置かなかったので。

長門が武蔵より新しいのは、建造255回目まで出なかったせいだよ。


Italiaと葛城がスピード婚だったけど、私は一時は大和葛城山の麓、豪族葛城氏の勢力地に住んでいたよしみがあるので、葛城は集中運用しましたね。
Italiaは趣味。



2年の間に獲得経験値が多かった、上位20隻は以上。
2年前時点ですでにLv.99だった那珂ちゃん、追随していた古鷹、どちらも引き続き重用してます。ICHIZU。

ちなみに2年前からいるのに一番経験値増えてなかったのは朧でした。うん……
若葉なんか2年前時点で多分一度以上出てるのに捨てられていて、それが今はLv.98なのに……

smc PENTAX-DA17-70mmF4AL[IF]買いました

東京にきて、頼まれで写真撮ることがある私なのだけど、その日も愛用のPENTAX K-01にDA21mmF3.2Limitedをつけて撮影に臨んだわけなんですが。
なんか撮るもの全部ピンぼけでどうしたんだ、と。

自分で簡単にチェックしてみると、MFで無限遠まで回しても、ピントが1mくらいに来ちゃう。それ以上いかない。
壊したーやばーい。

でまあ、その日の撮影はいつもポケット突っ込んでたRICOH R8で済ませたものの、さすがにいくらなんでももうちょっとよく写るカメラ忍ばしておかないとヤバいな、と、これはまあ別件。今度からOptio A30持とうかな……




で、リコーイメージングスクエア新宿に修理にいくぞーと思ったら、たまたま火曜日で休み。
んで火曜日やってるのは、浮間舟渡というところにある東京サービスセンターだそう。

窓口は空いていたので、待ち時間なくすぐに受け付け。
まず診断してもらうと、K-01本体には異常なし、DA21mmの方にヘリコイドのズレがでているせいでピントが狂っている、とのこと。ぶつけたか何かしたな……

まあほら、PENTAXユーザーなら常識だけれど、DA21mmF3.2Limitedは大傑作であって、これ使わないならPENTAX使わなくてもNikonやCANONでいいじゃねえの、って話になるから、当然修理しますわね。
修理費用は13000円くらい。ちなみに修理完了品の代引き発送をもって支払いとなるので、その場でマニー持ってなくても大丈夫だった。
10日後に完了予定、とのこと。


で、悪いことに、サービスセンターにアウトレット販売コーナーがあるんですな。
恐ろしいことに、ネットのリコーイメージングオンラインストアより安いの。

DA☆16-50mmF2.8が6万円ちょっと。実際安い。
しかし6万円は私には厳しい……と思ったら、隣にDA17-70mmF4AL[IF]が32800円である。税込みね。
あとMX-1が2万円であったのも心揺れまくったけど、今回はパス。


頼まれての撮影だと自由気ままに撮るわけじゃないから、趣味の単焦点一本じゃ苦しいことが出てきた。
だから標準ズームほしいな、と思ってたけど、DA18-55mmF3.5-5.6ALだと物足りないのわかってる。K-x買った時にキットでついてたけど、もう一声ー……って思ってた。
新型のHD PENTAX DA18-50mmF4-5.6が出てて、これは小さくてK-01に似合いそうだなと目をつけているけど、アウトレットには置いてなかった。新品買ったら3万円くらいする。
だったら、ちょっと前のとはいえ格上の小三元ズーム(大三元・小三元の由来はNikkor.comの記事参照を同じ値段で買うのはアリだ。

と逡巡してたら、K-01につけてサービスセンター内を試写していいよと言われて試してみて、完全に新品じゃないけどサービススタッフがフルチェックしてる、ただし保証は3ヶ月……と説明を聞いて、さらにはクレジットカード使えるということで、買いますといっちゃった。


で、サービスセンターのすぐ近くに、浮間公園という池のあるちょっときれいな公園がある。
もちろん、今買ったDA17-70mmF4の試写にもぴったり。

さらにサービスセンターで待ち時間が生じた時には、PENTAXやRICOHの最新製品を2時間無料で貸し出してくれて、公園を好きに試写してきていいというサービスもやっていた。いいね。
(今回の撮影は買ってからなので、このサービスは無関係)


さて、DA17-70mmF4をとりつけたK-01を持ち歩くと、かなりレンズがでかく感じられる。
平面に置いたら、ボディ底面よりレンズが出っ張る。
重量バランスも良いとはいえないけど、DA17-70mmは480gくらいで、標準的なもの。
TamronやSIGMAの近いクラスのレンズも、大きさも重さも大差ない。

発売当時に合わせるボディってK-7だったはずで、あれとならしっくりきそう。
その頃の小型軽量エントリーモデルだったK-xでも、あれは小さいなりにグリップはしっかりしてたから、K-01よりはバランス取れそう。
あくまで、バランス悪いのはK-01の方の問題だと思う。


それから、初めてSDM(超音波モーター)つきのレンズを使ったけど、音は静かだけど特に合焦が速いとは感じなかった。
K-01は元々オートフォーカスがだいぶ遅い機種で、その原因も、コントラストAFがまだこなれてなかったせいで、モーターの力不足とかじゃないと思う。


で、公園へ。
カスタムイメージは「鮮やか」で、シャープネスのみファインシャープネスに変更。
色収差は補正をオンにしてあるので、どのカットでも目立たなかった。

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70mm F5.6
テレ端遠景。一段絞り。露出オーバーはご勘弁。
クリックすると1920x1272の240万画素に拡大されるけど、それでもちょっと甘いのがわかると思う。

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70mm F7.1 トリミング
さっきのカットのAEB-1.0補正を等倍切り出し。
絞りが違うけど、より絞ってもこの程度。
正直だーいぶ甘いかなー。開放ならともかくある程度絞って、中央近くでだからなあ。
ズームレンズのテレ端で遠景というのは大体厳しいもんだけど……。

ただ、甘さ以外は特に破綻したところはないし、シャープネスの甘さも全体的に等しく甘くて、中央だけシャープで周辺がぐずぐずというタイプでもない。

テレの焦点距離も70mmとちょい長めで、35mm版換算107mm。
テレ50mm(換算76.5mm)とか55mm(84.5mm)より、もうちょっと望遠らしく使えるわけだから、まあなんとか許容してもいいかなあ。


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17mm F7.1
しかしワイド端は遠景まで整った写り。

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17mm F7.1 トリミング
同じカットを等倍トリミング。隅っこの破綻もない。
広角端はいい感じだ。

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36mm F7.1
ちょっと水平外して恥ずかしいけど、ズーム中域。
なんの破綻もない端整な写り。


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70mm F5.6
遠景だと甘いテレ端でも、近距離だとしゃきっとする。

ズーム全域で最短撮影距離は28cm、ワーキングディスタンスだと15cmそこそこ。
マクロとまではいわないものの、最大撮影倍率0.31倍もあるから、まあスナップ程度で寄れなくて困るようなことはない。



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70mm F22
試しに思いっきり絞ってみたが、別に回析ボケが酷い感じでもない。

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70mm F7.1
撮ってて感じたのは、ズームにしてはボケが綺麗な感じ。

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70mm F4.0
さすがに開放だと、ピント合ってるあたりでもほわっとするかな。
ボケはこの通り。いい感じ。

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17mm F6.3
広角端だとちょっと樽型歪曲しちゃう。まあ問題になるほどじゃないし、純正だから補正がきくけど。

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70mm F4.5
クロアゲハが止まったところを。望遠長めだと撮りやすい。

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17mm F7.1
広角端はやっぱり整った写り。

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17mm F5.0
F5.0だと、隅の方はちょっとだけ甘いかな。
それと、まあこのカットはどんなカメラでも厳しいとは思うけど、コントラスト強く出るレンズかもしれないな。こういう明暗差強いカットだと、えらく露出がシビアになる。これEV-1.7だけど、もっと下げてもよかったかも。


とりあえず今日の撮影は以上。

聞いていた話では、PENTAXにしてはずいぶん逆光に弱いレンズだという話だったけど、今回はそれほど問題出なかった。フードの効果かな。

わりと古いレンズだけど、写りもテレ遠景以外はよし、ボケ味は想定外の良さ。



まあ、今となっては商品の位置づけが半端な感もあるレンズだけれど。
高画質を求めるなら、ハイエンドといっても10万円以下で買えるDA☆16-50mmF2.8がある。
安さなら、キットレンズのDA L18-55mmF3.5-5.6とかが中古で投げ売りみたいに転がってる。
小ささや防水が欲しければ、DA18-50mmF4-5.6が出た。

5万円前後の中級クラスという括りでは、ほぼ同価格でよりズームレンジの広いDA18-135mmF3.5-5.6が出ている。
DA18-270mmF3.5-6.3なんて高倍率ズームレンズだって5万円ちょっと。

タムロンの17-50mmF2.8なんか25000円くらい。
シグマなんか17-70mmF2.8-4.0なんてもろにぶつけるようなもの出してて、これも4万円くらい。

その中で、DA17-70mmF4を選ぶ理由を見つけるのは難しい。
正直、DA18-135mmと比べると、テレ端200mm相当まで伸ばせることには大きな魅力を感じる。


まあ、私みたいに、ちょうど標準ズームがほしいところに格安の出物と巡りあった、なんて場合には、心配せずに買っちゃってOK。
PENTAX自慢のLimitedレンズみたいな、「このレンズを使うためにPENTAXを選ぶ」と言わせるような強烈さはもちろんないけど、標準ズームらしくソツのない一本だと思う。


「#好きな駆逐艦を6人挙げるとヤバさがなんとか」タグを勝手に集計しました

Twitterで流れてきたハッシュタグ「#好きな駆逐艦を6人挙げるとヤバさがなんとか」を、勝手に集計してみました。

12日午後9時40分ごろにタグを検索し、ヒットしたついーとから回答500件を集めました。

6人以上挙げているついーとは、7人目以降は無効票扱い。
改二・改・無印は区別しない。吹雪改二と吹雪改と吹雪を挙げているようなものは、吹雪1票と集計。
ヴェールヌイと響は別扱い。
駆逐艦以外を含むついーとは、駆逐艦のみ有効票としてカウント。
有効票500件です。




はい、じゃあいきなり集計結果いきます。


  1. 36票 時雨
  2. 30票 夕立
  3. 18票 春雨
  4. 17票 磯風
  5. 16票 天津風
  6. 13票 海風・浦風
  7. 12票 響・村雨
  8. 11票 秋月・電・五月雨・吹雪
  9. 10票 暁・浜風・早霜・舞風
  10.  9票 雷・不知火・初霜
  11.  8票 Libeccio・ヴェールヌイ・陽炎・照月・時津風・野分・叢雲・弥生
  12.  7票 綾波・敷波・望月・雪風
  13.  6票 朝潮・朝霜・潮・霞
  14.  5票 曙・卯月・江風・漣・三日月・睦月
  15.  4票 秋雲・荒潮・清霜・黒潮・島風・白露・長月・夕雲
  16.  3票 Z1・朧・如月・皐月・涼風・長波・初風・巻雲・満潮・深雪
  17.  2票 Z3・磯波・谷風・若葉
  18.  1票 朝雲・大潮・菊月・白雪・初雪・風雲
時雨と夕立はぶっちぎりだなあ……
村雨も含めて、そんなに人気が高いとは知らなかった。白露はあまり上がってこなかったけど。

私のような古い人間には、人気駆逐艦といえば第六駆逐隊かと思いきや、春雨やら磯風やら天津風やらの新顔に上に乗られちゃった感。
所属鎮守府別に集計できればまた違う結果になるかも。
とはいえ、ヴェールヌイと響を足せば20票。かなり。




集計には入れてませんが、私が好きなのは、Libeccio、五月雨、朝潮、初春、山雲、敷波です。
ガチロリの誹りを受けるチョイスかもしれないが、少なくとも私が朝潮好きなのは、世間的に「朝潮型はガチ」と言われるようになるより前からだぞ。横鎮提督舐めんな。

カメラのファインダー描写について

別に今に始まったことじゃないんですけども、アニメやマンガで、カメラのファインダーを覗き込んだ様子を描写してるシーンがあると、どうにもおかしな表示になってるのが多いんですよね。

現代の話でデジカメ使ってたりすると、現物すぐ参照できるせいか、わりとおかしくないのもあるんです。おかしいのも多いけど。
古いカメラになると、だいぶ苦しいのが増える。
まあ、事実と外してでも視聴者が飲み込みやすい描写にしてるとか、そういう都合があるのかもしれないなとも思いますが。

とはいえ、カメラ好きででもなければ、昔のカメラのファインダー内なんて知らない方が普通だとも思います。
マンガとかイラスト描いたりする人のために役立つかも知れないんで、私の知ってる範囲でまとめてみます。



特定のカメラのファインダーそのものじゃなく、時代に応じて想定されるファインダー表示を描いてます。
「正しい」ファインダーをズバリ描いているわけではないです。
同じ時代でも、メーカーや製品によってファインダー表示は違います。

絵やマンガの中に特定のカメラだと設定してるとか、設定しないまでもモデルにしたカメラがあるのなら、そのカメラの実物のファインダーを覗くのが唯一の正解です。

「舞台が80年代なのに、21世紀のデジカメのファインダー像を描いてしまってる」というような時代ズレ、「外見はレンジファインダーカメラなのに、ファインダーが一眼レフ」というような方式間違い、そういったことのチェックには使えると思います。


一眼レフカメラ

一眼レフカメラとはどういうカメラか、という説明はいらないと思うので省略。

ただし、デジタルのミラーレス一眼はここでは含みません。
デジタル一眼レフを、液晶ファインダーで使う場合も含みません。
ソニー製を中心に、外見は一眼レフカメラっぽいけど、覗きこんだら電子ファインダーが入ってるものも含みません。

フィルム一眼レフ、およびデジタル一眼レフの光学ファインダーについてです。


あ、一眼レフのファインダーで、シャッターを切った瞬間に見える様子は、「真っ暗になって一瞬で戻る」だけです。
黎明期に、「暗くなってから手で戻す」とか「シャッターボタンから指を離すと戻る」とかがあるだけで、以後ずっと現在まで変わりません。

「複数枚の羽根が画面外から出てきてそれが中央へと向けて閉じていき、閉じたら逆に開く」というのは、演出として非常によくありますが、そう見えることはありません。
あれは間違いあるいはマンガ表現です。

50年代・黎明期のウェストレベルファインダー

国産の一眼レフカメラが登場するのは、1952年(昭和27年)発売のアサヒフレックスⅠ型からです。
旭光学工業、後にペンタックスになって、現リコーイメージングのPENTAXブランド製品群のご先祖です。

とはいえ、50年代にはあまり一眼レフカメラは普及してません。
1950年代前半は、リコーが仕掛けた二眼レフカメラの価格破壊と大ブームが起きてます。
ニコンやキヤノンなどは、戦前から王者だったライカに追い付け追い越せと、距離系連動式(レンジファインダー)カメラを50年代いっぱいくらいまで作ってました。
他にももっと簡素なカメラもあったりするんで、50年代にカメラを登場させるのは、考証ちゃんとしないとツッコミどころだらけになりそうです。気をつけて。

で、50年代半ばまでに、アサヒフレックスのような一眼レフカメラを登場させる場合、まず、今の一眼レフのように、カメラを顔の高さに持ってきて覗きこむような使い方じゃありません。
ウェストレベルファインダーといいまして、カメラを腰のあたりに構えて、上からファインダーを覗き込みます。

ファインダーの表示は、次のアイレベルファインダー一眼レフと大体同じですが、左右が反転してます。


二眼レフカメラも、ウェストレベルファインダーを使ってることが多いです。
私二眼レフは正直全然詳しくないから、二眼に触れるのはこの1行だけとさせていただきます。

50年代末・アイレベルファインダー一眼レフ

1957年(昭和32年)に、旭光学工業がアサヒペンタックスAPを発売します。
これは、今の一眼レフカメラと同様、後ろから覗き込むと上下も左右も反転していない像が見える、アイレベルファインダーを搭載しました。
ここから、今想像する「一眼レフのファインダー」という形ができます。

最初の頃の一眼レフがどんな見え方かというと、こんなのだと考えられます。
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初期一眼レフ、ピントが合った状態
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初期一眼レフ・ピントがあってない状態
要は、特に表示がありません。

注意するとすれば、ファインダーのアスペクト比が3:2であること。
テレビ画面一杯だと16:9になっちゃって、実際より横長です。

ただし、比率3:2は135フィルム、今でも買えるあのポピュラーな写真フィルムを使った場合で、昔はもっと色んな種類のフィルムがありました。
特に、120フィルムを使う中判カメラというやつは、風景写真家とかが高画質の写真を撮るためによく使っていました。これは高さ60mmに、幅は45mm・60mm・70mmなど、カメラ側で使い分けます。
大型カメラを登場させる場合は注意。


それから、ピントが合ってないと像がボケるのは、一眼レフと二眼レフです。それと、デジカメの液晶ファインダー。
レンジファインダーカメラや、フィルム時代のコンパクトカメラは、ファインダーではボケません
ここ間違いやすい。

50年代末以降 マイクロプリズムスクリーン

で、上のような、単に全面がボケたりピントが合って見えたりとかするだけだと、ピント合わせるの難しいんですね。

ピント確認をしやすいファインダーが開発されます。
フォーカシングスクリーンという部品に工夫を凝らして、ピントが外れていることがよくわかるようにしています。

工夫の代表例のひとつが、マイクロプリズムスクリーンというもの。
ピント合ってないとこういう感じに見えます。

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マイクロプリズムスクリーン・ピントが合ってない状態
マイクロプリズムスクリーンは、ピントが合ってない時に、細かく互い違いの陰ができるようになります。
ピントが合ったら、この陰がすっと消えて、一様に見えるようになります。


私が子供の頃、親がペトリV6というカメラを持っていたんですが、このマイクロプリズムスクリーンでした。1965年発売。
1964年のアサヒペンタックスSPもこれ。
ちょっと古めのイメージかな。60年代っぽいというか。
でも、1971年発売のキヤノンの高級機F-1もこれだったそうで、何かメーカーがコダワリもって選んでたのかも。


60年代以降 スプリットマイクロスクリーン

スプリットマイクロスクリーンは非常にポピュラーです。
一眼レフカメラがマニュアルフォーカスだった80年代前半まで、主流はこれでした。

ピントが合ってないと以下のように見えます。
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スプリットマイクロスクリーン・ピントが合ってない状態

丸の外周部は、マイクロプリズムです。

内側のスプリット部がポイント。
ピントが外れていると、中央のスプリット部で像がズレます。
ピントを合わせていくにつれて、シャープに見えてくると同時に、像のズレもなくなっていき、やがてぴったり合致します。

スプリットとマイクロプリズムを両方備えているからスプリットマイクロ。

ピントが合うと、全体に一様に見えるようになります。
といってもまあ、実際にはピントがあっていても、スプリットやプリズムの外周円が見えます。完全に消えはしません。

だから、ピントが合った状態を次のように描いちゃっていいと思います。

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スプリットマイクロスクリーン・ピント合ってる表現
実際のマンガでも、◎に横線の表現はよく見ますね。


ちなみに、スプリットが水平じゃなくて斜め45度に切れているものもあります。
私が使ったことあるカメラだと、リコーXR500はそうでした。


60年代後半 内蔵露出計

カメラには、露出というのがあります。
フィルムに適切な量の光を送り込まないと、明るく写り過ぎて真っ白に飛んだり、暗すぎて何が写ってるかわからなくなります。
今のカメラでは、勝手にカメラが計って適当に露出を調整してくれますが、そこまで自動化されるまで長く時間がかかりました。

60年代前半までの一眼レフカメラでは、カメラとは別に露出計という、明るさを測る装置を使っていました。
しかし、同時に使うものなんだからカメラに内蔵したいと思うのが当然。

60年代半ばになって、一眼レフカメラのレンズを通ってカメラ内に入った光の量を測定し、それをユーザーに表示するカメラが出現します。
1963年に東京光学機械(現トプコン)から出た、トプコンREスーパーという機種が嚆矢です。

私の持ってたリコーXR500は、1979年とかなり後の製品ですが、「単に露出計だけ入っていて、露出の操作はすべて手動」という、60年代半ばと同じ機構の製品でした。
こういう手動カメラは、廉価品だとか、写真技術の学習用などに長く作られました。

そのXR500の露出計は、こういうシンプルな針で表示されていました。

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針式露出計・2針式

露出は、「絞り」と「シャッタースピード」のふたつの要素で設定します。

明るさが明るいほど針が上に上がる。
絞りを開くと、針が上がる。絞りを絞ると、針が下がる。
シャッタースピードを早くすると、○針が上がる。遅くすると、○針が下がる。
針が○針の中に入れば、露出はちょうどいい。

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針式露出計・固定表示式
単に、露出オーバーかアンダーかだけ表示するタイプもあります。
+側だと露出オーバーだから、絞りを絞るかシャッタースピードを早くすると針が下る。
-側だと露出アンダーだから、絞りを開けるかシャッタースピードを遅くすると針が上がる。
針が水平だと、適正露出。

PENTAX SPがこれみたいです。1973年の大ヒットカメラで、カメラ店のジャンクコーナーにいまだにゴロゴロ転がってます。


なお、露出計が入ることで、カメラに電池を入れるようになりました。
今もあるSR44みたいな酸化銀電池とか、当時は売られていた水銀電池とかを入れます。

でも、電池切れになっても露出計が動かなくなるだけで、撮影は引き続き行えます。他の部分はすべて機械的に動作してるので、電池はいりません。
次の自動露出世代からは、電池切れでシャッターが動かなくなる(ただし特定のシャッター速度だけは電池が無くても使える)とか、電気制御の部分が出てきます。

慣れた人なら、露出計なしでも天気とか日のあたり方で大体の露出を目測できるので、それを理由に露出計以外全機械式のカメラを好んで使う人もいました。
カメラ通の人物を登場させるなら、そんなことさせてもいいかも。


70年代 自動露出一眼レフカメラ

露出計が内蔵できるようになったら、今度はいちいち露出を手動設定するんじゃなくて、自動設定できるようにならんかな、と思うところです。
1971年にそれが完成し、自動露出機能を備えたアサヒペンタックスESが発売されました。

自動露出がついたら、別に露出計の表示はいらなくなります。勝手に合わせてしまうから。
しかしまあ、自動露出も手動露出もできるカメラが多く、手動露出用に表示が残ります。
また、当時一眼レフを使っていたようなカメラに詳しい人の心理として、「自動だからってどういう値になってるか不明では気持ち悪い」と思うこともあり、表示自体の省略は少ないと思います。
省略してるとしたら、70年代後半以後の自動露出専用廉価モデルだと思います。

また、自動露出の計算用にちょっとしたコンピューターが内蔵され始めてもいて、だんだんカメラが電子化しはじめます。
ファインダー内表示も、LEDによる表示が出始めてきます。


それから、70年代に一眼レフに自動露出が導入され始めた頃、業界はふたつの派閥にわかれました。
露出は「絞り」と「シャッタースピード」で制御しますが、当時の技術では、両方自動制御することはできませんでした。
なので、「絞りはユーザーが決めて、シャッタースピードを自動で決める」という絞り優先AEと、「シャッタースピードをユーザーが決めて、絞りを自動で決める」という速度優先AE、どちらかになります。

各メーカーの考え方とか過去作ってきた製品のしがらみとかで、陣営が分かれました。
ニコン・ペンタックス・ミノルタなどは絞り優先AE、キヤノン・コニカなどは速度優先AEでした。
当然ながら、表示も分かれてしまいます。


まず、絞り優先AEカメラの場合。

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絞り優先AE一眼レフカメラ
まず、自動設定されるシャッタースピードが表示されています。
緑LEDがついてるシャッタースピードに自動設定されています。

絞りは、というと、上に表示されてる 2.8 がそれです。
ただこの表示というのは、レンズの付け根にある絞り設定リングに刻んである文字を、直接覗きこむように投影してます。電気的な表示ではありません。
(これはつけるとコストがかかるので、高級モデルにある機構です。廉価モデルだと絞りはファインダー内に表示されません)

なぜ絞りは電気的表示じゃなくてそんな物理的な表示なのかは、なぜ絞り優先AEのカメラになってしまったかに繋がる理由があるんですが、まあこれは略。
電気的なデータとして絞りの値を取得できなかったから、電気的な表示もできないんです。


シャッタースピードの表示の方法は、この他にもいろいろあります。
LED表示じゃなくて、文字の並びを針で指し示すとか。
ファインダー枠外に文字を抜いてあって、裏のLEDが点灯すると見えるとか。
例は左側にしてますが、右側のもあると思います。

PENTAX MEというよく売れたカメラが、左側でLED式だったようです。

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速度優先AE一眼レフカメラ
速度優先だと、当然表示するのは絞りになりますね。

速度優先陣営でよく売れた、CANON AE-1が、右側で針式だったようです。
AE-1がモデルチェンジしてAE-1Pになったら、LED式になったみたいですね。


一部の高級機では、絞りもシャッター速度も両方表示していたようです。CANON EFとか。
CANON A-1なんかもそうなんですが、これは次の電子化カメラの表示に近いです。


絞り優先にせよ速度優先にせよ、初心者向けの廉価モデルとして、「オート露出のみ」「値の表示はしない」というモデルがあります。
ただ、その場合でも、「あまりにも暗すぎる」「あまりにも明るすぎる」といった、オートで対応しきれない状態にあることを示す表示は必要です。
そういう場合は、ファインダーの枠外下に赤いLEDが点灯するとか、簡素な表示にされそうです。

「70~80年代に、初心者向けの安い一眼レフを親に買ってもらった高校生」とか、そういう設定があるなら、そういう簡素な表示が適切かもしれません。
基本的に、ごちゃごちゃ色々表示してるほど高いカメラです。

80年代 プラ外装電子カメラ

70年代の絞り・速度優先AEの争いも一段落して、80年代には、絞りも速度も自動で決めるプログラムオートが出てきます。
今のデジタル一眼レフでも、プログラム・絞り優先・速度優先・マニュアルの4モードを選んで使えるのが当たり前ですが、それが80年代前半に実現します。

82年から83年くらいに、露出フルモードで外装がエンプラで、というカメラが各社から出てきます。
キヤノンTシリーズ、ペンタックスSuper A、ニコンFAとか。
エンプラの採用でデザイン自由度が高まり、今から見るとかなりすさまじいデザインのカメラが生まれたりもしてます。マンガに描いたら目立つと思う。

プログラムオートを実現するために、カメラにマイコンが入るようになりました。
よって、ファインダーの中もマイコン的になってきます。
ファインダーの中に液晶表示が出てきて、電卓などでお馴染みの8セグメント表示とかができるようになってきました。

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露出フルモード機・8セグ表示
簡素な描き方ですが、シャッター速度や絞りをこのように電子表示できるようになったのがこの辺、ということで。

LEDでバックライトをつけて、液晶で部分的に光を通してセグメント表示してる形です。
当時なんでLEDは緑か赤です。どっちもあります。

高級モデルだと、露出補正の設定値が表示されるとか、マニュアルモードで使うときのために露出計表示があるとか。
撮影済みコマ数をファインダー内に出してる、くらいはあるような気がする。

ただ、バッテリーのインジケーターは、わざわざファインダー内には入れないことが多いと思います。
この時代のカメラはまだまだ消費電力が低く、ボタン電池で相当長い間使え、電池切れにはそう頻々と遭遇しません。
電池が減ってきたら、ファインダー外の電源ランプが点滅するとか、あるいは警告なしに撮影不能になるとか、そんな感じです。ファインダー内に入れ込んだりはあまりしないと思います。

それから、ストロボ関係の表示もないです。
この頃はまだ、一眼レフカメラにストロボは内蔵していません。もうちょっとだけ先。


デート機能がついた一眼レフも、この時代に出てきてます。
古い写真でよく見かける、8セグの年月日が写真の隅っこに赤く焼きこまれるやつ。
コンパクトカメラだともう少し前、70年代後半からあったようです。

とはいえ、レトロな感じだからって、60年代の写真に日付入ってると間違いになります。
デジタル腕時計が売りだされたのは1969年で、これに近い技術がカメラに組み込まれるくらいこなれてこなくちゃいけないんだから。

デートも、ファインダーには見えません。
カメラ裏面に、デジタル腕時計みたいな小さな液晶がついて日付が出てます。これがフィルムに直接焼き付けるので、ファインダーには関わりません。


80年代後半 オートフォーカス化など

1985年(昭和56年)に、ミノルタがAF一眼レフカメラα-7000をリリース。
一応世界初のAF一眼レフは、PENTAX ME-Fなんですが、これは「こんなもん手でやったほうが早いわ」という代物で、売れませんでした。

α-7000は、実用的なAF。素人でも、ちゃんとピントが合った写真をボタン一つで写せた。
ユーザーもこぞってミノルタに乗り換え、αショックとまでいわれる事態が起きました。
他社もAF機の開発を急ぎ、数年で各社から出揃います。

オートフォーカスによって、ついに長年慣れ親しんだスプリットマイクロが消えます。


また、オートフォーカスの他にも、内蔵マイコンの進化で機能が増えました。
オートフォーカス自体、マイコンでの計算の賜物でしょうし。

露出については、今のデジカメにもあるシーンモードが追加されてきます。
できるだけ絞りを開いてボケを活かすポートレートモードとか、絞りを絞って被写界深度を稼ぐ風景モードとか。


それから、オートフォーカスのモーターを駆動するため、電源も小さなボタン電池から、単3・単4電池とか、CR123Aなどのカメラ用リチウム電池へと移行していきます。
そんなでかい電池が入ることで、内蔵ストロボが搭載できるようになります。


同じく電源強化により、ワインダーもつきます。
シャッターを切ったら、モーターでフィルムを勝手に巻き上げて次のコマまで送ってくれるやつ。
ワインダー内蔵以前は、レバーを親指で起こしてフィルムを送っていました。
あるいは、カメラの下部に外付けワインダーを取り付けました。相当大きく重くなるんですが、報道写真家とかの速写性が重要なところで使うものでした。

ワインダー関係は、アニメ・ゲームで音を間違えてることが多い気がします。
フィルムが存在しないデジカメなのに、ワインダーがフィルム巻き上げる音させちゃってるとか。「ぱしゃうぃーん」って。


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AF・ストロボ内蔵・シーンモード一眼レフ
ということで、80年代後半のAF一眼レフを想定して。
こんなに表示が多いのは、当時としては中級以上のモデルになると思いますが。

機能が増えるということは、その機能を搭載するかどうかも、その表示の仕方も、モノによってバラバラにななります。
廉価モデルだと機能も表示も削られますし、そうでなくても必ずしも最新式の表示にしているとは限りません。

ミノルタのα-3700iってやつは、「写す」以外の機能を全部削り落としたようなすさまじいカメラで、当然表示もほとんど何もありませんでした。
またPENTAX SFXは、廉価機でもない1987年リリースの機種ですが、シャッター速度表示は画面右枠外に並んだ数字をLEDで照らす70年代風でした。



スプリットマイクロが消えて、代わって現れるAF関係の表示は、「ここで合わせるよ」という黒枠だけです。
初期のAFは、画面真ん中の狭い1点だけを計って合わせています。
ピントが合っているかどうかの確認は、画面下中央のランプ。点灯で合焦、失敗したら点滅か消灯、って感じでしょう。

ストロボの表示は、「ストロボの充電が終わってるので、今ならシャッター切れば使えます」みたいな表示。
今のデジカメみたいに、ストロボをどのように光らせるか、禁止するか、という表示とはやや違います。


枠外の情報表示に関しては、もう現代のデジタル一眼レフと、表示すべき内容も表示方法もほぼ変わらなくなってきます。
80年代後半~90年代の高級フィルム一眼レフの表示であれば、現代のデジタル一眼レフとほぼ同じにしても、そう大きな間違いにはならないと思います。
ホワイトバランスとISO感度は出さないこと、撮影枚数が36枚以上にならないこと、くらいです。


90年代 多点AF・測光モード・パノラマ

90年代なかばくらいのフィルム一眼レフは、もっとインテリジェントになっていきます。
まあちょっとネタ切れ感もあり、マニアでないと価値が理解できない機能(PENTAXのハイパープログラム・ハイパーマニュアルとか)、マニアでも使い方に困る機能(ミノルタのオートズームとか)、そういうものもありましたが、実用的な進化もあります。


実用性の高い機能としては、AF測距点の増加。
画面中央1点だけだと、撮りたい対象が中央以外にあるときに困ります。人物ふたり並んでる写真とかが代表。
それで、中央の他に左右にも距離を測るポイントが追加されました。
3点とか、5点測距くらいがポピュラー。プロ用で11点とか。

その複数点のどれを使うかの選択に関しては、キヤノンは視線が向いてる先を認識してその点を使うなんてサイバーなことをやってます。
他社はまあ、単に一番近距離な点を使ってたりとか。


それと、多分割測光や測光モード切り替え。
自動露出の露出計は、画面全体を平均的に測るものが多かった。
ですが、普通に人物写真を撮ったら、背景の上半分が明るい空になり、その明るさに引っ張られて人物が暗く写ったりしがち。
そういうのを踏まえ、画面を上下ふたつ、時代が進むともっと細かく分割し、インテリジェントに判断して適切な明るさを測るようになります。

また、「特に一部分の明るさを重視する」というスポット測光を、使いたい時に切り替えて使えるようになったりも。
まあこれは、AFより少し前からある技術ですが。


実用性は低いと思うんだけど、なぜか当時各社こぞってつけてたのが、パノラマ。

今ならデジカメやスマホでも、横に並べて撮影した複数枚の写真をつなげて、横長の幅広写真を生成したりします。
アナログでそんなんどうやってやるのかというと、単にフィルムの上と下を一部マスクして写らなくしますね。
それで、横幅2倍(比率3:1)の用紙にプリントします。
別に広い範囲写ってるわけでもなんでもないけど、横長になった写真の完成。
なんでこんなの流行ったのかな……

ちなみに、本当に広い範囲が写るパノラマカメラもありますが、それ専用のモノになります。
普通のカメラをスイッチひとつで切り替えて実現できるようなものではないです。

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5点AF・スポット測光枠・パノラマ 

多点AFになると、どの点にピントがあってるかわからなきゃいけないので、ピントが合ったら合わせた点にスーパーインポーズで表示されます。
赤く点灯するのがポピュラー。

AFは他に、ワイドAFとかエリアAFという、広い範囲を見ながらピントを合わせるアプローチもあります。点から面へ。
そういうのは、横長だったり大きかったりするAF枠が描かれます。


真ん中のマルは、スポット測光のときはこれくらいの範囲で明るさを見ます、という表示。


パノラマ機能は、手動でON/OFFできます。
もしかしたら、当時は使う人も結構いたのかも。今の感覚じゃ常時オフにしますけど。


現代 デジタル一眼レフ

で、現代のデジタル一眼レフに至ります。

デジタル一眼レフでも、ファインダー内は大きくは変わりません。
AF測距点やシーンモードが増えてるとか、ISO感度やホワイトバランス、バッテリーインジケーターの表示が増えるくらいかな。
撮影可能枚数が桁違いにふえたりもします。


90年代フィルム一眼レフだと、廉価モデルは機能・表示の省略が多く見られ、全情報を表示するのは高級機に限られますが、デジタル時代だとわりと廉価な機種でもほとんど全部表示してます。
PENTAX K100D Superの製品ページにファインダー内のイメージがありますが、廉価モデルでさえこれほど詳しい表示になってます。


注意点としては、デジタル一眼レフの光学ファインダーでは、ISO感度やホワイトバランスなどの変更は、見え方に影響しません。
撮影画像のアスペクト比を、3:2ではなく16:9とか4:3などに変更できる機種もありますが、これも光学ファインダーには影響しません。

顔認識機能も、光学ファインダーでは使えません。(一部機種は制限付きで使えるみたいですが)
ミラーレス一眼の液晶みたいに、顔を拾ってそこに枠が出るとか、そういうのは無理です。


また、ソニーαとかオリンパスOM-Dみたいに、一眼レフに見えるミラーレス一眼がありますが、あれの覗き込みファインダーは中に液晶画面が入ってます。
これの表示は、一眼レフの光学ファインダーとは異なります。


ファインダーのアスペクト比は、多くは3:2で変わらないですが、オリンパス・パナソニックのフォーサーズ機の場合は4:3です。
これは元々そういう作りで切り替えではないので、ファインダーも4:3です。


レンジファインダーカメラ

一眼レフの話は長かったけど、あとは手短に行きますね。

戦前、世界を席巻していたカメラといえば、ドイツのライカでした。
まあライカも色々ありますが、レンジファインダーカメラ、日本語で距離系連動式カメラというのをやっていました。
日本の一眼レフが勃興することで過去のものになっていき、国産高級モデルは60年代末にリリースが終わり、70年代にはカメラマンも一眼レフに移っていくようです。

ファミリー向けには、でかくて重たい一眼レフと違い、コンパクトで持ち運びやすく操作も簡単なカメラとして長く使われました。
77年にコニカがオートフォーカスのコンパクトカメラを出し、各社が一斉にそちらに移行するまで続きます。


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露出計つきレンジファインダーカメラ、40/90mmフレーム
ピントが合ってない状態
レンジファインダーカメラの特徴的な部分は、二重像合致式のピント合わせです。

ピントが合ってない状態でも、ファインダーの映像はボケません。
代わりに、画面中央に投影されている距離計の映像が、ファインダーの映像とズレています。
ピントを合わせていくと、このズレが小さくなり、重なったところがピントの合う点です。


また一眼レフと違って、望遠レンズをつけてもファインダーの映像は拡大されたりしません。
ライカなどのレンズ交換式レンジファインダーカメラの場合は、40mmレンズならこの範囲、90mmレンズならこの範囲といった、写る範囲を示す枠が出ます。
枠はブライトフレームといわれ、明るく黄色く光ります。

上の例は、ライカCLというカメラに90mmレンズをつけたところに倣いました。これは40mm枠が出っぱなし、あとはつけたレンズを認識してその枠が出る、となっているそうです。
他にも、常に複数の枠が出っぱなしのもの、つけたレンズの枠だけしか出ないもの、ファインダーごと交換するもの、色々あるようです。


レンズ交換式ではないレンジファインダーカメラは、国産普及品を中心に数多くあります。
その場合、撮影範囲の枠はひとつだけです。

たとえレンズ交換できなくても、「ファインダーで見える範囲が映る範囲」とはしていませんでした。
写る範囲よりやや広い範囲が見えるファインダーと、映る範囲を示す枠を表示します。


上の画像では針式露出計も描いてますが、これもない機種が多いです。
一眼レフカメラと違って、レンジファインダーカメラでは自動露出が60年代から早々と実用化されています。
自動露出なら表示の必要もないので、省略されがち。


上の例は結構高級なものということになります。
一般的なものなら、二重像合致と、撮影範囲の枠、それさえ抑えれば十分それっぽく見えるでしょう。


コンパクトカメラ

コンパクトカメラって地味に定義がはっきりしないんですが、「オートフォーカス以後の、シャッターを押すだけで撮影できるフルオートカメラ」としておきます。


ピント合わせ関係の表示は、オートなので最低限です。
ファインダーの外・すぐ右に、小さな赤・緑のLEDランプがついてます。
緑のランプが点灯していれば、ピントが合っていて撮影OKです。

画面中央にAF枠が出てる機種もあります。

赤ランプは、暗いから手ブレするぞとか、ストロボ充電中だぞとか、そういう表示に使ってます。
統一規格あるのかな。



撮影範囲の枠がふたつ、ズレてついてるのは、これは近距離撮影のときのためのものです。
近距離では、ファインダーで見える範囲と実際に写る範囲の違いが大きくなり、また中心もズレます。

ファインダーがレンズの真上についているなら、下にズレるだけなので、近距離枠も下にずらすだけです。
ファインダーがレンズの斜め上についてると、横にもずれるので、このような近距離枠になります。


これはレンジファインダーでもそうなんですが、「ファインダーで見える範囲=写る範囲」とはしないのは、覗きこんでる時にはファインダー外枠はボヤけて見えるからです。
こっちの画像だけ外枠のボヤけを再現してますが、レンジファインダーカメラでも起こるはずです。

一眼レフの場合は、外枠はファインダー接眼部の枠ではないので、ボヤけません。


80~90年代のファミリーカメラはこんな感じです。
90年代の黎明期のデジカメも、液晶ファインダーではなく光学ファインダーを使う前提になっている機種があって、そういうものではこんなファインダーでした。


低価格カメラと、デジカメの光学ファインダー

写真フィルムって優秀なもので、実のところ、別にピントを合わせたり露出を合わせたりしなくても、適当にシャッター切ったら、それなりには写せます。

究極的なのは、写ルンですのような使い捨てカメラ。
ピントは大体どこにでも合うように。
露出も大体いつでも合うように。夜になったらフラッシュ光らせる。

使い捨てでないフィルム交換可能なカメラでも、写ルンですと同等の撮影機能だけ備えた簡素な超廉価モデルがありました。

こういうのは、シャッター押すだけしか操作がないから、ファインダーにあれこれ表示する必要もない。


もう少し凝っても、ピントを「人の写真を撮る」「集合写真を撮る」「景色を撮る」程度の大雑把さ、露出も「晴れ」「曇り」「室内」から選ぶだけ、という程度のカメラが古くからありました。



この手のカメラは、ブライトフレームもない外枠だけのファインダーです。
物によっては、レンズすら入っていない素通しの覗き窓です。
そんな厳密な撮影するわけじゃないんだから、これで十分。
フラッシュがついてるモデルだったら、フラッシュ充電中のランプくらいはあるかも。


それから、コンパクトデジカメの光学ファインダーも、大抵は枠だけでした。
大体2005年くらいまでは、コンパクトデジカメにも覗きこむタイプの光学ファインダーがついていました。
液晶ファインダーと違ってバッテリーを消費しないので、電池が弱かった時代には有効ではあったんです。

ただ、あくまで緊急用っぽい扱いだったのか、内容は極めて貧相でした。
ブライトフレームのないただの枠で、表示も脇の緑/赤LEDランプだけ。
一応ズームすると合わせてズームするものの、見える範囲と映る範囲がだいぶズレてるし、小さくて見づらいし……
で、消えていきました。


表示がなさすぎてマンガやイラストに描くのが難しい気はしますが、ボヤけた外枠を描くくらいですかね。


デジカメの液晶ファインダー

現物見てください。以上。
多機能すぎて、代表例にまとめるとか困難で。



まとめ

長々やったんで表にまとめました。


この記事が、「なんでレンジファインダーなのに一眼レフみたいにファインダーボケてるんだよ」とか私にケチつけられる人を減らすことに役立ちますように。

ゆるゆり=極左アニメ

前から提唱してる陰謀論なのだけど、ゆるゆりは共産主義革命の諦められない極左過激派の夢がサブリミナル的に織り込まれた作品であると。



そもそも、主人公があかりだなんて、「アカ」を二重にしたあまりにも共産主義的ネーミングである。
「もしかしてあれは極左過激派の陰謀では……?」と日々あらゆる物事に警戒心を持っているなら、アンテナが反応しそうなものだ。
気付けないとすれば、過激派の用語や行動についての基礎知識が足りないのではないだろうか。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。極左の暗躍に立ち向かうには、しょうもないサヨクの失言をネットでおちょくるようなことではなく、正しく敵を知り的確に戦うべき。


アニメや原作のワンシーンを証拠として挙げるのはめんどくさいので、とりあえず主題歌・エンディングなどの歌詞を見ていこう。

一期OP・ゆりゆららららゆるゆり大事件

リンク先は歌詞タイム。

実に、パっと見ただけで非常に左翼的、学生運動家的な歌詞だとわかる。
わからない?それならまず、立花隆「日本共産党の研究」「中核vs革マル」を読んで基礎知識を身につけよう。

まず、タイトルの「大事件」。極左が数々の大事件を世界規模で起こしてきたことは常識だ。
今日明日大爆発」というのも、極左が連日のように爆弾闘争を行っていたことを示す。

部活動本番」で「学業本業なにそれ?」。
これは、過激派セクトが部活動を装って学校に巣食っている状態を示す。
学校をバリケード封鎖して学業をボイコットするのも、学業より活動を優先する学生運動家がよくやっていたことだ。
その後にすぐ、「そんなのぜんぜん食べれない」と続く。これは当然、学費値上げにより生活が困窮して食事にも事欠く、という学生たちの抗議が、学校封鎖といった過激な学生運動の原因であったからだ。

近所のワンコと格闘」、というのも、それはもちろん権力の犬たる警官との乱闘を指す。
このフレーズが特に前後と脈絡なく飛び出すのも、警察のほうが脈絡なく難癖をつけてきている怒りを表現しているといえるだろう。
あいつはどこぞのセクトの人間だから逮捕しよう、となれば、その人間の前で勝手に警官が転び、「こいつに転ばされた公務執行妨害だ!」と現行犯逮捕する。ワンコの常套手段である。

そして最後のフレーズが「革命起こして卒業」。もはやいうこともない。


一期ED・マイペースでいきましょう

こちらは、さほど極左っぽくは見えない。
が、注意深く見るとそうでもない。注意力は大切である。

まず、「髪型なんて気にしない」とか「お色気勝負はだめですよ」といった、女性の性的アピールを否定するような言葉が目につく。
連合赤軍の山岳ベース事件において、女性同志が化粧や指輪などのアクセサリーをつけて男性幹部を誘惑している、といった見解が、総括の理由とされた。
このことであれば、あまりにも恐ろしい。連合赤軍については、日本共産党どころか革マル派などでさえ否定している異常集団であるのに。

しかしまあ、曲全体のノリから見て、まさか連赤肯定の超過激ソングだとは思いにくいのも正直なところだ。
あまり女性性を利用するのは男女平等に反しますよ、という程度の意味合いだろう。


むちゃぶり」「ねたふり」「うけないくらいじゃくじけない」。
これはもちろん、アジ演説を行うときの心がけだろう。
一般の小ブル市民には、革命の理想は無茶ぶりに聞こえるかもしれない。そういうネタ振りである以上、その場では受けないことが多いのはしかたない。しかし高邁な理想はいつか結実し、市民の連帯を勝ち取れるはずである。決してくじけてはいけないのだ。

君と毎日会えるこの奇跡」。
左翼は「連帯を求めて孤立を恐れず」というが、目の前の同志と連帯を求めて得られているその奇跡は大切にしなければいけない。
極左の何より大切なことであろう。それを忘れた結果が内ゲバからセクト間の凄絶な対立、そして総括へと繋がり、新左翼は瓦解したのだ。

この曲が「マイペースでいきましょう」というタイトル。
今はすっかり弱ってしまった左翼たちに送るエールのような、応援ソングではないだろうか。

二期

で、二期は急に、OP/EDともに極左の陰謀っぽいフレーズが消失する。
スタッフにレッド・パージがあったのだろうか?


三期OP・ちょちょちょ!ゆるゆり☆かぷりっちょ!!!

リンク先はうたまっぷ。

二期大人しくなって、ゆるゆりスタッフの間でも左翼が内ゲバで自滅したりしたのかと思ったら、三期でまた極左ソングが帰ってきたのだ。


冒頭からいきなり「空いてる部屋をハイジャック」に「夢のアジト作りましょ」。
これだけであれば、カルト宗教系の偽装サークルかもしれない。
が、「ハングリー精神」「せんべー布団」といった貧乏臭さは、カルト宗教系の隠れ蓑サークルとは趣が異なる。間違いない。これはもう過激派セクトだ。


毎日ドタバタ交信中」とは、これ私最初は「行進」だと思っていて、だったもう間違いなくデモ行進のことだろうと考えた。が、交信であるようだ。
交信にドタバタするというのは一見ヘンである。
だが、極左セクトであれば電話などは公安に盗聴されていると考えたほうがいいわけで、メッセンジャーがドタバタ行き来して機密事項をやりとりするのは、それこそ戦前の共産党からよくあることだった。(太宰治も小説に書いている)

あるいは、もっと恐ろしい解釈もある。
かつて、警察無線というのはアナログで、市販の無線機で簡単に傍受できた。私の父も、趣味でよくワッチ(傍受のこと。当時は違法でもない)していたものだ。
しかし、警察無線のデジタル化とともに、一般人が民生品の無線機で傍受するようなことはできなくなってしまった。
ところが、革マル派が警察無線の暗号化をデコードすることに成功した、という情報が流れている。
警察無線であれば、そりゃ交信内容も毎日ドタバタしているだろう。
なぜ、ごらく部はそんな交信を知っているのか……?

ノーベル賞」というフレーズもかなり脈絡不明に現れるが、ノーベル賞受賞者が左翼的運動に参加していることはよくある。
日本では大江健三郎氏が有名であろうが、他にも、中性子の発見で物理学賞を受賞したジェームス・チャドウィックなど、反核運動に携わる受賞者も多い。


それから「まくら投げ」。
歌の内容だけだと、まくら投げという名の壮絶な暴力闘争を行っているように見える。

ところで、極左活動家の「ヘルメット・マスク・角材(ゲバ棒)」という典型的スタイルを思い出してほしい。
角材のゲバ棒とは、一見すると確かに武器のように見える。だが、実はあんな安手の細い、しかもかなり長い木の角材なんて、実は殺傷能力は大してない。殴ったら折れる。警官の警棒には全く太刀打ちできず、いわんや機動隊をや。
これは元々、わざと殺傷能力の低いものを選んでいたからだ。しかも、安くて大量に調達でき、長くて威嚇効果も高い。
他のセクトと政治的見解が対立しているとはいえ、殺したり大怪我させたりまでは本意ではない。だからゲバ棒で威嚇し合い、時に怪我なく殴りあう。それが内ゲバだった。
実際、殺す気でやるようになってからは、鉄パイプとかゴルフクラブとか持ち出している。

歌の中でのまくら投げは、みんな怪我をすることもなく、疲れ果ててゲームセット。
これはつまり、ゲバ棒で殴りあう程度の、互いに怪我をしない・させない清く正しい内ゲバの姿を示している。


空気は読むより作るもの」とは、まったくもって左翼のあるべき態度だろう。
革命情勢という社会的な空気は、読んで待っていてもやってこない。作りださねばならないのだ。

2015年、大いなる理想のために、ゆるゆり=極左革命アニメが帰ってきた。

blog移転します

 一身上の都合により、WordPressを勉強することになりました。
 そのため、今までbloggerで運営されてきたこのサイトですが、WordPressを使ったblogに移行することにしました。

 http://sfrenatezze.com/wordpress/ が新blogのアドレスです。
 あまりにもアドレスが不細工なんで変更しました。

 http://blog.sfrenatezze.com/が新blogのアドレスです。

 「バジル」というタイトルになってます。本当にまったく意味ないですけど。


 過去記事の移設は行いません。
 新blogに、このblogの人気記事へのリンクをまとめた傑作選を用意しています。


 特にこちらに新記事を書いたりすることはなくなる予定なので、RSSフィードの移行など、新blogのほうへどうぞ。

 そういうことでよろしくおねがいします。


Reader Storeの入荷リストの改悪

私は結構前からSONY Readerを愛用してるもんで、いかなシェアが低かろうと、ずっとReader Storeを利用していた。
夜になるとサーバーが重いとか、入荷ペースが遅いとか、不満があるといえばあるのだけど、やっぱり電子書籍は一度客になったところからは離れづらい。
なんたって端末の出来が好きなので、SONY Readerを使うこと自体は満足している。


が。
ちょっと引っ越しでごたごたしていて、しばらくぶりにReader Storeの入荷リストを表示させてみると、これがまた酷い改悪。



Reader Storeの入荷リストって、以前は、単にテキストでずらっと一覧が出ていた。
入荷日ごとに区切られて、それが「コミック」「雑誌」「書籍」で区切られ、さらにコミックはレーベルなどで、書籍はジャンルなどで区切られたリスト。
本一冊の情報は、書名と著者名と出版社と価格を書いただけ。

ほんとに味も素っ気もない、字だけにしてももう少し見栄えする表示の仕方がありそうな感じがする代物ではあった。
10巻以上続く作品が一斉入荷されたら、並び順が1・10・11・12・2・3……とかになっちゃってたりするカッコの悪さ。
よくわからないカテゴリ分けされてることも多かった。何でその作品がSFなんだよ、とか。

当然のことながら、見づらい。と思われていた。
私も、新刊リストで見落としたものを、後でたまたま検索で見つけたりしたこともある。


それとは別に、カテゴリ検索に「新着」というのがあって、そっちだと書影入り一覧表示ができた。
ただ、私にはページあたりの情報量が少なくて、少々鬱陶しい。
これはほとんど使ったことなかったな。



そこで今回の「入荷リスト」の改訂。
もしかすると、これまでの「新着」カテゴリの内容が出るようになっただけかもしれないけれど。


開くと、こういう表示になっている。
一見すると、書影付きになって見栄えがよくなったわけだが。

これがまあ、利用に支障があるレベルでダメだった。


上の画像は、開いた直後の表示。
これを、ずっと下にスクロールし続けると、こんな表示になる。



すべてを一括で読み込んでしまうんじゃなくて、ページ下端までスクロールすると逐次追加読み込みされるようになっている。Twitterみたいなやつね。
これが、前から重いReader Storeのことで、追加読み込みが引っかかってやたらと待たされることがよくある。
長いと1分くらい待ったりする。スムーズにいっても5秒くらい。
(但し、今うちの回線は1Mbps以下なんで、スムーズに行って5秒というのは、回線が良ければもっと縮まるかも。でも分単位の待ちは向こうのサーバーレスポンスの問題だろう)

それほど大量に一気に読み込むわけではないから、送っては待ち、送っては待ち、かなりテンポが悪い。


また、表示されている書影の行ごとの間隔がやたらと長くなっている。
雑誌やアンソロジーなどで、著者欄に何人も書かれて無闇矢鱈と長い本がたまにある。
そういうのが出ると、それを表示しきれるように行間隔が変更され、すでに表示している部分を含めてすべて行間隔を伸ばしてしまう。
それで、表示がこのように間抜けになる。
さらに、読み込み・再表示が行われた直後に表示位置が飛んで、今まで自分がどこを見ていたか見失う。


そして最悪なことに、表示冊数が増えるほど、どんどんブラウザが重くなっていく。
多い週で2000冊以上入荷するのに、ざっと500冊くらいで目に見えてスクロールが遅くなる。
こちらの環境は、chromeにCore i7-3517Uとメモリ4GBだ。
電子ブックストアの新刊リストを表示させて重いというのを、スペック不足に帰するほどプアな環境でもないように思う。

多くなれば重いなら、絞り込みで一度に表示する数を減らせればいいのだけど、絞り込みが大雑把すぎる。
画像にも出ているけど、全部で1500冊ほどあって、コミック500冊・雑誌100冊・書籍900冊の3つしか絞り込み範囲がない。



つまりは、壊滅的に一覧性が悪くなった。
見るのに時間ばっかりかかる。

これ作った人、使ってみて使いづらいと感じなかったんかな。
あるいはもう、「書影付きじゃないとカッコ悪いから付けろ」と上から強要されて、こうするのが精一杯だったのか。


まあこんな言い方すると装丁の方に悪いのだけど、そもそもこんな小さな書影は、情報としてどれほど役に立つだろうか。
コミックにしても、絵の好き嫌いを判断できるほどの大きさには見えない。
書籍、特に決まったフォーマットの表紙になっている新書なんか、最初からタイトルと著者名しか書いてないわけで、それならテキストでよくないか。


「今後の配信予定リスト」は、過去の入荷リストに似た表示なのだが、こんな内容。
確か、過去の入荷リストだと、対応端末の表示がなくて、もう少し窮屈に表示されてたかな。
いずれにせよ、これで十分だと思う。
少なくとも、ざーっと見るのは圧倒的にやりやすい。



というか、入荷リストにしても検索にしてもカテゴリ表示にしても、書影なしのリスト表示モードがあればいい話だし、それが実装されてないのがいかんよなあ。
私の感覚だと、あって当然なのだけど……

サーバーのレスポンスがもっと良ければマシになるけど、Reader Storeが重いのはもう何年も前から、それこそ私がPRS-T1を買って以来ずっとだから、サーバー増強する余力もないんだろう。

せめて、絞り込みをもっと細かくできれば、大量に表示させてブラウザが重くなることだけは回避できるのに。
どっちみち私がハーレクイン買うことなんてないんだし、多少は時間ロスも減らせるし。


しかしほんとこれ、現状のだと、本当に新刊チェックをやってられない。ひどすぎる。
このままじゃ、Reader Storeから買うのやめてオール自炊にしてしまうぞ。

ぷららモバイルLTE定額無制限プランを主力回線にする

blogタイトルを変えたとおりで、大和国に引っ越しました。

割といい年なのに機会を逃してずっと実家ぐらしだったもんで、今回一人暮らしも初めて。
だからいろいろ要領の悪いことばっかりやってるわけですが、それは後にして。

我々ネットなしでは生きられぬ人間は、まず回線がないといけない。

●前提

しかし、借りてるのが一軒家。(ひとりなのに)
マンションとかなら部屋まで来てるから契約だけ、とかで済みそうなんだけど、一軒家となると、どんな線がどこまで来てるかよくわからん。

それに、実は父親が某通信会社系列に勤めてるもんで、実家のネットワークと携帯電話はいつもそこのサービスで事実上固定。
選択から設置、設定まで全部勝手にされちゃって、私が口挟む余地が全くなかった。
おかげで私、選定からやった経験がない。


で、何か引くにせよ引かないにせよ、開通まで空白期間ができるのは確実。
よって、引っ越してからしばらく、前から使ってるモバイルルーターと、OCNモバイルONE 70MB/日プランのMVNOで一時しのぎ。

でも、PCで70MBは一瞬で終わってしまう。
プラン変更といっても、最大で4GB/月。
週末に持ち出すタブレットだけ、とかなら十分だろうけど、毎日PCで使って月に4GBとか足りるわけがない。


どうしたもんかー、と思えば、ぷららモバイルLTEの方に、3Mbit/sの速度制限で、そのかわり通信量での制限がかからない、というプランがあった。月額3000円ほど。
3Mbit/sだったら、初期のADSLくらい。
どうせ相手サーバー側の速度もあるんだから、数字上の速度は100Mbit光の1/33だけど、実効速度としてはそんな差にはなるまい。
贅沢いわなきゃ足りるんじゃないか?

また、ダメで結局光ファイバーなりを引くことになっても、外で使うのによさそう。
私は電話会社回線のスマホ持ってないし、持つ気もないので、どっちみちMVNOの回線はひとつほしい。


そんなわけで、注文。


●注文時

注文はふつーにネットから必要事項を登録するだけ。

ただ、私の持ってるモバイルルーターNI-760S(過去記事)はいわゆる標準SIM なのだけど、ぷららでは標準は提供しない。microかnano。
まあ、でんでんタウンでmicro SIMを変換するアダプターを買ってきて解決。

発注したら翌日には発送されていた。


私の場合は、もうモバイルルーターがあるから初期費用は手続料金だけ。
なかったら、セットで割引してくれるキャンペーンをやっていた。


●速度

自宅では、LTEの電波はやや悪くアンテナ2本。3Gだとアンテナ4本フル表示。
それでも一応、LTEのほうが速いかな。LTEで800Kbpsくらいは出る。3Gだと500Kbpsくらいだったかな。

持ちだして電車に乗っちゃえば、電波が強まって3Mbpsきっちり出る。


とはいえ、ぷらら無制限の実効速度って、ユーザー増加と回線増強のタイミングで良くなったり腐ったりと波があるという話。
今後上がるのか、まだ下がるのか、現時点では不明。

まあ、この程度の速度であっても、画像一枚が一瞬で出るか、上から表示されてくるのが追える(場合もある)か、というくらいの差でしかないので、さしあたりは十分か。


●ひかりTV

契約に、ひかりTVエントリープランの利用権も含まれていた。

こんなん使えるんやろか、と思いきや、案外大丈夫な感じ。
多分500kbpsくらい出てれば足りる。画質はそれなりだけど。

もっとも、それほど見れる番組が充実してるとはいえないか。私が見る番組が偏ってるってのもあるだろうけど。


奈良県ではサンテレビ・KBS京都とも入らないので、UHFアニメに弱い。
今期でいうと「艦隊これくしょん」とか「アイドルマスターシンデレラガールズ」、あとは「実在性ミリオンアーサー」が映らない。
なんとかネットで補えるといいのだけど……

ニコニコ動画とかバンダイチャンネルとか、ネット動画を幾つか試してはみたものの、やっぱり回線速度が頼りなくて厳しい。
ニコ動の場合はサーバー側な感じもあったけれども。
バンダイチャンネルの方は、多分ちゃんと3Mbps出る場所でなら、という雰囲気。うちの実効800Kbpsだとわずかに回線負けする感じ。


●DNS

使っていて、なんか遅いことがあるなー、と思えることがあった。
通信速度はともかく、レスポンスが悪い。

そんな時に、Chromeの表示をよく見ていると、「ホストを解決しています」で待ちが入っていることが結構ある。
もしかしてDNSサーバーが鈍いんじゃないかと思い、GoogleのパブリックDNS (8.8.8.8 / 8.8.4.4)に設定してみると、結構体感速度が上がった感じ。
自動設定されるぷららモバイルのDNSよりは、Googleのほうが速そう。


●データ通信量

2月8日昼から14日昼までの6日で、4.42GBになっていた。
そんなにガリガリダウンロードしたつもりはないのだけど……

別に、この程度の量では制限などはないみたい。
やっぱりPC用に数GB程度のプランじゃダメだなあ。


●まとめ

21世紀になった直後、初めて「ぶろーどばんど」とかいってやってきたフレッツADSLが1.5Mbpsで、実効速度が3~400Kbpsだったもんだけど、それを思い出すような速度感。
実際の速度は今回のほうが速いけど、以前のADSLは64kbpsのフレッツISDNから乗り換えだったから、感動的に速かったもんだけどね。

今となっては、遅いといえば遅い。
けど、リアルタイムな通信速度が求められるのは動画くらいのもの。
動画にしたって、あまり高画質なのが無理なだけで、画質を下げれば十分見られる。
私は元々あまり見る習慣がないから、特に問題にはならない。

ある程度速度がないと、ウェブが重くなってる現代ではブラウジングすら苦しいけど、3Mbpsあれば概ねOKだと思う。
200Kbpsで画像の多いページを表示させて、読み込みきれずにタイムアウトする画像ファイルが出ちゃうのは、まあ仕方ない。
けど、実効800Kbpsくらい出ていてそうなるほど画像が重いウェブサイトがあるなら、それはサイトのほうが悪いと思う。
私が使う範囲だと、使いものにならないほど重いサイトはなかった。

大きなファイルのダウンロードは、現実的に待てる程度の範囲でダウンロードできればよい、と割り切りが必要か。
実効800Kbpsしか出てない状態で、100MBのファイルを落とすのに必要なのが、1000秒=16分20秒ほど。ちと苦しいが、他のことやってりゃ終わるだろう。
実効3Mbps出てる状態なら、5分弱。
とはいえ、Windows 7のサービスパックで500MBくらいあるはずだから、たまに苦しいタイミングは生じてしまいそうではある。
こういうのは寝てる間に仕掛けて朝にとか、出勤前に仕掛けて帰宅してとか。

家のPC用回線としては、下限ギリギリに近いプアさではある。


メリットとしては、モバイルルーターと一緒に、回線ごとそのまま持ちだして外でも使える。
ひとり暮らしなら、家にいなくなれば回線もそこになくてよくなるから、回線ひとつを自分で持ち歩く合理的な使い方ができる。
そうなると、通信量による規制がないのが強い。

SMSつきプランのぷららSIMを、テザリングできるSIMフリースマホに入れて、電話は050+あたりのIP電話にしちゃえば、ひとつに全部まとめられる。
これで荷物が減り、量も時間も場所も気にせず、しかも安く使える。
経済合理性はなかなかのもんじゃなかろうか。

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